障害者が転職や独立を考えるなら、就労移行支援・A型・B型を安易に選ぶべきではない
- 伊勢 将輝
- 記事制作日2026年5月8日
- 更新日2026年5月8日
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障害者の働き方を考える時、よく勧められるのが就労移行支援や就労継続支援A型・B型です。
ですが、転職したい人、一般就労でキャリアを作りたい人、将来的に独立したい人にとって、このルートが本当に最適かといえば、そこはかなり慎重に考えるべきです。
厚生労働省の整理でも、就労移行支援は「一般企業に雇用されることが可能と見込まれる人」向け、A型・B型は「一般企業での雇用が困難な人」向けの制度です。
つまり、制度そのものが最初から“一般就労に乗る人”と“福祉的就労に留まる人”を分ける構造になっています。
厚生労働省:障害者の就労支援対策の状況
もちろん、体調や障害特性によっては、これらの制度が必要な人もいます。
しかし、もしあなたが「もっと稼ぎたい」「転職したい」「スキルをつけて外で勝負したい」「独立も視野に入れている」のであれば、就労移行支援やA型・B型を安易に選ぶことは、人生の選択肢を狭める可能性があります。
この記事では、制度批判を感情論で終わらせず、構造の問題として整理します。
本文
厚生労働省が定義している時点で、A型・B型は「一般就労が難しい人向け」である
まず押さえておきたいのは、制度の建て付けです。
厚生労働省は、就労系障害福祉サービスを次のように整理しています。
- 就労移行支援
一般企業に雇用されることが可能と見込まれる人に、就労に必要な知識・能力向上の訓練を行う - 就労継続支援A型
一般企業での雇用は困難だが、雇用契約に基づく就労は可能な人向け - 就労継続支援B型
一般企業での雇用も、雇用契約に基づく就労も難しい人向け
厚生労働省:障害者の就労支援対策の状況
つまり、A型・B型は最初から「一般就労に乗る前提ではない」制度です。
ここが重要です。
もし本人が本気で転職やキャリア形成、さらには独立まで考えているなら、A型・B型に入ること自体が、
「自分は一般就労ではなく福祉的就労の側に行く」
という選択になりやすいのです。
就労移行支援も、キャリア形成の場というより「制度内訓練」で終わる危険がある
就労移行支援はA型・B型より一般就労に近い制度です。
実際、厚生労働省でも、一般企業への就職を目指す人向けの訓練とされています。
また、atGPの解説でも、就労移行支援は履歴書、面接、PCスキル、職場体験など、就職に向けた訓練が中心で、利用期間は原則2年以内と整理されています。
一見すると良さそうです。
ただ問題は、ここでも本人の時間が「支援サービスの利用者」という立場のまま消費されやすいことです。
本来、転職や独立を目指す人に必要なのは、
- 実務経験
- 収入に直結するスキル
- 市場の中で評価される実績
- 営業力
- 自分の強みの言語化
です。
ところが、就労移行支援で積み上がるものは、事業所によっては
“就職支援を受けた経験”で止まることがあります。
制度内では頑張っていても、市場に出た瞬間に通用する武器がない。
これでは、キャリアの再建ではなく、ただ時間を使っただけになりかねません。
atGPが紹介する数字を見ても、B型は「生活を作る制度」ではなく「低工賃構造」に近い
atGPの記事では、就労継続支援A型は雇用契約があり、B型は雇用契約がないと説明されています。
さらに同記事では、2019年度実績として、A型の平均月額賃金を78,950円、B型の平均工賃を16,369円と紹介しています。
(同記事は厚生労働省統計を踏まえた解説です)
ここで現実を見た方がいいです。
月1万円台の工賃では、生活は作れません。
年100万円前後どころか、それ以下の水準に留まりやすい。
これでは自立も転職準備も独立資金づくりも厳しい。
もちろんB型の役割は「高収入を作ること」ではなく、就労機会や居場所の提供にあります。
ですが、転職や独立を目指す人にとっては、その制度目的そのものがズレています。
“今は配慮を受けながら少し働ければいい”人には合っても、
“将来の収入とキャリアを作りたい”人には、必ずしも合わない。
ここを混同してはいけません。
制度には「利用者を囲い込むインセンティブ」がある
就労移行支援の儲かるからくり・仕組み
という記事では、就労移行支援の報酬が、利用人数・利用日数・定着就職者割合などで構成されると解説されています。
要するに、事業所側には少なくとも構造上、
- 利用者を集めたい
- 通所日数を確保したい
- 途中で辞められたくない
- 就職実績を作りたい
という動機が生まれます。
もちろん、これは制度としての設計であって、すべての事業所が悪質だという意味ではありません。
実際に同記事も、多くの事業所は健全で、悪質な施設は一部と明記しています。
また、令和元年度に指定取消・効力停止処分を受けた就労移行支援事業所は、記事内では約0.2%と紹介されています。
guide-ss.com
ただし重要なのは、
「善意の支援」と「事業所の経営都合」がぶつかりうる構造がある
という点です。
だからこそ、障害者本人が転職や独立を考えるなら、
「支援してくれる場所か」ではなく、
「自分の市場価値を本当に上げる場所か」
で見なければなりません。
「支援されること」が、そのまま「前に進むこと」ではない
ここを誤解すると危険です。
支援制度は、困っている人にとって必要です。
しかし、支援を受けること自体が目的化すると、人は簡単に止まります。
- 今日も通えた
- 今日も作業した
- 今日も支援員と話した
- 今日も制度の中では頑張った
これらは全部、「行動している感」はあります。
でも、その先に
- 一般就労で通用する職歴
- 転職市場で戦えるスキル
- 独立に必要な営業力や顧客獲得力
- 自分の名前で稼ぐ力
が積み上がっていなければ、キャリアは進んでいません。
障害者に必要なのは、保護の中で長く留まることではなく、
必要な配慮を受けながらも、できるだけ市場の側に近づくことです。
「福祉ビジネス」という言葉を使いたくなる気持ちは分かる。だが本当に批判すべきは“構造”だ
就労移行支援やA型・B型を見ていると、
「これは福祉ビジネスではないか」
と言いたくなる人がいるのは理解できます。
実際、guide-ss.com でも、悪質な事業所の特徴として、
- 勧誘がしつこい
- 辞めさせてくれない
- 休みがちな利用者に厳しい
- 障害理解が乏しい
- 行政処分歴がある
といった点が挙げられています。
ただ、ここで記事を感情論だけにすると弱くなります。
本当に見るべきは、
制度と事業運営の仕組みが、利用者本位より“在籍・通所・実績”を優先しやすい構造になっていないか
です。
つまり、批判すべきは個人の贅沢や噂話ではなく、
「利用者の人生設計」と「事業所の収益構造」がズレる可能性がある制度設計そのもの
です。
この視点で書いた方が、記事としても強いです。
転職や独立を考える障害者が先にやるべきこと
もしあなたが本気で人生を立て直したいなら、先に考えるべきは次のことです。
1. 一般就労ルートを切らない
最初からA型・B型に入ると、「福祉的就労に適した人」として経歴が固定されやすい。
まずは障害者雇用、在宅ワーク、短時間雇用、職種転換など、一般就労ルートを広く見るべきです。
2. スキルを“制度内評価”ではなく“市場評価”で測る
PC、ライティング、デザイン、事務、動画編集、SNS運用、営業補助。
何でもいいですが、
外でお金になるスキルかどうか
で見なければ意味がありません。
3. 独立志向なら「支援」より「実績」を優先する
独立に必要なのは、作業所経験ではなく、
- 納品実績
- 顧客対応
- 小さくても売上
- 仕事の再現性 です。
4. 事業所を見るなら「優しいか」より「出口があるか」
本当に見るべきなのは、
- 就職先の実態
- 定着率
- 利用者の卒業後の進路
- 具体的なスキル習得内容
- 見学時の空気
- しつこい勧誘の有無 です。
まとめ
就労移行支援やA型・B型は、必要な人にとっては意味のある制度です。
だから制度そのものを乱暴に全否定するのは正確ではありません。
ただし、転職したい人、一般就労で収入を上げたい人、将来的に独立したい人にとっては、安易に入るべき制度でもありません。
厚生労働省の制度設計を見ても、
A型・B型は「一般就労が難しい人向け」です。
厚生労働省
そして、guide-ss.com が指摘するように、事業所には利用者確保や通所維持のインセンティブが働きます。
さらに、atGPの解説 が示す通り、特にB型は低工賃構造で、生活や資産形成、独立準備には向きません。
だからこそ言いたい。
障害者だからといって、最初から福祉の中に収まる前提で進路を決めるべきではない。
支援を受けるにしても、目的は“所属”ではなく“前進”であるべきです。

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- 伊勢 将輝
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