ショート動画広告を作っていると、「今どんな広告が当たっているのか」を毎月のように聞かれます。
感覚で答えることもできますが、今回は2026年1月〜10月の動画広告を実際に集めて、1本ずつ見て数えてみました。

結論から書くと、当たる型は2か月ごとに入れ替わっていました。春は寸劇、夏はAIアニメ、秋は演者語り。尺は上半期に大きく伸び、秋も1分前後が当たり前になっています。
この記事では、キャプチャ(広告主が分からないよう、ぼかしを入れています)をたくさん並べながら、その変化を振り返ります。

キャプチャ(ぼかし)

調べ方

  • 対象:日本の獲得目的(購入・申込みを取る)の縦長の動画広告
  • 期間:2026年1月〜10月。配信を始めた月で2か月ずつ5つに区切る
  • 本数:それぞれの期間で配信量の多い順に上位100本。9〜10月だけは、いま伸びている順の上位100本も追加(合計で約600本)
  • 型の分類:各期間の上位20本は、シーンのコマを1本ずつ目で見て8つの型に分けた
  • 数字:上位100本の文字起こしと、配信面・飛び先LPなどの情報から集計

配信量の数字は「どれだけ配信されたか」の目安で、売上や成果を証明するものではありません。その前提で読んでください。

型は2か月ごとに入れ替わる

まずは全体像です。上位20本を8つの型に分けると、こうなりました。

キャプチャ(ぼかし)

上位の型は、ほぼ2か月ごとに入れ替わっています。

  • 1〜2月:演者が話す型と、料金表のような静止画。海外ブランドのCMも混ざる
  • 3〜4月:寸劇・掛け合いが20本中8本。診察室や営業の現場を演じるもの
  • 5〜6月:街頭インタビューと医師の語り。ナレーションに素材を重ねる型も増える
  • 7〜8月:AIアニメ・CGキャラが20本中6本。ピクサー風のキャラや骸骨が主役
  • 9〜10月:演者語りが戻り、AIアニメと寸劇が並ぶ。伸び順では寸劇とAIアニメが強い

ここからは、期間ごとに実際の広告を並べていきます。

1〜2月:演者語りと静止画が並んでいた

キャプチャ(ぼかし)

年明けは、演者がカメラに向かって話す型と、料金表を見せる静止画の型が上位に並びました。
静止画の型は、動きがほとんどないのに上位に入っています。価格がはっきりしている商品なら、まず値段を見せるだけで成立するということです。
海外のブランドCMも混ざっていて、まだ「この型が強い」というはっきりした傾向はありませんでした。

3〜4月:寸劇が上位を占めた

キャプチャ(ぼかし)

春は、寸劇・掛け合いの型が一気に増えました。
たとえば車の買取の広告では、社長と社員の会話だけで話が進みます。シーンの流れを並べるとこうです。

キャプチャ(ぼかし)
  • 0秒:「え、10万キロ走った車がそんな値段で?」という驚きのひと言から入る
  • 数秒後:「そんなに高く買って大丈夫?」と社員が疑う
  • 中盤:その場でスマホで査定し、自分の車の金額に驚く
  • 後半:「なぜ高いのか」を会話で説明し、最後に行動をうながす

見ている人の疑問を、画面の中の人物が代わりに口にしてくれるのが寸劇の強みです。説明が長くても、会話なので最後まで見てもらえます。

5〜6月:インタビューと医師の語りが増えた

キャプチャ(ぼかし)

初夏は、街頭インタビューのように「年代と職業のテロップ」を出しながら、何人もが同じ商品をすすめる型が増えました。

キャプチャ(ぼかし)

美容液の広告では、「美容部員・53歳」のように肩書きと年齢を出し、同じ言葉を何人もが繰り返します。
1人の体験談より、いろいろな立場の人が同じことを言うほうが信じてもらいやすい、という作りです。

同じ時期には、図解とCGで「なぜそうなるのか」を見せる型も上位に入っています。

キャプチャ(ぼかし)

お腹まわりの悩みから入り、内臓のCGで原因を見せ、最後に価格を出す流れです。撮影をしていないのに、説明の分かりやすさで最後まで引っ張っています。

7〜8月:AIアニメが一気に増えた

キャプチャ(ぼかし)

夏の一番の変化は、AIで作ったアニメやCGキャラの広告です。上位20本のうち6本を占めました。

キャプチャ(ぼかし)

口臭ケアの広告では、骸骨のキャラが歯や舌の状態を見せながら話を進めます。
実写だと生々しくて見てもらえない話題でも、キャラにすると最後まで見られます。しかも撮影がいらないので、型を変えた版をすぐに増やせます。

この時期は、掛け合いの中で「ポイント1、2、3…」と数えていく型も上位に入りました。

キャプチャ(ぼかし)

「ポイントを5つ教える」と最初に言うので、見る人は「あと何個か」を数えながら最後まで見てくれます。説明が多い金融やサービスの商品で使いやすい型です。

9〜10月:演者語りが戻ってきた

キャプチャ(ぼかし)

秋は、演者が話す型が再び増えました。一方で、AIアニメと寸劇も上位に残っています。

キャプチャ(ぼかし)

医師のキャラが痛みの原因を説明し、最後は漫画で読ませる記事LPに飛ばす広告です。1分半を超える長さで、動画の中で悩み・原因・解決まで話しきっています。
※医薬品の広告は、医師や専門家の推薦に見える表現が制限されています。真似るときは必ずルールの確認が必要です。

同じ9〜10月を、いま伸びている順に並べ直すとこうなります(上位20本のうち17本は配信量順と同じ広告です)。

キャプチャ(ぼかし)

伸び順で見ると、寸劇が最多で、静止画・演者語り・AIアニメが並びます。次の2か月は寸劇とAIアニメが増えると見ていますが、これは私たちの予想です。

数字で見る、2026年の変化

型以外にも、はっきりした変化がありました。

キャプチャ(ぼかし)
  • 尺がどんどん長くなった:中央値は1〜2月の43.5秒から、7〜8月は66秒。1分を超える広告は16本から56本に
  • 飛び先は「漫画記事LP」が増えた:6本から、9〜10月は19本(伸び順は24本)
  • 秋はFacebook面が急に増えた:上半期は100本中7〜15本だったのが、9〜10月は40本(Instagramを足すと43本)
  • 冒頭は「問いかけ」が増えた:最初の一言が問いかけの広告は、2本から10本(伸び順は12本。冒頭の文字起こしがある広告だけで数えています)
  • 締めは「先着」が増えた:本文に「先着」が入る広告は、2本から10本(伸び順は13本)

尺が長くなっているのは、動画の中で悩みから解決までを話しきり、漫画記事LPでさらに納得してもらう流れが増えているためだと考えています。

制作の現場でどう使うか

私たちは、この結果を次のように制作に取り入れています。

型は3つ以上を同時に出す

上位の型は2か月で入れ替わります。寸劇・AIアニメ・演者語りのように、違う型を最初から並べて出すほうが外れにくくなります。

撮影なしの型を必ず1本入れる

AIアニメ・CG・図解は、撮影の日程を待たずに出せます。テストの初速を上げるために、最初の本数の中に必ず入れています。

60秒版を用意する

30秒前後の版だけでなく、1分前後で説明しきる版も作ります。漫画記事LPに飛ばす場合は、動画の中で悩みと理由まで話しきる構成が合います。

冒頭は問いかけ、締めは期限

「〜な人いませんか?」で始め、「先着」「今だけ」で締める形が増えています。業種ごとの表現のルールの範囲で取り入れています。

この分析に使ったツール

今回の分析には、動画広告分析Proを使いました。
配信中の動画広告を、配信量の多さ・伸び・業種・配信面・飛び先LPで絞り込んで探せるツールです。

キャプチャ(ぼかし)

検索画面では、目的(獲得・認知)や配信面、期間を指定して広告を絞り込めます。

キャプチャ(ぼかし)

配信量の多い順・伸びている順に並べたランキングで、いま当たっている広告がひと目で分かります。

キャプチャ(ぼかし)

広告ごとの詳細画面では、配信量の推移のグラフと動画を並べて見られます。いつから伸び始めたのかが分かるので、「当たった理由」を考えやすくなります。

キャプチャ(ぼかし)

文字起こしも見られるので、冒頭のひと言や締めの言葉を数えるときにとても助かりました。今回の「問いかけ」「先着」の数も、ここから集計しています。

キャプチャ(ぼかし)

ほかにも、配信面ごとの見え方、ジャンル別の検索、広告主の検索、商品ごとの出稿状況などを見られます。
600本を集めて型の推移を比べる作業が1日でできたのは、このツールのおかげです。
動画広告分析Proの公式ページはこちらです。
https://kashika-20mile.com/dpro/

※記事内の画像は、広告主や人物が特定できないよう、すべてぼかしを入れています。

このシリーズの記事

当たった動画広告の「冒頭のひと言」10選
https://freelance-meikan.com/freelance/1646/blog/3139

演者は女性と男性、どちらが当たる?
https://freelance-meikan.com/freelance/1646/blog/3140

肌の露出が多い広告は当たっているのか
https://freelance-meikan.com/freelance/1646/blog/3141

業種別の当たり型
https://freelance-meikan.com/freelance/1646/blog/3142

この記事を書いた人

樋口 慧(株式会社BUZZ MEET)
ショート動画広告の企画・撮影・編集・運用を担当。納品した広告動画は1,000本以上・100社以上、提携演者は1,600名以上。

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