マッチングサービスはWordPressで作れる?
- 土門 大貴
- 記事制作日2024年9月17日
- 更新日2024年9月17日
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WordPressはオープンソースで作られた、ブログソフトウェア・コンテンツ管理システムです。
ただし、その枠組はもはやブログだけにとどまらず、企業の公式サイトやニュースサイト、掲示板やアプリまで最近はWordpressが使われています。
最近の調査結果では世界のウェブサイトの43%がWordpressで作られているとのことです。
そんな有用なWordpressを使って、掲示板やアプリを作れるのであれば、『マッチングサービス』を作ることも可能でしょうか?
本日はその点について検証を行います。
掲載料型ならマッチングサービス成り立つ
結論から言うと『掲載料型のマッチングサービス』であれば作れます。
『掲載料型のマッチングサービス』とは、先日公開した『マッチングサービスのビジネスモデル』という記事内でも記した通り、『プラットフォームに情報を掲載する際、料金が発生する』型のマッチングサービスとなります。
例えば『不動産賃貸の掲載』、『M&A情報の掲載』『求人情報』等です。
依頼があった際、掲載内容を双方で取り決め、掲載前に料金を請求します。
あとは問い合わせがたくさん来ても、来なかったとしても料金は変動しません。
この形態であれば、極端な話、素のwordpressでも作成が可能です。
ただし、ユーザーの利便性を考慮した場合、カスタムフィールドや検索機能等のカスタマイズを行ったほうが良いサービスになるでしょう。
一方で、恋愛系マッチングサービス(PairsやTinder等)を作ろうとした場合、かなり大変です。
マッチング管理やメッセージ機能、更にセキュリティ等も考慮すると、WordPressの機能では正直難しいです。もちろん大幅にカスタマイズを施せば作れないこともないですが、そこまでカスタマイズを施すのであれば、Wordpressを使う意味がほとんどなくなってしまうでしょう。(詳細については後述します)
またフリマ系マッチングサービス(メルカリやランサーズ等)も同じです。出品、購入機能やメッセージ機能はWordpressに付随していないため、後付する必要がありますが、高機能なものを作ろうと思うほど、wordpressである意味は無くなってきます。
WordPressでマッチングサービスが難しい理由
更に細かく『Wordpressでマッチングサービスを作るのが難しい理由』についてご説明します。
高アクセスに耐えられるように設計されていない
WordPressは、そもそもオープンソースの”コンテンツ・マネジメント・システム”です。
なので本分はコンテンツを見せるサイトを作ることにあり、マッチングサービスのような複雑な処理を行うことは想定されていません。
よって何千人・何万人に対してコンテンツを表示すること自体は可能ですが、その人数がデータベースを高速で書き換えるようなサービスには、そもそも向いておらず、それに適した設計もされていないのです。
原子性を担保することが難しい
更に細かくお話しすると、データベースを書き換える際、『原子性の問題』というものがあります。
『原子性』という言葉に聞き馴染みが無いかもしれませんが、要は『データベーストランザクションが”全て成功”するか、”全て失敗するか”のいずれかであることを保証する』という性質です。
例えばフリマアプリの場合、一つの商品に対して購入できるのは一人だけです。
よって最初に購入ボタンが押された際には、『商品の在庫を減らす』『購入者の支払処理を行う』『取引記録を作成する』という処理を全て行わなければなりません。
”商品の在庫は減らせましたが、支払処理には失敗しました”等という事態はあってはならないのです。
更に一人目の購入者が購入した0.5秒後に、別の購入者も購入ボタンを押していたとします。
こちらに対しては『支払処理』『取引記録』どちらのトランザクションも行ってはなりません。『一人目が支払いをしたけど、取引記録は二人目の人になりました』という事態が起きれば、誰もそのサービスを使わなくなるでしょう。
このような『原子性』を、wordpressは想定していません。よって緻密な処理が要求されるフリマサイトのようなマッチングサービスには、そもそも向いていないのです。
ユーザーごとのアクセス制御が難しい
『掲載型以外のマッチングサービス』では、マッチングした相手とコミュニケーションを取るケースが多くあります。
このコミュニケーションの内容は、ビジネス上の重大な機密であったり、個人の貴重なプライバシーであることが多いため、間違っても他ユーザーや第三者に見られてはならない情報です。
しかしWordpressを使って、そのようなユーザーごとのアクセス制御を行うことは、とても難しいです。
WordPressには、一応ユーザーアカウント・ロール機能が備わってはいますが、あくまで簡易的なものであり、ロールも5種類しかありません。ユーザーごとの複雑な情報制御には向いていません。
また、現在データベースでこれらの情報を扱う際は、『行レベルセキュリティ(Row-Level Security, RLS)』や『ユーザーベースのアクセス制御』を行うことが多いのですが、Wordpressで良く使われる『MySQL』『MariaDB』ではこれらRLS実装は限定的な上、Wordpressのクエリ自体がRLSを考慮して設計されていません。
例え対応させたとしても、先程述べた通り、全ての処理を適切に行うことは難しいでしょう。
この点でも、わざわざWordpressを使う理由は無いと言えます。
多数のWordPressカスタムフィールドを実装する必要がある
またWordpressで高度なマッチングサービスを作る場合、多量のカスタムフィールドを作成する必要が生じます。
カスタムフィールド自体は、『advanced custom fields』等の補助プラグインを使えば、簡単に作ることはできますが、そのフィールドの分だけやり取りするクエリが増え、データベース構造も複雑になるでしょう。
そうなると、マネタイズできるほどのユーザーが増えた頃には、処理が重くてまともに扱えない……という状況も想定されます。それでは本末転倒です。
WordPressでマッチングサービスを行うためのプラグイン紹介
しかしながら、『掲載型のマッチングサービス』や『小規模なマッチングサービスを構築する』『需要確認のためMVPで開発を行う』といった際には、Wordpressでの構築も選択肢に入ります。
その際に有用なプラグインを、いくつかご紹介しましょう。
Ultimate Member
先ほど述べた『ユーザーごとの表示・操作制御』を行えるようにするプラグインです。
デフォルトのwordpressには備わっていない『ユーザー登録』『ユーザープロフィール』等のUI部分もプラグインだけで実装できます。
もちろん、『マッチングサービス』として成り立たせるには、多数の調整・設計が必要ですが、0から作るよりはだいぶ工数が削減されるでしょう。
WP Members
『Ultimate Member』と同じく、メンバーシップサイトを作ることに特化したサイトです。
『Ultimate Member』より機能は少ないですが、日本語にも対応しているので、簡素なメンバーシップサービスを作りたい場合はこちらが向いているかもしれません。
Simple Membership
更に、極限までシンプルに『会員だけ見られるようにすればいい』という場合は、こちらの『Simple Membership』が使えるかもしれません。
このプラグインを使う場合は、会員ごとの細かな制御はできません。
その代わり、会員制サイトをつくるのに必要な最低限のサービスは揃っているため、phpやwordpressテーマの知識がなくとも、会員制サイトを構築できます。
Paid Membership Pro
一方で、もっと複雑なユーザー制御をどうしてもWordpress上で行いたい…という方もいらっしゃるでしょう。
そのような方には『Paid Membership Pro』が使えるかもしれません。
ユーザー一人ひとりが複数の役割(プラン)に所属することが出来ますので、例えばCtoCコンテンツ販売サイトのような、複雑なユーザー制御が発生するサービスを作ることも、理論上は可能です。
ただし、もし本当にそのようなサイトを作りたい場合は、Wordpressではなくマッチングサービスパッケージの利用をおすすめします。
マッチングサービスならマッチングワンを使おう
『Wordpressでマッチングサービスを制作できないか』と考えている方に、ぜひ一度考慮してほしい点としては『なぜWordpressを使いたいのか』という点です。
ほとんどの方は『コスト削減』や『開発期間短縮』のためにWordpressを使われることでしょう。
実際、『企業のウェブサイト』『簡素的なサービス』であれば、Wordpressでリソースを削減することは可能です。
しかしながら『マッチングサービス』となれば話は別です。先ほどもお話した通り『マッチングサービス』は、決済や申込みといった複雑なトランザクションがいくつも飛び交うサービスになるため、”WordPressを使っても、ほとんどの場合リソース削減にはなりません“。
むしろ返って効率が悪い開発・サービスになってしまうでしょう。
そこでおすすめしたいのがマッチングサービスのパッケージです。
これらは最初からマッチングサービスのために作られたので、先ほど挙げたような、マッチングサービスに必要となる『高アクセス耐久』『原子性』『ユーザー制御』といった要素は全てクリアされています。
更に『マッチング・ワン』は、B2B、B2C、C2Cといったあらゆる形態のマッチングサービスに対応しており、いずれのサービスも低コスト・短期間で開発が可能です。
『マッチングサービスを開発したいけれど、あまりコストは掛けられない』『必要な機能をしっかり揃えたい』という方は、ぜひWordpressではなく『マッチングワン』での開発を検討してみてください。
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