中国では、近年ECサイトの市場規模が伸びており、ネット販売を行う事業者にとっては無視できない存在になっています。販売のチャンスも多くあり、この機会を逃したくないと考えている方も多いのではないでしょうか?

しかし隣国とはいえ、異国での越境ECを展開するのは簡単ではありません。安易に手を出してしまうと大損をしてしまうことも珍しくはないです。

そこでこの記事では、中国のEC市場に参入するにあたり知っておきたい事として以下を見ていきます。

・中国のEC市場について
・中国ECサイト取引額ランキングTop5
・中国ECサイト一覧
・日本企業が中国でECサイトを展開する方法

この記事を読むと、中国EC市場について理解が深まり、越境ECを行う際により結果が出る検討をできるようになります。

なお、ゼロから知識を集めて越境ECを行うのは非常に難しくリスキーです。全くわからない状態から越境ECを検討したいという方は、実績のあるフリーランスにお願いすると親身に対応してもらえます。

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中国のEC市場について

中国のEC市場
中国のEC市場は、非常に巨大なECマーケットを形成しています。

2013年にアメリカを抜き世界1位に躍り出て以降、売上・成長率共に世界1位を誇り、現在は世界のEC市場の約50%を占めています。

国名 2018年 2019年 成長率
中国 168.7兆円(※) 214.7兆円 27.3%
アメリカ 56.6兆円 65.1兆円 14.0%
イギリス 14.2兆円 15.7兆円 10.9%
日本 12.3兆円 12.8兆円 4.0%
韓国 9.7兆円 11.4兆円 18.1%

※日本円は1ドル111円で換算

引用:トップグローバルeコマース市場

ここでは、中国のEC市場について詳しく見ていきましょう。

EC市場は年々成長している

中国のEC市場は年々成長しています。これまでの成長率を踏まえた、今後の推移予測は下表にようになっています。

項目 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
市場規模 1.520(※) 1.935 2.405 2.916 3.471 4.096
成長率 29.7% 27.3% 24.3% 21.3% 19.0% 18.0%
EC化率 30.9% 36.6% 44.0% 50.5% 57.0% 63.9%

※兆USドル

2023年には市場規模が454兆円に達する見込みで、これは中国国内の総小売売上高の約63%に匹敵します。

中国EC市場の成長要因はさまざまで、インターネット利用者数が増加したことやキャッシュレス化の動きが盛んになったことが一例として考えられます。

また、2009年から始まったアリババ・グループの「独身の日」など、消費行動をけん引するイベントの存在も大きいと言えます。アリババが運営するECサイトの1つである「天猫」はわずか1日で約2兆8,600億円の取引を達成したほどです。

その他にも、越境EC利用率が42%と非常に高いことや(日本は6%)、都市部に限らず地方農村部のEC利用の伸びしろも無視できません。

これらの要因を考慮すると、中国のEC市場は成長を続けていくと考えられます。

モール型ECサイトが強い

中国EC市場は、企業がサイト内に出品・出店する「モール型ECサイト」が独占しています。これは、モール型ECサイトが中国国内から大きな信頼を得ていることが大きな要因です。

偽物が出回りやすい中国において、モール型ECサイトは出店審査が厳しく偽物の流通が少ないため、顧客が定着しやすいという特徴があります。

具体的には、アリババグループの「天猫(Tmall)」と京東集団の「京東(ジンドン)」で80%以上のシェアを占めるほど、モール型ECサイトは中国で絶大な人気を誇ります。

日本企業も中国のモール型サイトに出店しており、「ユニクロ」や「無印良品」などが「天猫国際」に出店済みです。

このような状況のため、中国EC市場では今後もモール型サイトの独占が続くことが予想されています。

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中国ECサイト取引額ランキングTop5

2018年の中国ECサイトの取引額Top5を以下の表にまとめました。

順位 サイト名 売上金額 市場シェア率
1位 天猫(Tmall) 約85兆円 52.5%
2位 京东(JD.COM) 約52兆円 31.3%
3位 唯品会(Vipshop) 約10兆円 5.7%
4位 苏宁易购(suning.com) 約6兆円 3.7%
5位 国美在線(Gome) 約2兆円 1.2%

2018年の市場全体規模は1.52兆ドルのため、天猫(Tmall)のシェア約50%は7500億ドル(約80兆円)以上にのぼります。

日本で人気が高いAmazonの2018年売上が2,328億ドル(約24兆円)であることを踏まえると、中国ECサイトの市場規模の占める大きさが想像できるでしょう。

また、日本のECサイト一覧が知りたい方は「【2021年最新】モール型ECサイト一覧|出店すべきネットショップはどこ?」をぜひ参考にしてください。

中国ECサイト一覧

中国のECサイト一覧
ここからは、中国の人気ECサイトについて一覧で見ていきます。それぞれの特徴やメリット・デメリットについてまとめました。

自社のコンセプトや戦略と照らし合わせつつ、マッチするECサイトがあるか参考にしてみてください。

淘宝(Taobao)

種類 マーケットプレイス型ECサイト
特徴 CtoCがメイン
初期費用 無料
月額費用 無料
手数料 無料
商品登録数 不明
メリット デメリット
・個人での出店が可能
・無料で出品できる
・中国の銀行口座が必要
・中国の住所証明、労働証明が必要

淘宝(Taobao)」は「アリババ」が運営している中国を代表するECサイトです。月間利用者数が約7億人と桁違いのユーザー数を誇り、市場規模は非常に大きです。

特徴の1つは偽物を徹底排除するシステムです。詐欺が出回りやすい中国ECにおいて、本物の商品を安心して購入できるのは大きなポイントです。

他には実在商品のみでなく、動画編集などのスキルやサービスも出品できるのもユニークな点です。

淘宝には、個人で無料にて出品できる「淘宝網(タオバオワン)と出店条件を満たさないと出店できない「淘宝商城(タオバオモール)」の2つの形態があります。

天猫(Tmall)

種類 モール型ECサイト
特徴 BtoC向け
中国の市場シェア率は50%以上
初期費用 5万元(約80万円)〜30万元(約500万)
月額費用 3万元(約50万)〜6万元(約90万)
手数料 0.5%〜5%
商品登録数 不明
メリット デメリット
・利用者からの信頼が高い
・天猫への出店がステータスになる
・中国富裕層へ販売できる
・出店審査が厳しい
・中国での営業許可証が必要

天猫(Tmall)」も淘宝と同じくアリババが運営しているサービスです。月間利用者数が7億人以上の巨大なECサイトで、市場シェアは50%以上もあります。

天猫には、中国国内向けの「天猫(T-MALL)」と海外向けの「天猫国際(T-MALL GLOBAL)」の2つがあります。SONYやユニクロなどの日本企業も出店していることでも有名です。

海外向けの「天猫国際(T-MALL GLOBAL」を利用する場合は、中国法人である必要がありません。そのため「天猫(T-MALL)」への出店を考えている企業は「天猫国際(T-MALL GLOBAL)」への出店も検討してみましょう。

京东(JD.COM)

種類 モール型ECサイト
特徴 直販型ECモール
初期費用 約110万円
月額費用 約1万円
手数料 5%
商品登録数 不明
メリット デメリット
・利用者からの信頼を得られる
・中国での集客が不要
・出店審査が厳しい
・海外でのブランド認知度が必要

京东(JD.COM)」は中国2位の売上規模を誇る巨大ECサイトです。直販型ECモールで、注文から集荷までのスピードが早いのが特徴です。

加えて偽物の流通を徹底排除しているため、出店側としては顧客からの信頼を受けやすいです。なおヤマトホールディングスと提携しています。

京东(JD.COM)へ出店を考えている企業は「京东全球购(京東全球購)」という越境ECモールへの出店も選択肢に入れてみましょう。

拼多多(pinduoduo)

種類 モール型ECサイト
特徴 グルーポンのように共同購入ができる
初期費用 保証金2,000元(約3万円)〜
10,000元(約15万円)
月額費用 無料
手数料 不明
商品登録数 不明
メリット デメリット
・SNSでの拡散により広告コストを抑えられる
・比較的新しく参入企業が少ない
・中国の営業許可証が必要
・中国の銀行口座が必要

拼多多(pinduoduo)」は低価格が特徴のECサイトです。メインのユーザー層は低〜中所得者層で、「拼購」という共同購入をするシステムを使って低価格を実現しています。

日本で言う場合のグルーポンのような仕組みです。「WeChat」や「QQ」など中国のSNSと連携したソーシャルコマースとして広く知られています。

唯品会(Vipshop)

種類 モール型ECサイト
特徴 化粧品など女性向け商品に特化している
初期費用 不明
月額費用 1000元(約15,000円)
手数料 不明
商品登録数 不明
メリット デメリット
・女性向け商品が売れやすい
・キャンペーンで売上が伸びやすい
・利用者からの信頼を得ている
・海外でブランド認知度が必要
・中国国内の法人が必要

唯品会(Vipshop)」は化粧品など女性向け商品で有名なECサイトです。メーカーから直接仕入れているため100%正規品を販売でき、信頼感が極めて高いです。日本の企業では「花王」や「小林製薬」などが出店しています。

また、フラッシュセールスEC(期間限定割引販売)にて割安価格で商品を提供しているのも魅力です。

唯品会には「VIPSHOP日本株式会社」という日本法人があるため、唯品会へ出店を考えている企業はVIPSHOP日本株式会社との提携も検討してみましょう。

小米商城(Xiaomi)

種類 独立型ECサイト
特徴 スマートフォンなど電化製品に特化
初期費用 不明
月額費用 不明
手数料 不明
商品登録数 不明
メリット デメリット
・集客が不要
・電化製品の中国での認知を獲得できる
・中国国内の法人が必要

小米商城(Xiaomi)」は中国の家電メーカー「Xiaomi」が運営しているサイトです。

スマートフォン世界シェア4位の販売実績を誇る巨大企業で、知名度が抜群に高いです。またユーザーからの信頼性が高く、購買に対する警戒が比較的低いのも特徴です。

苏宁易购(suning.com)

種類 独立型ECサイト
特徴 実店舗と同様の購買行動が可能
初期費用 保証金1万元(約1500円)〜
月額費用 不明
手数料 5%〜
商品登録数 不明
メリット デメリット
・集客が不要
・中国で電化製品の認知を獲得できる
・中国国内での売上が上がる
・中国国内の法人が必要
・海外でブランド認知度が必要
・資本金が10万元(約1500万円)以上が必要

苏宁易购(suning.com)」は中国の家電小売販売企業である「蘇寧電器」が運営するECサイトです。蘇寧電器は日本の「ラオックス」を買収したことでも有名です。

20年以上の実績を持つ家電通販会社が運営しているため、国民からの信頼が高いです。ネット上のみでなく、中国国内で1,600の実店舗を保有している点も評価できます。

蘇寧電器の認知度が高いため、出品することで製品のブランディングをしやすいメリットがあります。

蘑菇街(Mogujie)

種類 モール型ECサイト
特徴 女性ファッションに特化している
初期費用 保証金5000元(約8000円)
〜2万元(約3万円)
月額費用 不明
手数料 5%
商品登録数 不明
メリット デメリット
・女性向けアパレルの販売に強い
・中国女性ファッションのトレンドを把握できる
・出店審査が厳しい
・販売する商品の種類に規制がある

蘑菇街(Mogujie)」は女性ファッションに特化したECサイトです。特徴の1つはユーザーによるコーディネート投稿機能です。日本で言うところの「ZOZOTOWN」の「WEAR」のようなサービスにあたります。

WeChatやQQなど中国のSNSと連携したソーシャルコマースであるほか、著名人がリアルタイムで動画配信しながら商品を提供するライブコマースにも力を入れているECサイトです。

また、中国以外の海外で代表的なECサイトが知りたい方は「【2021年】海外ECサイトまとめ!日本企業から出店しやすい有名越境ECモール一覧」をぜひ参考にしてください。

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日本企業が中国でECサイトを展開する方法

中国でのECサイト展開方法
日本企業が中国でECサイトを展開する方法には、以下の4つがあります。

・自社ECサイトを立ち上げる
・中国ECモールに出店する
・中国で販売している企業に業務を委託する
・中国の販売代理店に卸売する

ここでは、それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

自社ECサイトを立ち上げる

日本企業が中国でECサイトを展開する方法の1つ目は「自社サイトを立ち上げて中国EC市場へ進出する」方法です。既存のモールECに頼らず1から自社でECサイトを構築し、オンラインで中国での認知獲得を目指します。

この方法のメリットは、自社オリジナルのサイトを立ち上げることでブランドを確立できる点にあります。自社の「色」を前面に出せるため、うまくいけば一大事業にもなり得ます。また出店コストやランニングコストを抑えられるのも魅力です。

ただし知名度が全くない会社のサービスであれば、はじめに認知獲得や集客に多大の労力が求められます。また中国でライセンスを取得するための法人設立など、多額のコストかかります。

なお自社サイトを構築するのに向いている企業として、以下のような企業が挙げられます。

・すでにある程度認知されている商品がある企業
・サイト制作の技術者が在籍している企業
・中国語に精通しているスタッフがいる企業

中国ECモールに出店する

日本企業が中国でECサイトを展開する方法の2つ目は「天猫(Tmall)や京东(JD.COM)など中国ECモールに直接出店する」方法です。

このやり方は、中国EC市場での集客が不要というメリットがあります。すでに認知度の高いサービスに乗る形になるため、日本で言う楽天一番のように最初からユーザーの流入を見込めます。

ただし、出店先モールの厳しい出店審査をクリアする必要があるほか、初期費用や月額費用が高くなる可能性もあります。

この出店方法が向いている企業として、以下のような企業が挙げられます。

・中国語ができる人材がいる企業
・中国でライセンス取得ができる企業

中国販売をしている企業に業務を委託する

日本企業が中国でECサイトを展開する方法の3つ目は「中国販売をしている日本企業に業務を委託をする」方法です。

業務委託のメリットは、出店審査や翻訳など煩雑な手続きをプロに任せられる点にあります。また中国EC市場での集客が不要で言語の壁も関係ありません。

ただしランニングコストがかかるほか、越境ECのノウハウを自社で貯められません。将来的に販売規模を一回り大きくしたい場合、ノウハウの不足は痛手となる恐れがあります。

業務委託がおすすめなのは、以下のような企業です。

・とにかく販売のみをしていきたいスタンスの企業
・メーカーなど仕入れが安定してできる企業

中国の販売代理店に卸売をする

日本企業が中国でECサイトを展開する方法の4つ目は「中国のモールへ出店している販売代理店に卸売をして商品を販売する」方法です。

卸売販売のメリットは、中国EC市場での集客や中国でのライセンス取得が不要であることです。

ただし、中国企業とのやり取りにおいて中国語が必須になります。また業務委託の場合と同様、越境ECのノウハウを自社で貯められないデメリットもあります。

卸売形態がおすすめなのは、以下のような企業です。

・中国語に堪能な営業スタッフがいる企業
・中国におけるブランドを確立しやすい商材を扱っている企業

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中国でECサイト展開を検討中なら

全くルートがない中で中国ECサイトに展開することは、非常にハードルが高くリスキーです。資金と時間のみが無駄に消費される恐れがあります。

そのためゼロから越境ECを成功させるには、越境ECに知見があるスタッフをアサインすることが欠かせません。

その際は優秀なフリーランスに依頼することで、費用を抑えて越境ECを無駄なく始めることが可能です。

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2018年大学院在学中に健康食品・化粧品メーカー株式会社アモシアを立ち上げ、自社サイト、Amazon、Yahoo!ショッピングを中心に販売中。翌年、一般社団法人イーコマース学会にスカウトされ事務局として従事。同年東海大学総合社会科学研究所研究員として従事