デザイナーが絵を描くスキルは必須?

 

こんにちは。様々な画づくりやアートディレクションの仕事をしているELLEJOURです。

 

結論、グラフィックデザイナーに絵を描くスキルは必要ありません。

 

ここでいう「デザイナー」とはグラフィックデザイナーです。

 

デザイナーは絵を描く仕事ではなく、「情報をわかりやすく整理する」「見やすくビジュアル化」する仕事で、必ずしも画を描く必要はありません。

 

文字をレイアウトし、図形や素材を使ってビジュアル化することで、デザインは完成します。

 

絵が必要になった際、自分が描かなくても、イラストレーターに外注したり、ストックフォトなどでイラストを購入したりすることもできます。

 

一方で最近、「絵を描けるようになりたい!」という相談をインターンのデザイナーからよくいただきます。

 

「デザイナーに絵を描くスキルは必要ではない」と述べましたが、実際に以下のようなシュチュエーションで必要性を感じることもあります。

 

  • フリー素材やストックイラストはオリジナルではないため為、絵がかぶってしまう。
  • フリー素材やストックイラストのトンマナが合わない。
  • 外注する予算や日数が足りない。

 

ここから先はこんな方におすすめの記事です。

 

・絵を描くことに興味がある方

・絵を描くこと以上に、デザイナーに必要なスキルを身につけたい方

 

 

 

上手い絵って?

 

では、そもそも「上手な絵」とはどんな絵か。

 

「絵」といっても漫画系やリアリティのある絵など幅が広く、そして作家性・アート性が高い絵など、様々です。

ここではざっくり、もののカタチを知っていることを「上手い絵」とします。

 

「ドラえもん」を描いてと言われて、思わず吹き出してしまう(汗)、奇妙キテレツなドラえもんではない絵が描ける状態です。

 

 

 

絵が上手くなる方法はコレ!

 

それで結局、絵を描くにはどうしたらいいの?

 

20年以上絵を描いている私の結論、一番おすすめの修練方法が

 

「デッサン」です。

 

デッサンとは紙に鉛筆でりんごを描くあれアレです!

 

りんごを例にすると、デッサンは目の前にある「りんご」を見たままに描きます。

 

 

 

そもそも、絵はすぐに上手くなるの?今さら意味ある?

 

英語や数学と同様で、正直すぐには上手くならないと思います。

 

ただ、数学などの学問と違い、絵は体系化しにくい、才能が必要で、そして描けば描くほど、上手くなるという根性論で語られることが多いため、途中で描くのをやめる方が多いと感じますが、実際はそうではないと感じます。

 

デッサンは根性論やセンスではなく、「観察する目」が重要です。

 

今回、インターン生に質問されたことをきっかけに、この記事を書くことにしたのですが、10枚描いた人の絵と、1万枚描いている人とのクオリティには差があるかもしれません。

 

ですが、1万枚描かずとも、デッサンにより絵を描くこと以外のスキルが身につく、実践ですぐ使える考え方が学べるのがデッサンだと思います。

 

 

デッサンで習得できる技

 

りんごを描くフローとともに、絵を書くことで習得できる技を簡単にご紹介します。

 

 

 

 

 

STEP1 構図を決める

紙のどこに、どのようなサイズでりんごを描くのかを決めます。

 

▶︎言わずもがな、グラフィックデザインでも必須となる構図のトレーニングになります。

 

STEP2 カタチをとる

りんごのカタチをじっくり観察します。

りんごは正円のような丸いカタチではなく、5角形に近く、ヘタに近いところは膨らんでおり、

徐々にすぼまっているなど、様々なことを観察します。

 

▶︎本来のカタチ通りに描くのがデッサンの為、りんごは丸いという主観や思い込みではなく、客観的に見る必要があります。

それによって、回を重ねるごとに、客観的に本質的な部分を観察する目が養われます。

デッサンで書くような鉛筆イラストのような絵を受注することはあまりないかもしれませんが、

まず、そのもの「らしい」というカタチをつかむ技術を習得することで、デフォルメしたり、記号化したり、簡略化する際に役立ちます。

 

STEP3 明暗をつけ、立体感・質感を表現する

様々な光源が影響する、明暗を観察し、鉛筆と消しゴムで陰影をつけていく作業。

200gりんごであれば、200gの重量を感じるように、薄い紙を描く場合は薄さを軽さを感じるように表現していきます。

また、絵は全てを同じようにしっかり描くと、平面的にみえます。

手前のものはしっかり描き、ぼんやり描くと奥にあるように見える・・・など画面の中で再構築し、書き込み具合をコントロールしていきます。

 

▶︎デザイン制作において、素材を扱う際に見る側に軽快な印象を与えたり、高級感を感じてもらえるように・・・など1つの素材を変化させて、ビジュアルを作るシーンが多々あります。

その為、「どこ」を「どうしたら」そう見えるのかという訓練にもなります。

写真や映像表現でも同様に、自然でよりリアルで自然なレタッチ・合成加工などをすることにいかせます。

また、注目させたいものに視覚がいくように、照明など撮影機材を使用し、スムーズに視覚認知コントロールすることが可能になります。

Blenderでオブジェクトをよりリアルに見せることにも活かせます。

 

デッサンは絵が上手くなるのは勿論のこと、デザイナーに最も重要な「もの」を見る力を養うのに最適です。東工大の授業でデッサンが取り入れられているのも納得です。

 

 

デッサンが現場で一番役立っていると感じること

 

観察力が上がる

前述の通り、デッサンはまず様々な観察をします。

 

・対象物の構造など本質

・明暗や質量

 

私はクライアントワークやプライベートでイラストも描きますが、それがメインの仕事ではない為、一番役に立っていると感じるのは「写真」や「映像」の仕事です。

 

写真や映像はグラフィックデザイン同様、素材を合成させて画を完成させることも多くあります。

見る側に「自然」と感じていただく為に、質量や明暗をコントロールし、絵を描く行為と同じことをするのです。

自分が手を動かさない場合であっても、より自然に見せるためにはどうしたら良いかの判断ができます。

 

余談ですが、ビジネスプロフィール写真などでも多少のレタッチ・加工は必須です。

いかに違和感なく、いかに自然に美人に見せたり、イケメンに見せるのにも必要です(笑)

 

 

ディレクション力が上がる

前述の観察力と通じるのですが、資料からより多くの情報を読み取ったり、ビジュアルを観察したり、違和感を言語化するなど、修正指示が的確かつ、スムーズになると感じています。

 

 

見たままのりんごを描くなんてつまらない!

 

りんごを自分の感性でりんごを歪ませたり、あえてギザギザに描きたい!と思った方はすでに、アーティストの領域なのかもしれません。

 


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