憧れでフリーランスになるな。私が起業したのは、華やかさではなく「そうするしかなかった」からだ
- 伊勢 将輝
- 記事制作日2026年5月8日
- 更新日2026年5月8日
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フリーランスという働き方は、どうしても自由で華やかに見えます。
好きな場所で働ける。人間関係に縛られない。自分の力で稼げる。そういうイメージを持つ人は少なくありません。
でも、少なくとも私は、そんな憧れから起業したわけではありません。
むしろ逆です。
税金も重い。社会保険も弱い。収入も安定しない。労基法の保護もない。
冷静に比べれば、圧倒的に正社員の方が強い。条件によっては、派遣社員の方がまだマシだとすら思っています。
それでも、なぜ起業したのか。
答えはシンプルで、そうするしかなかったからです。
私は何度も家を失いました。
社員として採用されても、また最初だけで終わるのではないか。
また自宅や財産を失うのではないか。
そういう不安が、ずっと消えませんでした。
だから私は、会社に人生を預けるのではなく、請負・納品で仕事が完結する働き方に活路を見出すしかありませんでした。
夢ではなく、防衛としての独立。これが本音です。
フリーランスの記事を読むと、独立は前向きな選択として語られがちです。
もちろん、それは間違いではありません。自分で顧客を持ち、自分の裁量で仕事を進める力は、たしかに価値があります。
ただ、現実はもっと地味で、もっと厳しい。
- 収入が毎月安定するとは限らない
- 税金と社会保険の負担が重い
- 休めば売上が止まる
- 有給も退職金もない
- 守ってくれる労基法の実感が薄い
- 仕事が切れれば、そのまま不安が生活に直結する
つまりフリーランスは、自由というより、保障を手放した上で成り立つ働き方です。
だから私は、独立を美化するつもりはありません。
少なくとも「会社に入れるのに、なんとなくフリーランスになる」という選択は、かなり危ういと思っています。
20代でフリーランスは、正直かなりもったいない
特に強く言いたいのはここです。
20代でフリーランスをしている人は、かなりもったいない。
なぜか。
20代は、それだけで会社側が採用したい年齢だからです。
未経験でも育てる余地がある。
将来の戦力として見てもらいやすい。
社会保険も雇用保険もつく。
賞与、有給、退職金制度、福利厚生がある企業も多い。
そして何より、「会社員としての土台」を作りやすい時期です。
20代フリーランスは額面月収50万円でも、税金・保険料・経費を差し引くと手取りは約28万〜30万円と整理されていました。
一方で、20代正社員は月収16万〜20万円でも、社会保険の会社負担、賞与、有給、雇用保険、退職金制度などがあると示されています。

見える月収だけならフリーランスが強く見えるかもしれません。
でも、人生全体で見ると話は別です。
20代のうちに会社員として経験を積めるなら、その価値はかなり大きい。
だから私は、20代に向かって「フリーランスの方が自由だよ」と軽く言う気にはなれません。
私が起業した理由は、成功願望ではなく「生活を守るため」だった
ここは誤解してほしくない部分です。
私はフリーランスを勧めたいから、この話を書いているわけではありません。
むしろ、勧めにくいからこそ書いています。
私は何度も家を失いました。
社員として採用されても、「また最初だけで終わるのではないか」「また生活基盤を失うのではないか」という恐怖が常にありました。
会社員という働き方は、本来とても強い制度です。
でも、その制度の中に入っても、自分の人生が守られる確信を持てなかった。
だから私は、請負・納品で契約が完結するフリーランスという形に逃げた、と言った方が近いかもしれません。
華やかな独立ではありません。
むしろ、不安から逆算した結果の独立です。
この違いは大きい。
SNSで見かける「好きなことで自由に生きる」とは、出発点がまるで違います。
今でも、事業が安定しているわけではない
ここも正直に書いた方がいいと思っています。
独立したからといって、すべてが好転したわけではありません。
今でも、キャッシュの不安はあります。
仕事が続くかどうかの不安もある。
来月、再来月が読めるとは限らない。
フリーランスは、会社の外に出た瞬間に強くなるわけではありません。
むしろ、自分で資金繰りと営業と納品と継続を全部背負うことになる。
だからこそ、私は「独立すれば楽になる」とは絶対に言えません。
独立は、自由になるというより、自分の不安を自分で管理する働き方です。
障害があっても、会社員として道を切り開いている人はいる
一方で、ここは希望として書いておきたいところです。
障害があるからといって、会社員としての道が閉ざされているわけではありません。
障害のある方が転職後も高年収を維持している人もいます。
たとえば、
- 視覚障害2級・42歳の方が、法務職として転職後も年収1200万円を維持
- 上肢障害5級・36歳の方が、人事総務領域で転職し、年収550万円から630万円に上昇
という事例が確認できます。
しかも、そこには障害配慮として、
- 拡大読書器の導入
- 画面の大きなPC貸与
- 車通勤
といった具体的な環境整備も書かれていました。
これは非常に重要です。
つまり、障害があっても、会社の中で専門性を発揮し、待遇を保ち、配慮を受けながら働く道は現実にあるということです。

障害者フリーランスは存在する。けれど、それを「標準ルート」にしてはいけない
もちろん、障害があってもフリーランスとして生きている人はいます。
若くして起業し、道を切り開いてきた先駆者の存在に励まされることもあるでしょう。
そういう人たちは確かにいます。
そして、その姿に勇気をもらうことも事実です。
ただ、だからといって、それを誰にでも勧められる標準ルートとして語るのは違う。
なぜなら、起業して生きている人は、制度の外で生き延びる力を持っている人だからです。
営業力がある。
継続力がある。
納品できる。
顧客に価値を返せる。
不安を抱えながらも止まらない。
これは簡単なことではありません。
だから私は、障害者フリーランスの存在を希望として見つつも、
まず社員としての道を確保できるなら、そちらを優先していいと思っています。
大手企業や官公庁、外資系企業にいる障害者社員の方が、制度面でははるかに強い
フリーランスの障害者が「自分の力で生きている」と言うのは、たしかに一つの事実です。
でも、制度面・待遇面・工程面まで含めて見れば、大手企業、官公庁、外資系企業などで働いている障害者社員の方が、明らかに有利なことが多い。
- 上流工程に関われる
- 大きな意思決定に近い
- 社会保険や福利厚生がある
- 会社の看板と仕組みを使える
- 障害配慮を受けられる可能性がある
- キャリアの積み上げがしやすい
一方で、フリーランスはどうしても請負・納品・下請けに寄りやすい。
どれだけ頑張っても、構造上「発注者の外側」にいることが多い。
もちろん例外はあります。
でも平均的に見れば、障害者フリーランスは“自由な経営者”というより、“不安定な下請け社長”に近い局面も多い。
この現実は、もっと正直に語られていいと思います。
それでも独立するなら、「憧れ」ではなく「理由」が必要だ
ここまで読んで、「じゃあフリーランスになるべきではないのか」と思う人もいるかもしれません。
私の答えは、こうです。
理由があるなら、独立はあり得る。憧れだけなら、やめた方がいい。
独立には、華やかさより耐性が必要です。
- なぜ会社員ではだめなのか
- なぜ請負・納品型の仕事なら続けられるのか
- どうやって生活を守るのか
- 不安定さを引き受ける覚悟があるのか
- 何を売り、誰に価値を返すのか
この問いに答えられないまま独立すると、たぶん苦しくなります。
逆に、会社に人生を預ける方が危ないという現実がある人もいます。
私にとっては、まさにそれが独立の理由でした。
まとめ
私は、フリーランスを美化したくありません。
起業を夢のある話として消費したくもありません。
正社員の方が強い。
20代ならなおさら会社員をやる価値は高い。
障害があっても、会社の中で年収を維持・向上させている人はいる。
その現実を見れば、独立が最適解だとは簡単に言えません。
それでも、会社に人生を預ける方が危険だと感じる人もいる。
私にとっての独立は、まさにその類の選択でした。
ただ、私は今でもひそかに在宅の会社員のポジションも狙ってます。
だから、この記事で言いたいのはひとつです。
フリーランスは憧れてなるものではない。
それでも選ぶなら、夢ではなく、自分の人生に必要な理由を持って選ぶべきだ。
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- 伊勢 将輝
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