フリーランスの青色申告のやり方!メリットや帳簿の書き方、使いやすい会計ソフトを紹介!
- フリーランス名鑑編集部
- 記事制作日2021年08月12日
- 更新日2021年10月23日
フリーランスとして働くにあたっては、確定申告についても理解しておく必要があります。確定申告には青色申告と白色申告の2種類がありますが、一般的にフリーランスや個人事業主であれば青色申告をした方がお得であるとされています。
しかし、フリーランスになったばかりの方の中には、確定申告について十分に理解できておらず、青色申告のやり方もわからないという方も多いことでしょう。
「フリーランスとして働きたいが確定申告のことがわからない」
「青色申告について教えてほしい」
このような方は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。この記事を読むことで、フリーランスや個人事業主が青色申告を選択するメリット・デメリットや、青色申告のやり方、青色申告をする上で使いやすい会計ソフトなどについて知ることができます。
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フリーランス・個人事業主は青色申告した方がお得?
フリーランスや個人事業主が確定申告をする場合には、白色申告ではなく青色申告をした方が税金面でお得になります。
青色申告では申告手続きや複式簿記など複雑な手順を踏む必要があるため、白色申告よりも面倒に感じる方ややり方がわからないという方もいますが、そのようなデメリット以上にメリットが大きいと言えます。
青色申告は、日々の取引を所定の帳簿に記帳し、その記帳に基づいて正しい申告をする確定申告の方法です。税金の面でさまざまな特典を受けることができる制度であり、白色申告に比べ節税効果が大きくなります。
そのため、フリーランス・個人事業主の方はぜひ青色申告について理解しておくことをおすすめします。
また、白色申告について詳しく知りたい方は「収支内訳書の書き方や記入例|白色申告するフリーランス・個人事業主は必見!」をご覧ください。
フリーランス・個人事業主の青色申告のメリット
フリーランス・個人事業主が青色申告をすることには、以下のようなメリットがあります。
65万円の青色申告特別控除を受けられる
フリーランス・個人事業主が青色申告をする大きなメリットとなるのが、最大65万円の青色申告特別控除を受けられるということです。
青色申告特別控除額では、申告の方法により10万円・55万円・65万円いずれかの控除額が適用されます。
1 55万円の青色申告特別控除
この55万円の控除を受けるための要件は、次のようになっています。(1) 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
(2) これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
(3) (2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること。
(中略)
2 65万円の青色申告特別控除
この65万円の控除を受けるための要件は、次のようになっています。
(1) 上記1の要件に該当していること
(2) 次のいずれかに該当していること
① その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子帳簿保存(下記《参考》参照)を行っていること。(※)
② その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと。
実際に控除される金額は複式簿記の内容や電子申告を利用するかなどによって決まりますが、最大で65万円という金額が控除されるのは大きく、青色申告は節税効果に優れていると言えます。
白色申告には特別控除などの節税につながる特典はないので、確定申告で節税をしたいフリーランス・個人事業主には青色申告を選択することをおすすめします。
事業の赤字を3年間繰り越せる
フリーランス・個人事業主が青色申告をすることで、事業の赤字を3年間繰り越せるというメリットもあります。フリーランスや個人事業主が事業を運営する中では、当然赤字が発生することもあります。しかし、青色申告であればその赤字を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除します。
赤字を繰り越している3年以内に黒字が発生すれば、繰り越していた赤字を解消することができ、税金面での負担も軽くすることができます。
また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。このように赤字の負担を軽減できるのも青色申告のメリットとなります。
家族への給与が経費にできる
フリーランス・個人事業主の青色申告のメリットとして、家族への給与が経費にできるという点も挙げられます。ここで言う家族とは、青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人のことを指します。
これらの給与は原則として必要経費にはなりませんが、青色申告の場合は青色事業専従者給与に関する届出を提出することで、家族への給与支払額の全額を経費として計上できるようになります。
ただし、青色事業専従者給与に関する届出は事前に提出しておかなければならず、経費とするのは労働の対価として適切な範囲の金額である必要があります。家族とともに働くフリーランスや個人事業主にも、青色申告をおすすめします。
貸倒引当金を計上し経費にできる
フリーランス・個人事業主が青色申告を選択することで、貸倒引当金を設けて経費として計上することができます。
青色申告者であれば、事業を営む上で発生した貸付金や売掛金などが貸し倒れた場合の損失見込額を「貸倒引当金勘定」に繰り入れることができ、経費として計上することが認められています。
このように青色申告にしておけば、売掛金や未収金があったとしても貸倒引当金として経費にできるので、フリーランス・個人事業主でも事業を運営しやすくなるというメリットが得られます。
ただし、経費として認められる金額には限度があり、「年末の売掛金・債権残高の5.5%以下まで」と定められています。なお、金融業の場合は「3.3%以下まで」になります。
少額減価償却資産の全額を経費にできる
フリーランス・個人事業主の青色申告には、少額減価償却資産の全額を経費にできるというメリットもあります。これは、青色申告をしていれば30万円未満の少額の減価償却資産を得た場合に、その取得価額全額を損金の額として計上できるという「少額減価償却資産の特例制度」が定められているためです。
事業を運営するために必要となる備品や機械といった有形減価償却資産、商標権やソフトウェアといった無形減価償却資産の両方が対象となっています。ただし、特例制度を適用できるのは年間で300万円までと定められています。
少額減価償却資産の種類 | 具体例 |
---|---|
有形減価償却資産 | 事業を運営するために必要となる備品、機械 |
無形減価償却資産 | 商標権、ソフトウェア |
白色申告では30万円未満の少額の減価償却資産であっても、全額を損金に計上することはできないため、やはり青色申告の方が節税効果で優れていると言えます。
フリーランス・個人事業主の青色申告のデメリット
フリーランス・個人事業主が青色申告をする場合には、以下のようなデメリットもあります。
申告手続きが必要
フリーランス・個人事業主が青色申告をする場合のデメリットとなるのが、申告手続きが必要になるという点です。フリーランスや個人事業主が青色申告をするためには、所得税の青色申告承認申請書を提出する手続きをしなければなりません。
複式簿記をつける必要がある
フリーランス・個人事業主が青色申告をするためには、複式簿記をつける必要があることもデメリットと言えます。
複式簿記は白色申告の簡易な方法による記載とは異なり、取引結果を明瞭にするため借方と貸方の2つの方向から記帳する必要があります。さらに、同一の取引でも複数の科目で記帳しなければなりません。
そのため、簿記に慣れていない方や知識のない方にはわかりにくく手間がかかってしまい、会計処理の負担が大きくなることがあります。
フリーランス・個人事業主の青色申告のやり方|書類の提出方法や帳簿の書き方
フリーランス・個人事業主が青色申告をするためには、具体的にどのようにすれば良いのでしょうか。ここでは、青色申告の書類の提出方法や帳簿の書き方について解説します。やや複雑ですが、きちんと理解して青色申告ができるようにしましょう。
「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出
フリーランスとして開業して青色申告をする場合には、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までに、青色申告承認申請書を納税地の所轄税務署長宛に提出することになります。ただし、その年の1月16日以後に開業した場合には、業務開始日から2か月以内に提出することとなっています。
区分 | 提出期限 |
---|---|
原則 | 青色申告を受ける年の3月15日 |
1月16日以降に開業した場合 | 開業から2か月以内 |
また、フリーランスとして個人事業を始めるにあたっては、開業届も提出しなければなりません。開業届を提出することで、融資や助成金を受けることができ、社会的な信用も得られます。
そのため、フリーランスとしての業務を開始する際には、青色申告承認申請書と開業届を同時に提出しておくと良いでしょう。青色申告には申請期限があるので、提出を忘れないように注意してください。
複式簿記をつける
青色申告をするためには複式簿記をつける必要があります。複式簿記では1回の取引について複数の科目で同時に記帳するのがポイントで、取引の原因と結果を並べて記録することができます。
このように、取引の原因と結果の両方をきちんと記録することが複式簿記の特徴で、収支や残高について正確な管理が可能となります。記帳はやや複雑で手間がかかりますが、会計ソフトを活用することで効率良く簡単な記帳ができるようになります。
以下では、複式簿記をつける上で必要となる「貸借対照表(BS)」と「損益計算書(PL)」の考え方について簡単に紹介します。
貸借対照表(BS)
賃借対照表とは、資産と負債について記載する書類のことで、決算日の時点での経営状態を示すものとなります。資産を左側に、負債及び純資産を右側に記載し、左右の合計金額が必ず一致するため、BS(バランスシート)と呼ばれることもあります。
賃借対照表を参照することで、事業資金がどれだけあるか、返済しなければならない借金はいくらあるかなどを把握することができます。
賃借対照表を記載するにあたっては、左側の資産の部に保有している財産とその金額を記入します。決算日から1年以内に現金化できるものは流動資産、1年を超えるものは固定資産として扱います。
そして表の右側の負債の部には、左側の財産を得るために調達した資金について記入します。他人の借金で調達した資金は負債、自分で用意した資金は純資産となります。負債についても決算日から1年以内に現金化できるものは流動負債、1年を超えるものは固定負債と区分されます。
損益計算書(PL)
損益計算書とは、年間の収入と経費をまとめた決算書のことで、いくらの利益が出ているかがわかるようになっています。
損益計算書ではどのように利益をあげているかが把握できるよう、収益・費用・利益の3つの要素から成り立っています。損益計算書を参照することで、個人事業主や企業がどのようにして利益をあげているのかがわかります。
なお、損益計算書は3枚で構成されています。
まず1枚目の損益計算書には、年間の全体的な収支について記載することになります。売上と売上原価を記入し、差し引き金額(売上総利益)を計算します。次に年間の経費を科目別に記入し、経費の合計を計算します。
2枚目の損益計算書では、各科目についてさらに細かく記入します。月別の売上金額や仕入金額についてまとめ、青色申告特別控除額を記載します。
3枚目の損益計算書には、年間の経費の内訳について記入します。さらに現在所有している、または年度中に売却した減価償却費についても記載する必要があります。
青色申告で確定申告をする
青色申告で確定申告をするには、青色申告決算書と確定申告書を税務署に提出することになります。青色申告決算書とは上で取り上げた賃借対照表と損益計算書のことで、計4枚をまとめて提出しなければなりません。
また、青色申告決算書と同時に確定申告書も提出する必要があります。確定申告書とは、所得や控除金額について記載した書類のことで、AとBの2種類があります。フリーランス・個人事業主の場合は確定申告書Bに記入しましょう。
なお確定申告書類は、国税庁の確定申告書等作成コーナー(国税庁 確定申告書等作成コーナー『作成コーナートップ』)で青色申告も含めて作成できます。また青色申告の特別控除65万円を申請するには、このコーナーで作成するのが便利です。
さらに、フリーランスの確定申告について詳しく知りたい方は「フリーランスの確定申告の書き方・やり方!個人事業主が自分で簡単に手続きできる会計ソフトは?」をぜひ参考にしてください。
フリーランス・個人事業主の青色申告に使いやすい会計ソフトを紹介
フリーランスや個人事業主が青色申告をする上で役立つのが会計ソフトです。会計ソフトを利用することで、フリーランス初心者でも効率良く青色申告ができます。
ここでは、フリーランス・個人事業主の青色申告に使いやすい会計ソフトを紹介します。
やよいの青色申告オンライン
やよいの青色申告オンラインは、インストール不要で誰でも簡単に青色申告ができるクラウド型の青色申告ソフトです。
やよいの青色申告オンラインの特徴としては、自動入力機能によって簡単に効率良く会計ができることが挙げられます。領収書やレシートをスキャンすることで内容を読み取ってくれるので、入力の手間がかかりません。また、仕分けも自動的に行われるので非常に効率的です。
さらに、青色申告の経験がない方でも簡単に使えるような設計になっていて、会計の知識がなくても、指示に従って日付や金額といった情報を入力すれば自動的に帳簿が作成されます。そのため、やよいの青色申告オンラインを活用すれば、初心者でも簡単に青色申告ができるようになります。
freee
freeeは個人事業主から法人まで幅広く利用できる会計ソフトで、フリーランスの青色申告にも活用できます。
freeeの特徴となっているのが、質問に答えていくだけで確定申告のための書類を作成できることです。簿記の専門知識がない方でも、簡単な質問に答えるだけで青色申告ができるようになります。銀行口座やクレジットカードとの連携機能もあり、明細を取り込めるので入力の手間を省くことが可能です。
また、スマホアプリでレシートを撮影することで、日付や金額を読み込む機能も備えています。このように、freeeを活用すれば青色申告に必要な会計処理を自動化できるので、時間をかけなくても手軽に青色申告ができるようになります。
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