Jevとは

最近、Instagram の自動返信ツールの開発で Jev(ジェブ)というAIを使っています。TypeSafe という会社が出しているモデルです。

ChatGPT との一番の違いは、文章を書かないこと。聞けるのは「はい/いいえ」「選択肢のどれか」「何点か」の3種類だけで、返ってくるのは答えと確率だけです。「このコメントは悪口?」と聞くと「はい 92%」みたいに返ってきます。理由は教えてくれません。

最初は「それだけ?」と思ったんですが、使ってみるとこれがちょうどいい。文章を書かせるとどうしても「返事を読み解く」処理が必要になりますが、Jev は答えがそのままプログラムで使えます。しかも速くて安い。

使ってみた1:悪口コメントに自動返信してしまう

投稿に来たコメントへ自動で返信する機能があるんですが、誹謗中傷やスパムにも「コメントありがとうございます!」と返してしまうのが地味に困っていました。

かといって「商品が届かない」みたいなクレームは悪口じゃないので、むしろ返信すべきです。この線引きをキーワードでやるのは無理でした。

なので、コメントが来るたびに Jev に「誹謗中傷・嫌がらせを含む?」「スパム?」と2つ聞いて、どっちかの確率が高ければ返信しない、にしました。質問の中に「商品やサービスへの正当な批判は悪口に含めない」と書いておけるのがポイントで、これでクレームには返信して、荒らしは無視、が分けられます。

多分こういうのが一番 Jev の得意なところです。

使ってみた2:ハッシュタグが広すぎて無関係な投稿にいいねしまくる

指定したハッシュタグの投稿に自動でいいねする機能があります。「#自社ブランド名」ならいいんですが、「#美容」「#おすすめ」みたいなタグを設定されると、関係ない投稿に大量にいいねしてスパム扱いされかねない。

これは Jev に3択で聞いています。

  • 自社固有(ブランド名・商品名・キャンペーン名)
  • 他の固有名詞
  • 一般的な言葉

アカウント名やブランド名も一緒に渡すので、「#(ブランド名)キャンペーン2026」は自社固有、「#コスメ」は一般的な言葉、と判断されます。一般的な言葉なら、入力した瞬間にエラーで保存できないようにしました。

確率も返ってくるので、「一番高いのは固有名詞だけど、一般的な言葉もそこそこ」なら保守的に弾く、みたいな調整がプログラム側でできます。AIに「厳しめに」とお願いするんじゃなくて、こっちで厳しさを決められるのは結構大きいです。

あと、タグを10個まとめて聞いても1個のときとほぼ同じ速さで返ってきます。

使ってみた3:自動返信の文面が規約違反か、誰も全部は見られない

これが一番手応えがありました。

Instagram で自動返信するには Meta の規約を守る必要がありますが、全文で5万字くらいあります。ユーザーが書いた返信文がどこかに引っかかってないか、人が毎回確認するのは無理です。でも問題のある文面を送るとアカウント停止のリスクがある。

2段階でやっています。

  1. 規約の各条項に「これは事業者が送るメッセージの内容に関するルール?」と聞いて、関係ある条項だけ残す(規約が更新されたときに1回やればいい)
  2. 残った条項ごとに「この文面はこの条項に違反する?」と聞く

編集画面で文面を書くと裏でこれが走って、「違反の可能性がある条項」が表示されます。Jev は理由を説明してくれないので、代わりに該当する条文の抜粋を見せています。それで十分どこを直せばいいか分かります。

試した感じ、結構厳しめに判定してきますね。なので画面上は「違反しています」ではなく「違反している可能性があります。規約をご確認ください」くらいの出し方にしています。

Jevの何がすごいのか

まとめると、

  • 答えがそのまま使える。 「はいなら止める、いいえなら進める」と書くだけ
  • 確率で返ってくる。 厳しさの調整がAI側じゃなくこっち側でできる
  • 速くて安い。 「コメントが来るたびに毎回聞く」「条項の数だけ聞く」ができる
  • 失敗したときに安全側に倒しやすい。 通信エラーなら「返信しない」「保存させない」にしておける

逆に「返信文を考えて」みたいな仕事には使えません。あくまで判断だけです。

これからどう使っていくか

今回は「悪いものを見つけて止める」用途だけでしたが、判断が必要な処理って実はどこにでもあって、全部 Jev を組み込める可能性があるなと思っています。

  • DMやコメントを「購入前の質問」「不具合」「クレーム」に振り分けて、返信テンプレを自動で選ぶ
  • 大量のコメントに「返信の必要性」を点数で付けて、人が見るべきものを上に出す
  • ChatGPT に返信文を書かせて、Jev に「丁寧?」「規約に触れない?」をチェックさせる。書くAIと判断するAIの組み合わせは相性いいと思います

「ここの判断だけ人がやっていて自動化できてない」という工程がある人は、一度触ってみる価値あると思います。