はじめに

デザインや資料作成の際、画像データを何気なく使っている方は少なくないはずです。

 

しかし、その画像が「意図した通りの色で相手に届いているか」を意識したことはあるでしょうか。

 

例えば、次のような場面を考えてみてください。

  • 自分が作成したロゴを、クライアントにダウンロードしてもらう
  • 取引先から受け取った画像を、自社の資料や印刷物に組み込む

 

こうした画像の受け渡しは、日常的に発生する場面です。

 

しかしこのとき、使用しているPCやソフトウェアの違いによって、同じファイルであるにもかかわらず、見えている色が微妙に、あるいは大きく異なっている可能性があります。

 

双方が「この色で合意した」と思っていても、実際には最初から異なる色を見ながら話を進めていた、という事態が起こり得ます。

 

この問題の多くは、「カラープロファイル」という設定が適切に行われていないことに起因します。本記事では、この見落とされがちな設定について解説します。

 

なぜ色がブレるのか

RGBやCMYKの数値は、実は絶対的な色を示すものではありません。

 

例えば「C50 M30 Y20 K0」という数値であっても、使用するプロファイルが異なれば、実際に出力される色(発色)は変わります。

 

RGBについても同様です。「R255 G0 B0」という数値を例に取ると、これも解釈するプロファイルによって見え方が変化します。

  • sRGBとして解釈した場合:比較的落ち着いた赤
  • Adobe RGBとして解釈した場合:より鮮やかで深みのある赤
  • Display P3として解釈した場合:両者の中間的な、やや鮮やかな赤

 

同じ数値であっても、これだけの印象差が生じます。

 

以下に例として、カラープロファイルが設定されていない画像をPhotoshopの環境設定を変えて表示させました。

j7wjSzCJZiOyxXXose7hQoKMvRbo5ckGZN2daWvW.png
sRGB
bxu9HuWNXRTSWIoYLE7XNBAhUAMqkfvXVlBKHGOS.png
Adobe RGB
7Vv1yH9Et54TznQR2eDpHAcnlgydtDq6CTzwyffc.png
Display P3

このように同じ画像でも、使うソフトやそのソフトの環境設定などで大きく色が変わります。

 

理由は明快で、sRGB・Adobe RGB・Display P3はそれぞれ「表現可能な色の範囲(色域)」が異なるためです。

 

つまり、数値そのものには本来意味がなく、「どのプロファイルで解釈するか」という情報が伴って初めて、色は一意に決まります。

 

プロファイルが設定されていないデータは、いわば宛先の記載がない郵便物のようなものです。

 

どこに届くか——どのような色として表示・出力されるか——は、受け取る側の環境に委ねられてしまいます。

 

したがって、画像データをソフトウェアに読み込ませるタイミングや、画像を書き出すタイミングで、カラープロファイルを適切に設定しておくことが重要になります。

 

対外的に使用する資料や印刷物を扱う立場であるほど、これは軽微な設定作業ではなく、ブランドの一貫性を保つための基本的な管理事項として位置づけるべきです。

 


Q. カラープロファイルは何に設定すればよいか

A. 最終的な出力先を決定した上で、それに合わせて設定してください。

 

以下に代表的なプロファイルを紹介します。

 

①ディスプレイ用

・sRGB IEC61966-2.1
最も標準的な規格です。市場に出回っているディスプレイの大半がこの規格で表示されており、基本的にはこれを選択しておけば問題ありません。

 

・Adobe RGB (1998)
高性能なディスプレイでは、この規格に対応している場合があります。ただし対応度合いにはディスプレイごとに差があり、Adobe RGBのどの程度をカバーできるかによってランクが分かれます。

 

・Display P3
Apple製品はこの規格でRGBを表示しています。Apple製品での制作物をApple製品上で表示させる用途であれば、選択肢のひとつになります。

 

②印刷用

・Japan Color 2001 Coated
日本国内で長年標準として用いられてきたCMYK規格です。

策定は日本印刷産業機械工業会(JPMA)によるもので、後継規格である2011版が登場した後も、印刷会社側の対応が追いついていないケースが多いことから、依然としてこちらでデータを作成する場合が少なくありません。

ラクスル社では、この規格での入稿を求めています。

 

・Japan Color 2011 Coated
2011年3月に、JPMAが国際規格ISO 12647-2に準拠する形で策定した、比較的新しいCMYK規格です。

2001年版と比較してシアンの使用量が抑えられ、特に青系統の再現性が改善されています。

普及はまだ限定的ですが、株式会社グラフィックはこちらの規格に対応しています。

 


まとめ

sRGB・Adobe RGB・Display P3(ディスプレイ用)、Japan Color 2001/2011 Coated(印刷用)——これらを踏まえると、判断基準はシンプルです。

 

  • 画面上での表示を目的とする場合:基本的にはsRGBを選択すれば問題ありません。Apple製品を中心とした運用であれば、Display P3も選択肢になります。
  • 印刷を目的とする場合:入稿先の印刷会社が対応しているプロファイル(2001か2011か)を必ず事前に確認してください。

 

色は絶対値ではなく相対値です。

 

最終的な出力先を明確にした上でプロファイルを合わせておくことが、色のブレを防ぐ最も確実な方法といえます。

 

なお、プロファイルの設定を見直すだけで、色にまつわる問題のすべてが解決するとは限りません。

 

写真データの質、用紙の特性、印刷会社との相性など、色ブレの要因は複数重なっていることが多い点にも留意が必要です。

 

永遠写工房は、冊子・パンフレット・書籍・ZINEといった「ページ物」の制作を専門とし、企画・構成から取材、DTP・デザイン、印刷入稿までを一貫して担当しています。

 

色の設定やデータ作成のみを個別に依頼するのではなく、企画段階から印刷入稿に至るまで、色のブレが生じない体制のもとで一貫して制作を進めることが可能です。

 

  • カラープロファイルの設定に不安がある
  • 印刷会社とのやり取りで色に関するトラブルが続いている
  • 会社案内や周年記念誌など、活動の記録をそろそろ一冊の形にまとめたい

 

いずれの段階のご相談であっても、まずはお気軽にお問い合わせください。