【異性・ビジネス】マッチングサービスの開発を始める前に確認したい5つの点
- 土門 大貴
- 記事制作日2023年7月5日
- 更新日2023年10月21日
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近年、急激に需要が高まっているサービスの一つとして『マッチングサービス』が挙げられます。
デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査によれば、『ビジネスマッチングプラットフォーム』だけでみても、2020年の市場規模が126億円、2022年が228億円と、倍近くに成長しているそうです。
しかしながら、マッチングサービスについては『作れば儲かる』という訳ではありません。
ビジネス系・出会い系に限らず、『マッチングサービス』を作る以上は、細かい点をしっかり計画した上で望まなければ、ほぼ間違いなく失敗してしまうでしょう。
そのぐらい、普通のサービスよりも難易度が高いサービスなのです。
この記事では、マッチングサービスの開発時に押さえておくべきポイントをいくつかご紹介します。
ぜひこちらを読んだ上で、今一度開発計画を見直していただき、堅実なサービスを作っていただければと思います。
1.マッチングサービスの集客はどのように行うか?
マッチングサービスで一番の難所はどこかわかりますか?それは『集客』です。
マッチングサービスは、通常のサービスに比べて集客が倍大変
『需要があれば客はつくはず』という理論は、一般的なサービスではギリギリ通用するかもしれない理屈ですが、マッチングサービスではまったく通用しません。
なぜなら、マッチングさせるAとB両方を集客しなければ、そもそも事業が成り立たないからです。
例えば通常のラーメン屋さんであれば、とにかく『お客様』の側を集客すれば問題ありませんよね。お客様さえ来てくれれば、すでにサービスを提供する準備は整っています。
しかし、例えば男女の出会いを提供するマッチングサービスにおいて、そのサービスがどれだけ素晴らしいものであったとしても、男性だけが集客された状態でサービスが提供できるでしょうか?
それはNOです。
なのでマッチングサービスの場合、マッチングさせる両者、例えば『男性:女性』、『就職希望者と企業』、『フリーランスとクライアント』、といった具合に、両方に対して集客を行う必要がある訳です。
これは単純に広告費が倍かかるだけでなく、LPやバナーの制作費も倍になりますし、管理を行うコストも倍、もしくはそれ以上に大きくなります。
そのことを念頭に入れておいてください。
基本敵に『先駆者』が強すぎる業界。WEB広告も競争率高
そして更に悩ましい点として、マッチングサービスは『すでに立場を確立している企業』が圧倒的に強いです。
もちろん、どの業界でも先駆者が強いのは当たり前ですが、ことマッチングサービスにおいては話が代わります。
なぜなら、すでにたくさん人が集まっているマッチングサービスのほうが、マッチングしやすく、選択肢の幅も広いからです。
片や1000人中からマッチング相手を選べるサービス、片や10万人の中からマッチング相手を選べるサービス……が並んでいたとして、あなたはどちらを選びますか?
多少料金が高くても後者を選ぶ人が多いでしょう。
なので、もしあなたが参入しようとしている業界において、すでにマッチングサービスの先駆者が存在している状態であれば、正直な所0から顧客を開拓するのは非常に厳しいです。
後入りで勝てる希望があるとすれば、あなたが『業界で非常に顔が効く人物』であったり、すでに別事業において『どちらか片方のリスト』を入手している……という状態であれば、五分の戦いができるかもしれません。そのぐらい厳しいと思ってください。
また、これは特に『男女のマッチングサービス』では顕著に見られることですが、
『既にマッチングサービス間で競争が起きている業界』においては、WEB広告費が跳ね上がります。
単純な『マッチングアプリ』という単語ですら、google adwordsの1クリック単価は300円以上です。エリアや年齢層を絞れば、もっと高くなるでしょう。
そのような集客コストを計算に入れた上で、収支がプラスになるのか今一度考えてみてください。
2.マッチングサービスに必要な資格は取れている?法律的な部分は大丈夫?
またアプローチする種別によっては、マッチングサービスをつくる上で資格が必要になります。
例えば、男女のマッチングサービスにおいては、基本的に『インターネット異性紹介事業者』の届け出が必要になります。
ちなみにこの届け出は『個人が運営』しているサイトであっても必要ですし、『恋愛目的ではない』場合でも、プロフィールが公開されているといった条件を満たしている状態では、届け出が必要となります。
他にも、企業と求職者をマッチングする場合は『有料職業紹介免許』や『職業紹介責任者』が必要になります。
これら資格を取る際は、単純な知識だけでなく、『財産要件』や『オフィス要件』等も確認されるので注意してください。
なお、無事資格をとって開業へ至ったとしても、運営の仕方によっては法律に抵触することがあります。
例えば異性紹介業の場合は『年齢確認の義務』や『児童が利用できない支払い方法のみ取り扱う』といった制限があります。
また職業紹介においても、『情報の的確な表示』『個人情報の取扱』『思想や出生地等の収集を行ってはならない』といったルールが定められています。
『マッチングサービスを始めたい』と思った場合は、軽い気持ちで開発を始めようとせず、こういった法律についてしっかりと調べた上で着手してください。
3.広い視点で見ても競合はいない?マーケットの難易度は?
先程、『先駆者が強い』というお話をしましたが、分かりやすい同業以外にも競合がいないか確認してください。
例えば『後継ぎが居ない会社と起業家を結ぼう!』と思った場合、競合になるのは『中小企業庁の後継者人材バンク』『日本政策金融公庫』です。
他にも『婚活専用のマッチングサービス』を作りたい場合は、全国の『結婚相談所』が競合となるでしょう。
利益がいらない自治体や、既に全国展開している相談所と競合するのは、なかなか厳しい戦いになります。
更に『このサービスは競合がいない!』と思ったら、実はすでに大手が参入を試みた挙げ句、退陣した後……ということもあります。
例えば『Pairsエンゲージ』という”結婚相談所アプリ”や、『メルカリ アッテ』という”直接会って不用品やサービスの取引ができるアプリ”がかつて存在しましたが、すでにどちらもサービスを終了しています。
これら大手でさえ上手く行かなかったところへ新規参入しよう……と考えるのは、少し無謀かもしれません。
4.そのマッチングに価値があるのか?通せんぼビジネスになってないか?
また、『そもそもマッチングサービスが必要なのか?』といったところも今一度考えてみてください。
例えば『歯医者と患者さんをつなげよう!』とサービスを作ったところで、多くの人は自分の家から最も近い歯医者さんへ行くでしょう。
よほど特殊な治療や、特殊な美容歯科を望まない限り、マッチングサービスを利用する意味が無いのです。
もしくは『車を買いたい人に最適な中古車販売店をマッチングします!』というアイデアも失敗するでしょう。
車を買いたい人がほしいのは『優秀な中古車』の情報であって、『優秀な中古車販売店』ではありません。
(もちろん、中古車販売店に詳細な中古車情報を入力させ、それを見た買いたい人とマッチングさせる、という形態であれば成功するでしょうし、実例もあります)
これらは極端な例ですが、実際、冷静に考えると『マッチングサービスが必要ない』アイデアだった……ということはよくあります。
本当に『マッチングサービスとして』必要な物なのか、今一度考えてみてください。
5.リスト化+問い合わせでも問題ないのでは?
更に、『サービスを提供したい人』『サービスを受けたい人』、両者が存在していたとしても『マッチングサービス』が必要とは限りません。
例えば『夕飯をデリバリーで済ませたい人』に対して『あなたに最適な夕飯はこれです!』とお店まで指定されたらどうでしょうか?
普通に考えれば『わざわざマッチングさせる』のではなく、デリバリーできるお店・メニューを見やすく羅列してもらい、その中からチョイスする形であるべきです。
もしくは『引っ越ししたい人』と『引っ越し屋』のマッチングサービスはどうでしょうか。
このアイデア自体はとても相性がよく、既にたくさんのマッチングサービスがある業界ですが、
『引っ越ししたい人』に『この業者が良いですよ』と紹介するとして、
そこから利用者が見積もり・打ち合わせに入るのであれば、マッチングサービスである意味がなくなります。
それならば、引越し業者のリストと、問い合わせ先の一覧を公開すればいいだけですよね?
もしこの形態で『マッチングサービス』として成立させたいのであれば、
- 引っ越し希望者に日程・距離・家具の数を入れてもらう
- マッチングサービス側が、引越し業者へ連絡し、それぞれから見積もりを取る
- 見積もりを取った中から一番安いものを選択肢、引っ越し希望者とマッチングさせる
ここまで行わなければ、『マッチングサービス』を利用する意味が無いのです。
このように、もし需要と供給を繋げたいと思った場合でも、『単なるリスト化で済むのではないか』、『間にサービスが入ることでどのような価値が提供できるのか』といった点をしっかり考えた上で、開発に入ってください。
逆に『マッチングサービスが成功しやすい事例』は?
ここまで失敗する要因について多く話してきましたが、逆に成功しやすい例についてもご紹介しましょう。
すでに本業等でデータを手に入れている
例えばあなたが、スタートアップ事業向けのアプリを提供していて、手元にあらゆるスタートアップ企業の情報を持っているとします。
この状態で『スタートアップ企業』と『スタートアップに就職したい人』をつなげるマッチングサービスを作ったとしたらどうでしょうか?
完全に0から参入する人に比べて、圧倒的に大きなアドバンテージを得ることが出来るでしょう。
繋げたい対象のどちらか片方でも、営業できるリストを持っている場合、マッチングサービスを始めても成功しやすいです。
行政から依頼や支援を受ける
先程、行政が競合となる例について取り上げましたが、
逆に行政から援助をもらって、マッチングサイトを行っている例もあります。
例えば『地方自治体と移住したい人』、『空き家を手放したい人ともらいたい人』、『人手不足の農家と農業を始めたい人』等のマッチングは行政も推進しており、
自治体等によってはそれらをつなげるマッチング事業について、補助金を出したり、運営者を探していたり、自治体ホームページで紹介を行ったり、といった取り組みをしています。
普通なら採算が取れないような取り組みでも、自治体が支援を行うならば、安定した利益を得られるかもしれません。
もしあなたのアイデアが、地域社会へ大きく貢献するものであるならば、該当する補助金や、求めている自治体がないか探してみてください。
もし上手く行けば利益率が大きく、先行者利益が大きな業種
色々とマッチングサービスについて厳しいことも書きましたが、暗い面ばかりではありません。
マッチングサービスはこれと言った出費がなく、掛かるのは広告費とシステム維持費、人件費ぐらいです。もし上手く行けば非常に高い利益率を出すことが出来ます。
また、先程も書いた通り先行者には非常に大きなアドバンテージがあります。
もしあなたの事業が上手くいったならば、それを真似する人が出てきたとしても、すでに先行しているあなたを追い越すのはなかなか難しいでしょう。
(もちろん、すでに顧客を抱えている企業や、資本力のある大手は別です……)
市場規模が圧倒的に膨らんでいる今、正しく需要にアプローチできれば、間違いなく成長できる業種です。
だからこそライバルも多いので、なるだけ慎重に開発プランを建てて、マッチングサービスとして成り立つのかを検討してください。
なおマッチングサービスについての相談、開発については、弊社で受けることが可能です。
複数のマッチングサービス開発・支援を行った経験がありますので、必ずお役に立てると思います。
是非お気軽に問い合わせくださいませ。
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