フリーランス・個人事業主の確定申告は収入いくらから?年収何円から申請すべき?
- フリーランス名鑑編集部
- 記事制作日2021年05月31日
- 更新日2021年10月23日
フリーランス・個人事業主の確定申告は収入いくらから?年収何円から申請すべき?
独立してフリーランス・個人事業主になると、確定申告をして所得税を納税する義務が生じます。独立した当初は収入が少なくなるケースが多いですが、年収が少なくても確定申告をしなければならないのでしょうか?
確定申告は、収入が少ないフリーランス・個人事業主は必ずしも確定申告をする義務は生じません。ここからは、確定申告と収入の関係について詳しく見ていきましょう。
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「事業所得年間48万円」がボーダー
フリーランス・個人事業主で事業所得が年間48万円を超えていると、確定申告が必要になってきます。逆に言うと、年間の事業所得が48万円に満たないフリーランスや個人事業主の方は確定申告をしなくて良いです。
このように「事業所得年間48万円」がボーダーになっていますが、年間の事業所得が48万円以下の場合でも確定申告をしておくことが望ましいです。そのことについては、記事後半で詳しく説明します。
年間48万円は基礎控除額が理由
事業所得が年間48万円を超えていると確定申告が必要になる理由としては、48万円までは基礎控除が受けられるからです。基礎控除とは、所得税の税額を算出する際に収入から差し引かれるもので、年間の事業所得金額が2,400万円以下の場合は48万円が差し引かれます。
年間の事業所得が48万円の場合だと、48万円から基礎控除の48万円を差し引くと、課税所得が0円になるので所得税を納める必要はなく、確定申告をしなくても良いことになります。
なお年間の事業所得とは、収入から必要経費と基礎控除などの各種控除を差し引いた金額なので、年間の収入が60万円で経費が20万円のような場合も確定申告は不要です。
60万円(収入)- 20万円(経費)- 48万円(基礎控除)= △8万円
年間の事業所得金額 | 基礎控除額 |
---|---|
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 |
また上表のように、事業所得の金額に応じて基礎控除額は変動します。
年間の事業所得金額が2,400万円以下だと、基礎控除額は48万円です。事業所得金額が2,400万円を超えていて2,450万円以下の場合、基礎控除額は32万円です。
また、事業所得金額が2,450万円を超えていて2,500万円以下の場合、基礎控除額は16万円です。そして事業所得が2,500万円を超えると、基礎控除額は0円となり、基礎控除は適用されなくなります。
このように、高所得になればなるほど基礎控除額が少なくなります。もともと基礎控除は所得が少ない人の税負担を軽くするためのものなので、高所得になると適用されなくなる仕組みです。
ただし、フリーランス・個人事業主で年間の事業所得が2,400万円を超えるケースは少ないと考えられます。この金額の事業所得がある場合、税務上のメリットを鑑みて法人化しているケースが多いと考えられるからです。
そのため、自分が確定申告すべきかどうか知りたい方は、ひとまず年間の事業所得が48万円を超えているかどうかに注目すると良いでしょう。
給与所得があるフリーランスの副業の場合、確定申告はいくらから?
会社員は、勤務先の会社が源泉徴収と年末調整をして所得税を納税するため、基本的には確定申告は不要です。
しかし、会社員とフリーランスの掛け持ちで働いている場合は、所得金額によっては確定申告が必要になってきます。また、フリーランスと複数のアルバイトを掛け持ちで働いている場合や副業をしている場合も、所得金額によっては確定申告が必要です。
ここからは、これらのワークスタイルで働いている場合はいくらから確定申告が必要になるのかを見ていきましょう。
給与を1か所から受け取っていて、それ以外にも所得がある場合
1か所の事業所から給与を受け取っていて、それ以外に所得がある場合は、給与所得以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要になってきます。
例えば会社員が本業とは別に副業をしていて、会社から支給される給与の全部が源泉徴収の対象となっている場合、副業の所得が20万円以上になると確定申告が必要になります。
年収が103万円を超えると源泉徴収されるので、年収が103万円以上(=月収85,500円)ある場合は、副業の所得が20万円以上になると確定申告が必要になるわけです。
なお、給与所得がある人の年収のボーダーラインが103万円の理由は、給与所得がある人には基礎控除の48万円に加え、給与所得控除の55万円が適用されるからです。
基礎控除48万円+給与所得控除55万円 = 103万円
確定申告を行う必要がある方・還付申告を行うことができる方
給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える方
給与を2か所から受け取っている場合
アルバイトを掛け持ちしている人など給与を2か所から受け取っている場合は、年末調整をしなかったアルバイト先の収入と副業の収入の合計額が、年間20万円を超えると確定申告が必要です。
年末調整ができるのは扶養控除等申告書を提出している勤務先(主たる給与をもらっている勤務先)だけで、それ以外の勤務先(従たる給与をもらっている勤務先)では年末調整はできません。
例えば、従たる給与をもらっている勤務先の給与が年間10万円で、副業の所得が15万円の場合だと合計額が20万円を超えるので、確定申告が必要になってきます。
副業をしていない場合でも、従たる給与をもらっている勤務先の給与が年間20万円を超えると確定申告が必要です。
確定申告を行う必要がある方・還付申告を行うことができる方
給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える方
給与所得があるフリーランスの場合、副業がパートか業務委託かで確定申告が必要な金額の計算方法が異なる
会社から給与所得を得ている正社員兼フリーランスの場合、副業の所得が20万円を超えると確定申告が必要になります。
しかし、副業がパートか業務委託かで税務上の計算方法が異なります。計算方法が異なる理由は、副業が業務委託の場合は収入から経費を差し引けるからです。
業務委託とは、クラウドソーシングサービスなどで案件ベースで仕事を受けることで、フリーランスの働き方のひとつです。それでは、副業がアルバイト・パートの場合と、副業が業務委託の場合の確定申告について見ていきましょう。
副業がアルバイト・パートの場合
副業がアルバイト・パートの場合、年間のアルバイト・パートの収入が20万円以下であれば確定申告は不要です。
例えば、昼間は会社員として働きながら夜になると飲食店などでアルバイトをするダブルワーカーは、アルバイトの収入が年間20万円を超えると確定申告が必要になるわけです。
この場合の計算方法は簡単で、アルバイト先の給与明細を確認して、年間の給与が20万円を超えているかを調べるだけでわかります。
副業が業務委託の場合
副業が業務委託の場合、年間の業務委託の事業所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。業務委託とは先に少し触れましたが、クラウドソーシングサービスなどで案件を受けて働くことで、ウーバーイーツの配達業務なども業務委託に該当します。
会社員が休日を利用して、クラウドソーシングサービスやウーバーイーツの配達業務などで収入を得た場合は、事業所得が20万円以下であれば確定申告は不要というわけです。
注意点として「事業所得=収入」ではなく「事業所得=収入(売上)- 支出(経費)」であり、業務委託では経費を利用することで事業所得を低く抑えることができます。経費とは業務委託の仕事をするために使った費用のことです。
具体的には、クラウドソーシングサービスで仕事をする際のパソコンの購入代金や通信費、ウーバーイーツの配達で使うための自転車の購入費やスマホの通信費などが経費に該当します。
ただし、10万円以上のクロスバイクなどは減価償却で計上することが必要になってきます。例えば自転車であれば2年、バイクであれば3年など、国税庁が定める適切な償却年数で計算するようにしましょう。
このように、長期間にわたって使用するものに関しては、分割して経費計上するというルールです。
一例を挙げると、ウーバーイーツの配達業務で年間25万円の収入があり、自転車の購入代金などで年間6万円の経費がかかった場合だと、19万円が事業所得になります。このケースでは事業所得は20万円以下になるので確定申告は不要です。
25万円(収入)- 6万円(必要経費)= 19万円(事業所得)
夫の扶養に入っている専業主婦のフリーランス・個人事業主の場合、確定申告は収入いくらから?
夫の扶養に入りつつ副業している専業主婦も多いことでしょう。夫婦共働きが主流になり、リモートワークも浸透し始めている現代において、このような働き方をしている女性の方も多いことでしょう。それでは、この場合はいくらから確定申告が必要になるのでしょうか?
専業主婦の副業のパターンとして、フリーランスや個人事業主として業務委託の事業所得を得ているパターンと、アルバイトやパートとして給与所得を得ているパターンがあります。
いずれの場合でも主婦の所得金額に応じて確定申告が必要かどうかが異なるため、確定申告が必要になる主婦の所得金額について見ていきましょう。
主婦の所得が103万円を超えている場合:課税所得があり所得税が発生
主婦の所得が103万円を超えている場合は、課税所得があり所得税が発生します。これは所得税の「103万円の壁」と呼ばれており、103万円が所得税が発生するボーダーラインになります。
先に触れましたが、給与所得がある場合は55万円の所得控除と48万円の基礎控除が適用され、合計103万円を収入から差し引けます。
「基礎控除48万円+給与所得控除55万円 = 103万円」
主婦の所得が103万円を超えている場合、「控除額<所得」となるので課税所得があり、所得税がかかります。よって、所得税を納税するために確定申告が必要になってきます。
なお、所得税の「103万円の壁」の他にも、社会保険の「106万円の壁」や扶養の「130万円の壁」があります。
106万円と130万円は社会保険料の壁になります。
一定規模以上の会社でアルバイトやパートをすると、年収106万円以上で社会保険に加入することになります。お給料の中から、厚生年金、健康保険を負担することになります。(中略)
130万円までなら夫の扶養範囲なので、この約36万円は払わなくてもよい金額です。
131万円の収入だと、手取りが95万円になり、かなり損をした感じがします。さらに所得税と住民税の負担もでてくるので、実質はもっと手取りが減ります。結果的には130万円の収入を超えて、自分で国民年金、国民健康保険を払うようになると、目安として180万円以上働かないかぎり、家族の手取りは減ってしまいそうです。180万円以内であれば、130万円に収入は抑えたほうがよいかもしれません。
主婦の所得が103万円以下の場合:課税所得がなく所得税もなし
逆に主婦の所得が103万円以下である場合「控除額≧所得」となるので課税所得がなく、所得税はかかりません。よって、確定申告は不要です。夫の扶養から外れることもなく、新たに社会保険に加入する必要もありません。
ただし、フリーランスや個人事業主として業務委託で働いている主婦は55万円の給与所得控除が適用されず、基礎控除の48万円しか適用されません。これにより、48万円以上の事業所得がある場合は確定申告が必要になってきます。
また、確定申告の具体的な書き方が知りたい方「フリーランスの確定申告の書き方・やり方!個人事業主が自分で簡単に手続きできる会計ソフトは?」をぜひ参考にしてください。
フリーランス・個人事業主の確定申告は事業所得48万円以下でもすべき3つの理由
フリーランス・個人事業主は事業所得が48万円以上あると確定申告が必要ですが、事業所得が48万円以下の場合でも確定申告はしておくべきです。それには次の4つの理由があります。
収入証明になるから
確定申告をしておくと「納税証明書」の発行ができるようになります。
納税証明書は収入証明になり、マイホームや車を購入する際などに使用できます。賃貸住宅を借りる際やカードローン・クレジットカードを発行する際にも使用できるので重宝します。
国民健康保険の保険料が低くなるから
フリーランス・個人事業主は国民健康保険に加入することになりますが、国民健康保険の保険料は所得によって決定されます。所得が低いと国民健康保険の保険料も低くなるので、所得が少なくても確定申告をしておくと有利です。
確定申告をしていないと市町村は所得がわからず、一定額の保険料の支払いが必要になってきます。保険料を少しでも低く抑えたい場合は、事業所得が48万円以下でも確定申告をしておきましょう。
申告漏れの可能性を客観的に否定できるから
確定申告をしておくと、仮に税務調査が入っても「申告漏れ・無申告」の可能性を客観的に否定できます。もちろん、脱税などの不正行為をしていなければ税務調査が入っても問題はありませんが、「申告漏れ・無申告」の疑いを書類1つで否定できるので、確定申告をしておいた方が安心です。
もし、事業所得が48万円以上あったのに確定申告をしなかった場合は脱税行為になり、重いペナルティが課されます。無申告の罰則として「無申告加算税」「延滞税」「重加算税」が徴収され、悪質な場合は刑事罰が適用されることもあります。
延滞税の税率は7.3~14.6%で、無申告加算税は5~20%、重加算税は35~40%です。刑事罰が適用されると5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方が課されます。
無申告の場合の罰則 | ペナルティとなる税率 |
---|---|
延滞税 | 7.3~14.6% |
無申告加算税 | 5~20% |
重加算税 | 35~40% |
住民税の申告手続きがいらなくなるから
確定申告をすると、住民税の申告手続きがいらなくなります。確定申告をすると税務署から市町村役場に確定申告書が送付され、市町村は確定申告書に基づいて住民税の計算を行います。所得が少ないと住民税も低くなるので、確定申告をする方が有利です。
確定申告をしていないと自分で住民税の申告手続きを行うことが必要になり、申告手続きは自治体によって異なります。なお、住民税は所得がなくてもかかる場合があり、自分で申告手続きをするのは大変面倒です。
確定申告をすると、わざわざ役場に足を運んで住民税の手続きをしなくても申告できるので、所得が少なくても確定申告をしておくとラクでしょう。住民税を納付しないと延滞税が発生し、資産を差し押さえられることもあります。
フリーランス・個人事業主の確定申告に関わる知識をつけたい方は?
フリーランスや個人事業主になった場合、必要な税金を必要なタイミングで納めるために確定申告に関わる知識をつけておくと安心です。そして、フリーランスの確定申告手続きに関する知識をつけたい方は、ぜひStockSunサロンに入会しましょう。
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