フリーランス・個人事業主向けの健康保険!保険料を安くする方法やおすすめの民間保険3つを紹介!
- フリーランス名鑑編集部
- 記事制作日2021年05月12日
- 更新日2021年12月01日
フリーランス・個人事業主向けの健康保険
フリーランスや個人事業主として事業を始めた際に、きちんと考えておかなければならない項目のひとつが健康保険です。
一般的に会社員は会社で用意されていた健康保険に自動で加入していますが、フリーランスとして独立した場合には自分で健康保険を選び、加入する必要があります。
ちなみに、日本では国民は何らかの公的医療保険に加入することが義務付けられていて、保険を選ばないという選択肢はありません。そしてフリーランスの方は基本的に「国民健康保険」に加入することとなっています。
ただしフリーランスの方の職業によっては、「国民健康保険組合」に加入することで、国民健康保険とは違った保険に入れる場合があります。そのほか今まで勤めていた会社の健康保険を継続できる場合もあります。
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ここではフリーランス・個人事業主向けの健康保険について、その種類と内容を詳しく解説していきます。
国民健康保険
国民健康保険とは、市区町村によって運営される公的な健康保険のことです。主に自営業の方やパート・アルバイト、そのほか職場の健康保険に加入していない人が、定められた市区町村に保険料を納めることによって加入できます。
国民健康保険の保険料は、前年の所得および世帯人数や加入者の年齢をもとに、市区町村によって決定されます。なお納める額は全額自己負担となっていて、他の健康保険に比べ割高になる可能性が高いです。
また、会社を退職してフリーランスとなった場合、退職日の翌日から14日以内に国民健康保険への加入手続きを行わなければなりません。国民健康保険の加入の手続きは、お住まいのエリアの区役所や市役所の年金課などの担当部署にて対応してもらえます。
加入の手続きに必要な書類としては、以下の3点です。
職場の健康保険資格喪失日又は退職日がわかる証明書(健康保険資格喪失証明書、退職証明書や離職票等)
本人確認書類
マイナンバー確認書類
手続きを受け保険証を手に入れないと医療費を全額負担しなければならないため、国民健康保険への加入手続きは速やかに行いましょう。
なお、手続きは自宅から郵送にて行うこともできるので、郵送での手続きを希望する方は、お住まいの地域の区役所・市役所の公式ホームページから流れを確認しておきましょう。
国民健康保険組合(国保組合)
フリーランスが健康保険に入る場合、国民健康保険のほかにも「国民健康保険組合に加入する」という方法もあります。
国民健康保険は自治体が運営しているのに対し、国民健康保険組合は同じ業種・業界ごとに組織されている健康保険です。例えば「文芸美術国民健康保険組合」や「東京美容国民健康保険組合」などがあります。
なお国保組合は同業種の人しか加入できないぶん、国民健康保険に比べ保険料の負担額が安くなる可能性が高いです。
文芸美術国民健康保険組合
文芸美術国民健康保険組合は、著作活動に携わっているための国保組合です。加盟の対象となるのは文芸・美術・著作などの芸術活動を行っている方となり、芸術家やライターなども含まれます。
なお文芸美術国民健康保険組合では、保険料は収入に関わらず21,100円と一律であるものの、加入条件で「組合加盟の各団体の会員である者とその家族」と定められている点に注意が必要です。そのため国保組合への保険料以外にも、加盟している団体への年会費などが発生することがあります。
東京美容国民健康保険組合
東京美容国民健康保険組合は、東京都内の美容師業界の方を対象とした国保組合です。なお東京都内というのは、事務所が東京都内にあることを指します。
東京美容国民健康保険組合の保険料は、年齢や事業主または従業員、さらにはその家族など立場によって変化します。また年度によっても上下する可能性があるため、国民健康保険とどちらがお得であるのかはホームページ等で確認し比較する必要があります。
属していた会社の健康保険を任意継続
もともと会社で勤めていて勤務先の健康保険に加入していた場合、退職してフリーランスとなった後にも、属していた会社の健康保険を任意継続することもできます。
会社の保険を任意継続すると、加盟していた保険の福利厚生をそのまま引き継げるというメリットがあります。また任意継続することで、扶養家族の保険料を払わずに済むケースがあります。
ただし注意点として、任意継続したとしても、在職中の給与額によっては会社勤めの頃よりも負担額が増える点が挙げられます。基本的に会社の健康保険は、勤務期間中は保険料の一部を会社が負担してくれています。
しかし任意継続の場合は会社が負担してくれることがなくなり、保険料を全額負担しなければなりません。
また会社の保険を任意継続するためには、退職日までに2ヶ月以上継続して社会保険に加入しておく必要があります。さらに任意継続ができるのは、2年間までと定められているので注意しておきましょう。
家族の健康保険の被扶養者になる
フリーランスが健康保険に加入するもう一つのパターンとして、家族の健康保険の被扶養者になるという選択肢が挙げられます。
ただし家族の健康保険の被扶養者となるためには、月収や年収に制限があるため注意が必要です。ちなみに健康保険上で扶養家族となるためには、月収108,000円以下、年収130万円以下であるなどの条件を満たす必要があります。
もしフリーランスとして新たな事業に取り組み高い年収が期待できる場合には、この方法は不可能なので気をつけましょう。
フリーランス・個人事業主が国民健康保険料を安くする4つの方法
フリーランスや個人事業主が国民健康保険を安くできる方法を4つご紹介します。
全国で国民健康保険料が安い地域に引っ越す
国民健康保険の金額を安くするひとつの方法として、保険料が安い地域を選んで引っ越すという方法があります。
国民健康保険の保険料というのは、実は条件によって大きな差があります。自治体による違いも大きく、保険料が高い地域と低い地域では年間20万円以上の差がつくことがあります。
もしフリーランスで住む地域を選ばない事業内容の場合は、引っ越しをして保険料の低い地域に移るという方法もひとつの手だと言えるでしょう。
全国で国民健康保険料が安い地域がどこか知りたい方は、以下のサイトから検索してみましょう。
なお、国民健康保険料が居住地域によって異なる理由や、引っ越した時に保険料が増減する仕組みについては、東京都江戸川区の公式ホームページにて以下のように説明されています。
国民健康保険料は、所得割額(前年の所得金額をもとに計算する保険料)と均等割額(加入する人数に応じてかかる保険料)の合計金額です。
1月2日以降に、他の市区町村から江戸川区に転入された方の前年の所得金額は、1月1日に住民登録していた市区町村で把握しています。そのため、江戸川区で国民健康保険に加入した時点では、引っ越してきた方の所得金額が分からないので、加入時には均等割額のみの保険料額を計算し、決定通知書を窓口でお渡しします。
加入手続き後に、江戸川区から前年の所得金額を把握している市区町村へ照会します。判明した所得金額をもとに、保険料額を再計算します。
国民健康保険組合に入る
先ほど述べたとおり、フリーランスが健康保険に入る場合には、国民健康保険以外にも「国民健康保険組合に加入する」という方法があります。
国保組合の保険料は、収入に関わらず一律となっています。一方で国民健康保険の場合は収入の額によって保険の負担額が変化します。したがって収入が多ければ多いほど、国民健康保険を利用するよりも国保組合に加入した方が保険料が安くなります。
なお、国民健康保険と国民健康保険組合で負担額にどれほどの差があるのかは地域によって異なります。しかし年間の所得が300万円を超える場合など、ある程度大きな金額が得られている場合には国保組合を利用した方が良いでしょう。
法人化する
フリーランス・個人事業主から法人化すると、「協会けんぽ」や「健保組合」に加入することになります。法人化しこれらに加入すると、国民健康保険を支払う必要がなくなり、保険料の負担額が低くなると考えられます。
法人化して協会けんぽや健保組合に加入した場合、保険料は被保険者の収入によって決まります。一方で国民健康保険は世帯人数で保険料が変化するので、家族が多い人にとっては協会けんぽや健保組合の方が有利になります。
また協会けんぽや健保組合は、出産手当金や傷害手当金など保険料の負担額以外の部分でも得をする可能性が高いです。なお健康保険とは離れますが、厚生年金に加入することで年金給付額も大きくなります。
ただし、法人化すると法人税が発生して税務処理が煩雑化する、決算費用などのランニングコストがかかるなど、保険料以外の部分にも変化があるため注意です。個人事業主のままでいるべきか法人化するべきかは、双方のメリットやデメリットから総合的に判断する必要があります。
またフリーランスが法人化するメリットやデメリット、適切なタイミングが知りたい方は「フリーランス・個人事業主が法人化すべき目安やタイミングは?法人成りのメリット・デメリットも紹介」をぜひ参考にしてください。
役所の窓口で相談する
上記の方法以外で少しでも健康保険の負担額を抑えたい場合は、役所の窓口に相談することで方法が見つかる場合があります。
例えば災害や病気、失業などを理由に前年よりも大幅に所得が下がってしまった場合には、市区町村の窓口に相談すれば保険料の減免措置を受けられる可能性があります。
保険料の減免措置はあくまでも一時的なもので、継続的に保険料が下がるわけではありません。しかし、それでも保険料の負担額が大きくて困っている場合には非常に助かる制度です。
ただし、減免措置を受けるためには審査があるので注意しましょう。まずは役所の窓口に相談し、自身が減免措置を受けられる対象にあるのかどうかを確認すると良いでしょう。
また、フリーランスが加入する年金について詳しく知りたい方は「フリーランスが国民年金にプラスで利用できる制度は?国民年金基金やiDeCoなどを紹介!」をぜひ参考にしてください。
フリーランス・個人事業主が加入できない保険もある
ここまでフリーランス・個人事業主の健康保険について説明してきましたが、その一方でフリーランスや個人事業主は「労働保険」に加入できないため注意しましょう。
ちなみに労働保険とは雇用保険と労災保険の2つを合わせたもののことです。労働保険に加入していれば、何らかの理由で休業した場合や事故が発生した際などに給付金を受けることができます。
しかしフリーランスの場合は「労働者」の扱いとならないため、労働保険を利用することができません。そのためフリーランス・個人事業主の方は、トラブルやリスクの対策として別の手段を検討する必要があります。
雇用保険
雇用保険は雇用保険法に基づいて定められた制度です。雇用保険は労働者の生活および雇用の安定、就職の促進のために用意された保険で、加入しているとさまざまな給付金を受けることができます。
雇用保険に加入するメリットとしては、会社員が失業した時の「失業手当」、育児休業の際の「育児休業給付金」、介護休業となった際の「介護休業給付金」などを受けられる点が挙げられます。
もし雇用保険に加入していれば休業により収入が減った際にも、給付金で生活をある程度安定させることができます。
また、フリーランスは雇用保険に加入できるのか、失業保険・失業手当の受給条件などについて知りたい方は「フリーランスや個人事業主の雇用保険の加入手続き!自営業は失業保険を受給できる?」をぜひ参考にしてください。
労災保険
労災保険は雇用されている立場である労働者が、仕事中や通勤途中に起きた出来事によって怪我や病気、障害、あるいは死亡した場合などに給付を受けられる制度のことです。
労災保険に加入していれば、怪我や事故など万が一のケースにも対応ができます。治療費のほか休業補償なども付き、手厚い補償内容となっています。
なお労災保険は他の保険と違い保険料の全額を事業主が負担するため、労働者には保険料の費用負担がありません。
また、フリーランスは労災保険に加入できるのか、代わりとなる保険について知りたい方は「フリーランスや個人事業主は労災保険に加入できる?特別加入制度の対象条件は?」をぜひ参考にしてください。
フリーランス・個人事業主におすすめの3つの民間保険
先ほどフリーランス・個人事業主は労働保険に加入できないことをお伝えしましたが、フリーランス・個人事業主は「もしもの時の対策」として民間の保険に加入することができます。
民間の保険とは社会保険ではなく民間企業が行う保険サービスのことです。有名なものにはGMOの「FREENANCE」や、フリーランス協会の運営する保険サービスなどがあります。
なおフリーランスが任意で加入できるおすすめの民間の保険には、リスクの種類によって以下の3つの代表的なものがあります。
・傷害保険
・賠償責任保険
・生命保険
傷害保険
傷害保険とは、主に怪我のリスクに備えることのできる保険です。なお傷害保険は、他人に負わせてしまった怪我や病気による入院などは給付の対象にならず、あくまでも自分の怪我などのリスク対してかける保険となります。
例えば運送業や工事現場での作業員など、仕事中での事故や怪我のリスクが高い人にとっては入っておきたい保険のひとつと言えるでしょう。なお傷害保険の場合は、持病があって医療保険に入れない場合でも加入できるケースがあります。
賠償責任保険
賠償責任保険とは、自分の事業責任で他者に損害を与えてしまった場合に適用される保険です。
もともとは法人向けの保険であり、例えば販売した商品などが原因で他者に怪我をさせてしまった際などに適用することができました。そのため、フリーランスの方では加入している方が少ない保険でもありました。
しかし近年では納期遅れや情報漏洩といった、フリーランスに向けた補償がなされる賠償責任保険が増えていて、フリーランスや個人事業主でも加入する方が増加しています。職種毎に補償内容も多岐にわたるため、業界団体にも確認すると良いでしょう。
生命保険(死亡保険)
生命保険は契約した人が死亡した場合、もしくは高度障害状態になった場合に、受取人に対して給付を行う制度のことです。
生命保険はフリーランスや個人事業主の方でも加入することができ、万が一の際に子どもや家族が困らないように備えておくことができます。
なお生命保険にはさまざまなプランや制度があり、受け取る金額によって掛け金も大きく変化します。保険料が一定ではないぶん、自分の生活や収入に合わせてプランを選びやすいというメリットもあります。
フリーランス・個人事業主に関わる保険の知識をつけたい方は?
フリーランスや個人事業主になった場合、まずは健康保険やそのほか民間の保険を選び、事業を安心して始められる体制を整えることが大切です。そして、フリーランスの保険手続きに関する知識をつけたい方は、ぜひStockSunサロンに入会しておきましょう。
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