フリーランスが経費にできるもの一覧!個人事業主や自営業が経費にできる割合を解説!
- フリーランス名鑑編集部
- 記事制作日2021年06月30日
- 更新日2021年10月23日
「フリーランス・個人事業主が経費にできるのはどこまで?」
「経費にはどういったものがあるの?」
フリーランスになりたい考えている方の多くは、節税対策になる経費について詳しく知りたいと思っているのではないでしょうか?経費は税金対策の基本であり、フリーランスになる前に経費に関する基礎知識を知っておくことは大切です。
この記事では、フリーランスに関して以下のポイントを解説します。
・フリーランス・個人事業主が経費にできる勘定科目一覧
・フリーランス・個人事業主が経費にできる割合、家賃按分について
・フリーランス・個人事業主が経費の仕訳をする際の注意点
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なお、フリーランスが納める税金について詳しく知りたい方は「フリーランスの税金の種類や計算法|所得税はいくらか、個人事業主の節税のコツも紹介!」をぜひ参考にしてください。
フリーランス・個人事業主が経費にできるのはどこまで?
フリーランス・個人事業主が経費にできるものは、以下の3つの要件を満たしているものに限られます。
・売上に関わると認められるもの
・金額を明確に区別できるもの
つまり経費は「業務を遂行して利益を出すのに必要、かつ金額を明確にできるもの」が該当します。当然ですが、プライベートで使用した出費は経費の対象外になります。例えば、旅費交通費は経費にできますが、プライベートの旅行代金は経費にできません。
また自宅兼事務所で業務をしている場合や、プライベートでも使用するマイカーで業務を行っている場合は、業務で使用したものだけが経費として認められます。この場合の経費は、家事と業務の割合に基づいて按分(家事按分)して計算します。
フリーランス・個人事業主が経費にできるもの|青色申告決算書に指定される勘定科目一覧
経費には数多くの種類があり、経費の種類の項目を「勘定科目」といいます。フリーランス・個人事業主がよく使う必要経費の勘定科目には以下のようなものがあります。
租税公課
租税公課とは、国税や地方税などの税金(租税)と、国や地方公共団体の賦課金や公的団体の会費などの公課を合わせたものです。フリーランス・個人事業主が経費にできる租税公課には次のようなものがあります。
・フリーランスや個人事業主が経費にできる主な租税
・フリーランスや個人事業主が経費にできる主な公課
注意点として、所得税や住民税、相続税などの税金は経費にできず、延滞税や加算税、罰金、交通反則金なども経費にできません。なお、マイカーを仕事で使っている場合や自宅を事務所にしている場合は、自動車税や固定資産税は按分して処理します。
地代家賃
賃貸オフィスや店舗を借りて業務を行っている場合、家賃や地代は経費にできます。フリーランス・個人事業主が経費にできる地代家賃には次のようなものがあります。
フリーランス・個人事業主は賃貸住宅を事務所に使用するケースがあります。この場合の家賃は床面積や業務時間を基準に按分して計算します。
間取図などを参考に正確に計算することが必要ですが、一般的に家賃の3~4割程度であれば経費として認められます。なお、家賃のうち経費にできる金額の算出方法は後で詳しく説明します。
水道光熱費
フリーランス・個人事業主は事業を行うために必要な水道光熱費を経費にできます。水道光熱費とは文字通り、水道料金・電気料金・ガス料金のことです。
フリーランス・個人事業主が経費にできる水道光熱費
飲食店や美容院などを経営している個人事業主は大量の水・電気・ガスを使用しますが、電気料金などの水道光熱費は経費にできます。自宅件事務所の場合も水道光熱費を経費にできますが、家事按分することが必要です。
自宅兼事務所で主にパソコンを使って業務を行っているフリーランスの場合、電気料金は作業場所の床面積や作業時間に基づいて按分して経費にできます。ただし、ガス料金や水道料金は業務をするうえで必要と認められなければ経費にできません。
旅費交通費
フリーランス・個人事業主は、業務で使った旅費交通費を経費にできます。経費計上が可能な旅費交通費には以下のようなものがあります。
フリーランス・個人事業主が経費にできる旅費交通費
宿泊費は経費にできますが、一泊10万円以上するような高級ホテルの宿泊費などは経費として認められない場合があります。宿泊費を経費計上する際は常識の範疇で判断することが必要です。
なお、電車の切符代やバスの運賃などは領収書が発行されませんが、出金伝票を書けば領収書がなくても経費にできます。SuicaやICOCAなどの電子マネーで電車やバスに乗車する場合は、利用履歴が領収書の代わりに使えます。
広告宣伝費
フリーランスや個人事業主が営業をするのに使った広告宣伝費は、経費計上ができます。経費にできる広告宣伝費には次のようなものがあります。
名刺や年賀状、ポスターなどを業者に頼んで印刷する場合は、広告宣伝費として経費にできます。ただし、広告宣伝費にできるのは業者に依頼する場合だけです。自分で印刷する場合は、プリンターのインク代などは消耗品、はがき代などは通信費として計上します。
なお求人広告のように、商品を宣伝する目的以外の費用も広告宣伝費として経費計上できます。
接待交際費
フリーランス・個人事業主は、仕事に関連するものであれば飲食代などを接待交際費として経費計上できます。接待交際費に該当する必要経費として、次のようなものが挙げられます。
取引先との接待ゴルフの料金やタクシー料金は接待交際費として経費計上でき、自分が自宅に帰るためのタクシー料金も接待交際費として経費計上できます。フリーランス・個人事業主は接待交際費に上限はなく、1日で100万円を使った場合でも経費にできます。
慶弔見舞金は業務に関係するものだけが接待交際費として認められており、親族の葬儀の香典などは経費計上できません。
外注工賃
外注工賃とは、外部の業者に仕事を依頼した時にかかる費用のことです。フリーランスや個人事業主が外注工賃として経費にできるものは以下のようなものがあります。
外部の業者に仕事を依頼した場合、その多くは外注工賃として経費計上できます。ただし、弁護士や税理士、司法書士などの外部の専門家に支払う報酬は外注工賃ではなく「支払報酬」「支払手数料」などの勘定科目で処理します。
なお人材派遣費・人材派遣料は、「人材派遣費」「人材派遣料」などの勘定科目を新たに作って別途処理することも可能です。
保険料
保険にはさまざまな種類がありますが、保険料として経費計上できるものとできないものがあります。フリーランス・個人事業主が保険料として経費にできるものは以下の通りです。
自動車保険料は自賠責保険と任意保険が保険料として経費計上できます。プライベートでも使用するマイカーの場合は、家事按分をしたうえで保険料を計算します。
事業主や家族(専従者)の生命保険料や国民健康保険料、国民年金保険料などは保険料として経費計上できませんが、生命保険料控除や社会保険料控除で所得から控除できます。
荷造運賃
荷造運賃は商品を発送するのに必要な費用のことです。フリーランス・個人事業主が荷造運賃として経費計上できるものとして次のようなものがあります。
宅配便や郵便小包などで商品を発送する場合、宅配便料金や郵便手数料などは荷造運賃として経費計上できます。商品を入れるための段ボール箱の代金やエアークッションなどの緩衝材の購入費も、荷造運賃に含まれます。
商品を配送するためだけに使っている車両がある場合は、ガソリン代も荷造運賃で処理できます。なお、小さな商品を封筒に入れて郵送する場合は通信費ではなく荷造運賃として処理します。
新聞図書費
事業で使用するための新聞や書籍の代金は、新聞図書費として経費計上できます。フリーランスや個人事業主が新聞図書費として経費にできるものとして、以下のようなものがあります。
新聞図書費として経費にできるものは事業に関係するものに限られており、全ての新聞や書籍が新聞図書費にはならないので注意が必要です。
自宅兼事務所で仕事をしている場合、朝日新聞や毎日新聞などの一般紙の購入費用は全額経費にはなりません。また、業務との関連性が薄い内容の書籍の場合は、経費として認められないケースがあります。
通信費
事業をするのに必要な通信費は「通信費」の勘定科目で経費計上できます。フリーランスや個人事業主が経費にできる通信費として、以下のようなものが挙げられます。
自宅兼事務所で事業を行っている場合は、家事按分をしたうえで事業で使用する分を通信費として経費にできます。按分比率は利用状況に応じて決定し、税務署から問い合わせがあった場合に合理的な説明ができるようであれば問題ありません。
なお、切手代やはがき代、郵送料や配送料については、荷造運賃で処理できるものは荷造運賃で経費計上し、それ以外のものを通信費として処理します。
消耗品費
事業で使用する消耗品の費用は経費にできます。フリーランス・個人事業主が消耗品として経費計上できるものには次のようなものがあります。
消耗品に該当するものは数多くありますが、上記のような消耗性の資産の購入費用が消耗品費に該当します。ただし消耗品費にできるものは、使用可能期間が1年未満または購入費用が10万円未満のものに限られます。
なお、購入費用が10万円以上の資産は消耗品費ではなく減価償却費で計上します。例外として、青色申告個人事業主は少額減価償却資産の特例で、30万円未満の備品も一括で経費計上できます。
減価償却費(パソコン、車など)
長期間にわたって使用できる10万円以上(青色申告者の場合は30万円以上)の高価な資産を購入した際は、減価償却費として経費計上します。フリーランスや個人事業主が減価償却費として経費計上できる資産には、次のようなものがあります。
基本的に、購入費が10万円未満の資産は消耗品費として経費計上しますが、10万円以上の資産は減価償却費として数年かけて経費計上します。例外として、青色申告者は少額減価償却資産の特例で、10万円以上30万円未満の資産は全額その年で償却することが可能です。
修繕費
パソコンの修理代などは「修繕費」として経費計上できます。フリーランスや個人事業主が修繕費として経費計上できるものとして、次のようなものがあります。
修繕費は「資本的支出」と明確に区別をすることが必要です。基本的に20万円未満で3年以内の周期で修繕する必要がある場合は修繕費で計上します。修繕費にならない場合は資本的支出として減価償却で数年かけて経費計上します。
ただし、20万円以上であっても修繕費で経費計上できる場合があるので、判断が難しい場合は税理士や税務署に問い合わせてください。
福利厚生費
法人だけでなく、フリーランスや個人事業主も福利厚生費を経費にすることが可能です。フリーランスや個人事業主が経費にできる福利厚生費には以下のようなものがあります。
福利厚生費には上記のようなものがありますが、いずれも従業員がいる場合だけに限られます。よって、1人で経営している場合や家族経営をしている場合は福利厚生費として経費計上できません。
従業員がいる場合、スポーツクラブの利用料なども福利厚生費として認められますが、個人事業主や専従者がスポーツクラブを利用する場合は経費にできません。
給料手当
従業員へ支払う給料や手当は「給料手当」として経費計上できます。フリーランス・個人事業主が給料手当で経費計上できるものは以下の通りです。
給料手当は従業員を雇用している個人事業主だけが経費計上できる勘定科目です。賞与(ボーナス)も給料手当で処理できますが、「賞与」という勘定科目を設立することも可能です。
なお、1人で経営している場合や家族経営をしている場合は「給料手当」の勘定科目は使用しません。家族経営をしている場合の専従者給与は給料手当ではなく、「専従者給与」という勘定科目で経費計上します。
専従者給与
家族経営をしている個人事業主は、家族の給料を「専従者給与」の勘定科目で経費計上できます。フリーランス・個人事業主で専従者給与として経費にできるものは次の通りです。
家族に支払う給料を専従者給与として経費計上できるのは青色申告者に限られます。白色申告者は専従者給与として経費計上できませんが、「事業従者控除」で一定額の控除は受けられます。
なお、青色申告者が家族に支払う給料を専従者給与として経費計上するには、事前に専従者給与の届け出を税務署に行っておくことが必要です。届け出をすると家族に支払う給料は丸ごと経費にできますが、給料を高くし過ぎると税務調査が入る場合があります。
雑費
他の勘定科目に該当しない少額の経費は、雑費として経費計上します。フリーランスや個人事業主が雑費として経費計上できるものとして、次のようなものがあります。
上記のものが雑費の例ですが、消耗品費などの勘定科目で処理できるものは、なるべく雑費にしないようにしましょう。雑費を多くし過ぎると税務署から問い合わせを受けることがあるので、雑費は可能な限り少なくすることが大切です。
どの勘定科目にも該当しない経費がある場合は、自分で新しい勘定科目を作るようにすると雑費を少なくできます。
フリーランス・個人事業主が経費にできる割合|家賃はいくらまで経費計上できる?
フリーランスや個人事業主が現在住んでいる賃貸住宅を事務所にして業務を行う場合は、家賃按分をして経費を算定することが必要です。家賃は床面積や業務時間を基準に按分して計算し、家事で使用する分と業務で使用する分を明確に分けます。
私的に使用する分は経費にはできず、業務で使用する分だけ経費にできます。一般的に家賃の3~4割程度であれば問題なく経費として認められるケースが多いですが、ここでは家賃按分の計算方法例を2つ紹介します。
【面積で考える】30m2(平方メートル)のワンルームマンションで面積の40%を仕事で利用した場合
家賃が10万円の30m2(平方メートル)のワンルームマンションで業務を行う場合、建物の床面積の比率で計算します。例えば、業務スペースが床面積の40%の場合だと、月額4万円を地代家賃として経費計上できます。
10万円×40%=4万円
面積で家賃按分をする際には、現在住んでいる賃貸住宅の間取図があれば比較的正確に計算できますが、間取図がない場合は大雑把な計算でも構いません。もし、税務署から問い合わせがあった場合でも、きちんと回答できるようにしておきましょう。
【時間で考える】1日の3分の1に該当する時間(1日8時間×週7日)を仕事した場合
建物の床面積で家賃按分をするのが難しい場合は、業務時間で計算することも可能です。例えば、1日の3分の1に該当する時間(1日8時間×週7日)で業務を行っている場合だと、月額3万3,000円を地代家賃で経費計上できます。
10万円×33%=3万3,000円
もし、毎日12時間業務を行っている場合だと家賃の50%の5万円を経費にできますが、なるべく家賃の3~4割程度に抑えておいた方が無難です。あまり経費計上を多くすると、税務署から問い合わせが入ることがあります。
フリーランス・個人事業主が経費の仕訳をする際の注意点
開業前のものも経費にできる
フリーランス・個人事業主は独立開業前の費用も経費にできる場合があります。例えば、独立開業前に業務で使用するためにパソコンを購入した場合は、パソコンの購入代金を「開業準備費」の勘定科目で経費にできます。
また、名刺の制作費用やホームページの制作費用、広告費用なども開業準備費として経費にできます。開業準備費として認められる期間は特に定められていませんが、独立開業から半年~1年程度前であれば大丈夫です。
売上に関係しないものは経費にならないことがある
売上に関係しないものは、経費として認められないことがあります。例えば、取引先を接待して食事をする場合の飲食代は接待交際費になりますが、プライベートでの飲食代は経費にすることはできません。
そのため、フリーランスや個人事業主はプライベートで使うお金と業務で使うお金を明確に分けておくことが必要です。プライベートで使ったお金を経費計上すると脱税になり、ペナルティを受けることがあります。
フリーランス・個人事業主の経費に関するよくある質問
経費を増やすと節税になるのはなぜ?
経費を増やすと節税になる理由は、課税所得金額を少なくできるからです。「所得=売上-経費」であり、経費が多くなるほど課税所得金額が少なくなります。課税所得金額が少なると所得税や住民税も低くなり、国民健康保険料なども連動して低く抑えられます。
節税対策の基本は経費を増やすことなので、経費にできるものは漏れなく計上することが大切です。そのためには、どういったものが経費になるのかを知っておくことが大切になってきます。
スーツは経費にできる?
フリーランスや個人事業主は、仕事で着用するスーツを経費にすることが可能です。スーツは業務をするのに必要なものであり、消耗品として経費計上できます。ただし20万円を超えるような高級スーツを経費にするのは、認められないケースがあります。
またスーツは全額を経費にせず、按分をした方が安心です。その理由は、スーツはプライベートでも着用するものだからです。按分比率は5分の4程度にすることが多く、5万円のスーツを購入した場合だと4万円は消耗品として経費にできます。
冠婚葬祭のご祝儀代は経費にできる?
冠婚葬祭のご祝儀代は、仕事関係の人のご祝儀代であれば経費にできます。ご祝儀代の勘定科目は「接待交際費」であり、全額経費として落とせます。ただし、ご祝儀代があまりにも高額だと税務調査が入ることがあるので注意が必要です。
結婚式のご祝儀代は3万円程度が相場であり、5万円程度までなら経費として認められるでしょう。葬儀の場合だと香典の相場は5,000円~1万円程度なので、この程度の金額なら接待交際費で経費計上できます。
領収書やレシートをもらえない場合は出金伝票で代用できる?
業務で使ったお金を経費計上するには、領収書やレシートが必要になってきます。経費として認められるには「金額を明確に区別できるもの」であることが要件であり、領収書やレシートは金額を証明するために必要になります。
電車の切符代やバスの運賃など、領収書やレシートが発行されないものは、出金伝票で代用できます。電車やバスなどの交通費だけでなく、香典やご祝儀、取引先に渡すために自動販売機で購入したジュース代なども出金伝票で処理することが可能です。
出金伝票は「日付」「支払い先」「金額」「支払い内容」を記入する伝票で、文房具店などで購入できます。会計ソフトを使用するとパソコンで出金伝票を作成できますし、エクセルで出金伝票を作成することも可能です。
フリーランス・個人事業主で経理・会計に関する知識をつけたい方は?
フリーランス・個人事業主で経理・会計に関する知識をつけたい方は、StockSunサロンに入会することをおすすめします。StockSunサロンはフリーランスや個人事業主に必須の経理・会計に関するコンテンツを配信しており、税金周りの知識を体系的に学べます。
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また税金周りの知識だけでなく、WEBマーケティングをはじめとする専門知識や営業術なども習得できるので、興味がある方はぜひ入会しておきましょう。