ここ1年で最も革命を起こした新技術と言えば、間違いなく『ChatGPT』が挙げられますが、残念ながら日本での普及はまだ進んでいません。

 

先日MM総研が行った調査によれば米国においては過半数がChatGPTを業務利用しているにも関わらず、日本ではわずか7%にとどまったそうです。

 

もちろん学習リソースや言語体系の差により、日本ではまだ使いにくい点があるのも事実ですが、
調べ物や分析、プログラミング等の領域ですら使われていないというのは、そもそも『ChatGPTの利用方が広まっていない』という見方もできます。

 

実際、ChatGPTを使った方がいいケースと、従来の検索エンジンを利用した方がいいケースについて、判別を行うのが難しいと感じている方が多いのかもしれません。

 

今回の記事では、どういった調べ物ではChatGPTを使えるのか、といった点をケース別にご紹介します。
(なお執筆時点ではGPT-3・GPT-4が用いられています)

 

古くから使われている汎用的な手順や考え方は『ChatGPT』

すでに解答が確立されているような問題に関しては、ChatGPTが得意な領域です。

 

例えばプログラミングをしていて、配列に要素を追加したい場合はChatGPTに聞いてみましょう。
「Pythonで配列の要素をどのように追加しますか?」と聞いてもいいですし、試しに自分でコードを書いてみて、それを添削してもらうのもいいでしょう。

 

もちろんこれは検索でも調べることが出来る内容ですが、その場合『配列とは何か』といった余計な情報がついてきたり、提供されているいろいろな例から当てはまるものを探したり、といった手間がかかります。

 

こういった汎用的な問題については、ChatGPTに聞いたほうが直接的な解答を出してくれるので、向いていると言えます。

 

わからないことがわからない時は『ChatGPT』

また逆に『何を質問したら良いのか、とっかかりがつかめない』際もChatGPTが向いています。

 

例えばあなたがとあるタスクを抱えていたとします。
割りと簡単なタスクで、特に失敗のリスクもないはずですが、何故かそのタスクだけまったくやる気が起きません。

 

こういった『言語化しようとすると長くなってしまう問題』に対処しようとした時、検索で解決策を探すのは少し難しいでしょう。
そもそも何と検索すればいいのかも迷いますし、出てくるのは『気分転換の方法』とか『タスクを後回しにする弊害』のページばかりで、あなたの精神面を分析してくれるページではないからです。

 

しかしChatGPTなら質問に答えた上で、更に追加の質問を投げかけたり、細かいやり取りを行うことも出来ます。(質問・解答の例

 

こういった質問は、同僚や家族等に相談しても同じ解答を得ることができるかもしれませんが、ChatGPTのほうが広い知識を持っていますし、余計なバイアスが付け加えられることもありません。

 

それに何より、納得いくまで延々と問尋ねる事ができます。
とある報道によれば、ソフトバンクの孫正義氏はChatGPTと毎日何度もブレインストーミングを行っているそうです。
このメリットこそ、ChatGPTの真価かもしれません。

 

何を間違っているかわからないことは『ChatGPT』

逆に『何が間違っているのか分からない』ときもChatGPTが役に立ちます。

 

例えば『合っているはずのプログラミングコードが何故か動かない!』といった場合、コードをChatGPTに提出すれば、結構な確率で間違いを見つけてくれます。

 

もしくは、英語のテストで「I have a apple.」という解答に✕をもらったとして、なぜ間違いだったのか知りたいとしましょう。
ChatGPTなら、その英文をコピペして尋ねることで『母音から始まる単語の前は"an"を使う』ということを優しく指摘してくれるでしょう。

 

これまでこういった問題は、検索した上で出てくる『間違いやすい箇所』をひたすら調べ、1個1個それに該当していないか調べる作業が必要でした。
ChatGPTなら、どこが間違えているのかすぐに指摘し、正しい解答も記載してくれます。
これも大変有用なChatGPTの使い方です。

 

 

鮮度が求められる情報は『検索』

 

では逆に、ChatGPTへ尋ねるのではなく、検索したほうがいい情報何でしょうか。

 

鮮度が求められる情報は、検索エンジンを使いましょう。
例えば『G7首脳の平均年齢』を知りたいとしましょう。一見、ChatGPTに『G7首脳の平均年齢を教えてください』と言えば答えてくれそうなものですが、これはChatGPTに聞いてはいけない質問です。

 

なぜなら、ChatGPT(GPT-3・GPT-4)のトレーニングデータには2021年9月までの情報しか含まれていないからです。
日本の岸田首相が着任したのは2021年10月ですし、イギリスのリシ・スナク首相は2022年10月に着任したばかりなので、ChatGPTはこれらの情報を持っていません。

 

なお現在こういった質問に対しては、ChatGPTが『最新の情報を持っていない』と返答することが多くなりましたが、
かつてのChatGPTでは、古い情報や架空の情報をいかにもそれらしく出していました。
今でもそういったことが起きないとはいい切れないので、しっかり念頭においた上でChatGPTを使いましょう。

 

 

アンケート結果や誰かの経験などの2次情報は検索

また『生の声に意味がある情報』等も、検索を使いましょう。

 

たとえば利用する美容室や、旅行先のホテルの評判等です。
これらについて基本ChatGPTは答えてくれませんし、答えてくれたとしても『おおよそそれっぽいこと』を機械生成しただけのレビューになります。

 

もしくは製品同士の比較や、想定する用途に使えるか、といった点も実際のレビューを検索したほうがいいでしょう。
例えば『A社とB社のイヤフォンはどちらが性能がいいか』とか『B社のイヤフォンはジム等で使えるか』といった質問です。

 

更に見逃しがちな点としては、ビジネスの裏付けとする統計情報等もこれに該当します。
例えば『高齢者はiphoneとandroidどちらの利用者が多いか』といった調査です。
ChatGPTに聞くと『iphoneは直感的に操作できるので高齢者向き』といった意見を出してくるものの、実際の統計では2:1でandroidが優位に立っています。

 

こういった生の情報にこそ価値があるケースでは、検索を用いることにしましょう。

 

精密な情報が求められるもの、検証が必要なものは検索

ChatGPTと会話していると何でも頼りたくなってしまいますが、『精密な情報が求められるもの』については、検索を頼りましょう。

 

例えば道案内をChatGPTにまかせてはいけません。
一つ検証として『福岡の天神駅から警固公園までの道案内』をChatGPTに依頼してみました。

 

位置関係としては、このようにただ南下すればいいだけのシンプルな道筋です。普通に3~4分も歩けば着きます。

 

しかしChatGPTは以下のような解答を返してきました。

 

福岡県の地下鉄空港線の天神駅から警固公園への行き方を教えます。
1. 天神駅から地下鉄空港線の「赤坂駅」方面に向かってください。
2. 「赤坂駅」で下車し、改札を出ます。
3. 赤坂駅の出口から地上に出ると、赤坂通りという大通りがありますので、それを南に進みます。
4.赤坂通りを進んでいくと、約500メートルほどで「警固公園」があります。
 

https://chat.openai.com/share/25eb54c4-dd05-491d-b3bd-a64eabf213ac

 

驚くことに、わざわざ西に離れた赤坂駅に移動させた上で、そこから南下を指示されました。

また赤坂駅から南下しても”大正通り”はありますが、”赤坂通り”はありません。
更に”大正通り”をどれだけ進んでも、東にある警固公園にはたどり着けないのです。

 

もちろん、こんな簡単な道案内をChatGPTに頼むことはまずないかもしれませんが、
例えば複雑な旅行の乗り継ぎや、システムのリカバリ方法、お菓子のレシピ等は、ChatGPTに依頼するのではなく検索したほうが賢明でしょう。

 

ましてや、法的情報・医学情報・緊急時の対応等は、ChatGPTに頼るのではなく専門家に頼りましょう。
アメリカの弁護士がChatGPTを用いたせいで、実在しない判例を裁判に提出してしまい、罰金を言い渡されたニュースがありましたが、
そのうような慎重な判断が求められるシーンでChatGPTを使ってしまうならば、致命的な結果を招いてしまうかもしれません。

 

どちらも道具として正しく使いこなそう

『ChatGPT』と『検索エンジン』について、それぞれ向いているもの、向いていない物を語りましたが、
明記しておきたい点が一つあります。それは現時点では『どちらが上』と比較できるものではない、ということです。

 

2つは完全に用途が違う道具と言えます。
検索エンジン相手に会話やディスカッションはできませんし、
ChatGPTは正確性に難があるだけでなく、現状APIを介さないとテキストしか出力できない等といった問題があります。

 

もちろん今後ChatGPTの精度は高まっていき、正確でテキスト以外も出力できるAIが出てくると思われますが、
それでも『単純なテキスト検索』が必要となる場面はまだまだあるでしょう

 

逆に言えば、これまで検索という手段でしか情報を引き出せなかったWEBの世界から、対話によって情報を引き出すことも出来るようになった訳です。
ぜひそれぞれを的確に使い分けることで、より質の高い情報収集を行っていきましょう。

 

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