「クライアント企業が源泉徴収票を発行してくれない場合はどうすればいいの?」
「そもそも源泉徴収票とは?」

これからフリーランスになろうと考えている方の中には、源泉徴収や源泉徴収票に関して上記のような疑問・不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。

フリーランス・個人事業主になると経理業務も自分で行わなければならず、経理業務では源泉徴収に関する知識が不可欠です。

源泉徴収に関する知識が不足していると、実際よりも多めに税金を納付してしまうことにもなりかねません。税金の納め過ぎを防ぐためにも、源泉徴収に関する理解を深めておくことは大切です。

この記事ではフリーランス・個人事業主が知っておきたい以下のような源泉徴収に関する事項を解説します。

・企業が源泉徴収票を発行してくれない場合の対処法
・源泉徴収に関する基礎知識
・フリーランスの源泉徴収の書き方や計算方法

この記事を読むと源泉徴収に関する基礎知識を習得でき、フリーランス・個人事業主になって経理業務をする際に大いに役立つでしょう。

また、フリーランス・個人事業主で源泉徴収票など経理・会計周りの知識をつけたい方は、StockSunサロンに入会することをおすすめします。StockSunサロンに入会すると、実務に直結する経理や会計周りの知識を習得できます。

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なお、フリーランスが納める税金について詳しく知りたい方は「フリーランスの税金の種類や計算法|所得税はいくらか、個人事業主の節税のコツも紹介!」をぜひ参考にしてください。

フリーランスは源泉徴収票を発行してもらえない?ない場合はどうする?

フリーランスは源泉徴収票を発行してもらえない?ない場合はどうする?

フリーランスが確定申告をする際には、源泉徴収された金額を把握することが必要になります。

会社員など雇用されている立場であれば、勤務先から受け取る「源泉徴収票」を見ればわかります。一方でフリーランスには「源泉徴収票」がなく、基本的に「支払調書」という名前で発行される書類で源泉徴収された金額を確認します。

クライアント企業によっては源泉徴収された金額がわかる書面を発行してくれない場合があります。はじめに、クライアント企業が発行してくれない場合の対処法を見ていきましょう。

依頼主は発行義務はない

フリーランスに仕事を発注する企業は源泉徴収票や支払調書を発行する義務はありません。そのため、フリーランスは報酬から源泉徴収分を差し引かれた場合でも、クライアント企業から書面をもらえない場合があります。

クライアント企業から源泉徴収票や支払調書をもらえなかった場合、確定申告書を作成する際に源泉徴収分の金額がわからず、正確な確定申告書を作成するのに手間がかかってしまいます。

なお、2018年(平成30年)度までは確定申告書に源泉徴収票の原本を添付することが必要でしたが、現在は源泉徴収票の添付は不要になっています。支払調書の添付も不要です。

ただし、税務署などで職員のサポート受けて確定申告書を作成する場合は、源泉徴収票や支払調書を持参することになっています。

必要な場合は書類の郵送を依頼しよう

クライアント企業から源泉徴収された金額がわかる書面をもらえなかった場合は、クライアント企業に連絡をして、「支払調書を発行して欲しい」と伝えましょう。

もし、源泉徴収票や支払調書を郵送してもらえなかった場合は、企業の経理担当者に源泉徴収税額だけでも教えてもらえると確定申告書の作成がしやすくなります。

確定申告のシーズンになってから慌てるのではなく、普段から経理作業をしっかりと行い、源泉徴収税額をきちんと把握しているとスムーズに確定申告ができます。

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そもそも源泉徴収票とは?

そもそも源泉徴収票とは?

フリーランスは、確定申告書を作成する際に源泉徴収された金額を把握することが必要になりますが、そもそも源泉徴収票や支払調書とはどのような書類なのでしょうか?では次に、所得税の源泉徴収と源泉徴収票について詳しく見ていきましょう。

源泉徴収とは?

源泉徴収とは、企業が従業員に給与やフリーランスに報酬を支払う際に、あらかじめ所得税分(復興特別所得税を含む)の金額を差し引くことです。給与や報酬から差し引かれた所得税分の金額は、企業が本人に代わって税務署に納付してくれます。

本来であれば所得税は確定申告をして納付することが必要ですが、源泉徴収をすることで会社員は確定申告が不要になります。なお、源泉徴収で納付する所得税は仮の金額であり、所得税を納め過ぎていた場合は年末調整をすると還付されます。

会社員は勤務先が年末調整をしてくれるので確定申告は不要ですが、フリーランスは会社員とは異なり、確定申告をして所得税を納付することが必要です。

フリーランスが確定申告をする際には、源泉徴収された税額を確定申告書に明記しなければならず、そのために支払調書が必要になってきます。源泉徴収された税額を確定申告書に記載しておかないと税金の二重払いになり損をしてしまいます。

源泉徴収票とは?

源泉徴収票とは、給与や報酬を支払う企業が源泉徴収を行った際に発行される書類です。源泉徴収票には給与や報酬の支払金額と差し引かれた所得税の税額などが書かれており、会社員は年末調整が終わると発行されます。一般的には12月分の給与明細と一緒にもらえます。

企業が年末調整を行った場合は従業員に対して源泉徴収票を必ず発行しなければならず、従業員が退職後も再発行の申し出があれば再発行することが必要です。しかし、フリーランスに対しては源泉徴収票の発行義務はなく、発行しなくても問題ありません。

フリーランスは源泉徴収票も支払調書ももらえない場合があるので、源泉徴収された場合は源泉徴収された税額を把握しておくことが必要です。

源泉徴収票と支払調書の違いは?

支払調書は企業がフリーランスに報酬を支払う際などに発行される書類で、報酬の支払内容や支払金額、源泉徴収税額などが記載されています。企業はフリーランスに対しては支払調書の発行義務はありませんが、支払調書を作成して税務署に提出する必要があります。

支払調書と源泉徴収票は適正な課税を行うための「法定調書」である点では共通しています。しかし、源泉徴収票と支払調書は発行目的が全く異なります。

源泉徴収票は年末調整を行った従業員に必ず交付する必要があるのに対して、支払調書は従業員に交付する書類ではありません。支払調書はフリーランスなどに報酬を支払った時に発行される書類であり、税務署に支払内容を報告することを目的とします。

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また、フリーランスに関する税金について詳しく知りたい方は「フリーランスの税金の種類や計算法|所得税はいくらか、個人事業主の節税のコツも紹介!」をぜひ参考にしてください。

フリーランスで源泉徴収が必要なケース|対象となる業務範囲は?

フリーランスで源泉徴収が必要なケース|対象となる業務範囲は?

フリーランスに支払われる報酬は、源泉徴収の対象になるケースと源泉徴収の対象にならないケースがあります。源泉徴収の対象になるのは、国税庁が指定した以下の業務を行った場合です。

(1) 報酬・料金等の支払を受ける者が個人の場合の源泉徴収の対象となる範囲
イ 原稿料や講演料など
ただし、懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等については、一人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
ロ 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
ハ 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
ニ プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
ホ 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
ヘ ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
ト プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
チ 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
(2) 報酬・料金等の支払を受ける者が法人の場合の源泉徴収の対象となる範囲
馬主である法人に支払う競馬の賞金

国税庁『No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは』

例えば、作家の原稿料やプロ野球選手の年俸などは源泉徴収の対象になり、報酬から源泉徴収税額が差し引かれます。弁護士や公認会計士、司法書士などの士業の報酬も源泉徴収の対象になりますが、行政書士の報酬は源泉徴収の対象にはなりません。

なお上記の他に、利子や配当金、公的年金なども源泉徴収の対象になる場合があります。

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フリーランスの源泉徴収の書き方や計算方法

フリーランスの源泉徴収の書き方や計算方法

フリーランスの報酬が源泉徴収の対象になる場合、源泉徴収税額はどのように計算して、請求書にはどのように記載するのでしょうか。それでは次に、フリーランスの源泉徴収の計算方法と請求書の書き方を見ていきましょう。

支払い金額が100万円以下の場合

フリーランスが受け取る報酬が源泉徴収の対象になる場合、報酬の支払金額が100万円以下であれば次の計算式で源泉徴収税額を計算します。

源泉徴収税額 = 支払金額 × 10.21%

例えば、報酬の支払金額が50万円の場合だと源泉徴収税額は以下のように51,050円になります。

50万円 × 10.21% = 51,050円

請求書には「源泉所得税」という項目を設け、「源泉所得税 -51,050円」と記載して小計から差し引きます。

支払い金額が100万円超の場合

報酬の支払金額が100万円を超える場合は、次の計算式で源泉徴収税額を計算します。

源泉徴収税額 =(支払金額 – 100万円)× 20.42% + 102,100円

例えば、報酬の支払金額が300万円の場合だと、源泉徴収税額は以下のように510,500円になります。

(300万円 – 100万円)× 20.42% + 102,100円 = 510,500円

請求書には「源泉徴収税 -510,500円」と記載して、小計から差し引きます。

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フリーランスの源泉徴収に関する注意点

フリーランスの源泉徴収に関する注意点

確定申告で忘れずに源泉徴収の申告をする

確定申告の際には、忘れずに源泉徴収の申告をしましょう。源泉徴収の申告をしないと税金の二重払いになり、損をしてしまいます。なお、税金を納め過ぎた場合は、確定申告期限から5年以内に「更正の請求」をすると還付されます。

フリーランスや個人事業主が使用する「確定申告書B」の場合だと、第一表の右側の「その他」の項目に源泉徴収税額を書く欄があるので、そこに所得税の源泉徴収税額の合計額を記載します。

第二表の「所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」には、より詳しくどのクライアントからいくら受け取っていくら源泉徴収されたのか記載する箇所があります。

なお、以前は確定申告書に源泉徴収票を添付することが必要でしたが、平成31年(2019年)4月1日以後からは源泉徴収票の添付は不要になっています。支払調書の添付も不要です。

ただし、税務署などで職員のサポート受けて確定申告書を作成する場合は、源泉徴収票や支払調書を持参しましょう。

また、フリーランスの確定申告のやり方が知りたい方は「フリーランスの確定申告の書き方・やり方!個人事業主が自分で簡単に手続きできる会計ソフトは?」をぜひ参考にしてください。

消費税とは別で源泉徴収の金額を記入する

請求書に源泉徴収税額を記載する場合は、消費税とは別に源泉徴収の金額を記載するようにします。例えば、報酬が50,000円で消費税が5,000円の場合だと、源泉徴収税額は50,000円の10.21%の5,105円になるので、「源泉徴収税額 -5,105円」と記載します。

この場合は報酬の小計が50,000円で、これに消費税5,000円を加えた55,000円から源泉徴収税額5,105円を差し引いた税込49,895円が請求金額になります。

会計ソフトを使用すると、必要項目を入力するだけで源泉徴収税額や消費税を記載した請求書を簡単に作成できます。計算ミスや記載漏れを防ぐためにも、会計ソフトの使用が望ましいです。

平成49年まで復興特別所得税が含まれる

源泉徴収の税率は、報酬の支払金額が100万円以下の場合は10.21%、100万円超の場合は20.42%ですが、この税率には所得税の税率に復興特別所得税の税率0.21%(100万円超の部分には0.42%)が含まれています。

復興特別所得税とは「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」に基づき、東日本大震災の復興支援の財源にすることを目的に、2013年1月1日から2037年12月31日までに生じる所得にかかる税金です。

報酬の支払金額が50万円の場合だと源泉徴収税額は51,050円ですが、このうち1,050円(50万円✕0.21%=1,050円)は復興特別所得税ということになります。

平成25年1月1日〜平成49年12月31日の間に生じる所得にかかる源泉徴収の税率には、所得税率に復興特別所得税率が加算されることになります。上記の式の中での0.21%(100万円超の部分には0.42%)が復興特別所得税率となります。

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フリーランスで源泉徴収票など経理・会計周りの知識をつけたい方は?

フリーランス・個人事業主で源泉徴収票など経理・会計周りの知識をつけたい方は、StockSunサロンに入会することをおすすめします。StockSunサロンに入会すると、実務に直結する経理や会計周りの知識を習得できます。

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ばばえりFP事務所 代表。
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強!
銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。