AIの可能性が広がるなか、翻訳業界でもAIを取り入れる企業は増えています。

しかしながら、翻訳においてはまだまだ、AIにまかせられない分野が多く存在します。

その一つが、医療分野です。

 

近年の医療分野は、AIや遺伝子工学、感染症対策など多方面で急速な進化を遂げています。2025年現在、医療翻訳の現場でもこれらの最新トピックへの理解がますます重要になってきました。

本記事では、国際医療会議、英語論文、報道で頻出の医療英語キーワード14語を厳選し、医療翻訳者や関係者向けに日本語でわかりやすく解説します。

 

Generative AI Diagnostics(生成AI診断)

Generative AI Diagnostics(生成AI診断)とは、ChatGPTのような生成AIを用いて、症状の問診、診断サポート、カルテの作成などを自動化する動きのことです。

臨床医の業務負担を軽減するとともに、診断の正確性向上が期待されています。

ただ、誤診や責任問題の部分に課題が残されており、今も議論されている途中です。

 

Digital Therapeutics (DTx)(デジタル治療)

Digital Therapeutics (DTx)(デジタル治療)とは、医療用アプリやプログラムを使った治療方法のことです。

糖尿病や不眠症、ADHDなどに対し、薬ではなくソフトウェアで症状を改善する方法が試みられています。

すでに欧米では規制当局により認可されたものも存在しているようです。

 

Precision Medicine(精密医療)

Precision Medicine(精密医療)とは、遺伝子や生活習慣、環境要因などの情報をもとに、患者一人ひとりに合わせた最適な治療を行うアプローチです。

特にがん治療の分野で進展が著しくなっています。

 

Wearable Health Tech(ウェアラブル医療機器)

Wearable Health Tech(ウェアラブル医療機器)とは、スマートウォッチや皮膚に貼るセンサーなど、身につけて体調を常時モニターできる機器のことです。

心拍数、血糖値、睡眠などの情報をリアルタイムで管理可能です。

スマートフォンなどでもすでに、機能が搭載されていますが、それらも含めて「Wearable Health Tech(ウェアラブル医療機器)」というので覚えておきましょう。

 

Telemedicine / Telehealth(遠隔医療)

Telemedicine / Telehealth(遠隔医療)とは、診察やカウンセリングをビデオ通話やアプリを使って行う仕組みのことです。

コロナ禍で急速に普及し、通院が難しい患者や地方医療にとって重要な手段となり得る点で期待されています。

 

mRNA Vaccines(mRNAワクチン)

mRNA Vaccines(mRNAワクチン)とは、新型コロナウィルスで注目されたワクチン技術で、従来よりも早くワクチンを作れる点で期待されています。

現在ではインフルエンザ、RSウイルス、がんワクチンなどにも応用が進んでいます。

 

CRISPR Gene Editing(CRISPR遺伝子編集)

CRISPR Gene Editing(CRISPR遺伝子編集)とは、生物のDNAをピンポイントで書き換える技術です。

病気の根本治療や作物の改良などに活用されることが期待されていますが、倫理的・法的な課題も多く残っていて、どこまで実現できるかは未確定です。

 

Liquid Biopsy(リキッドバイオプシー)

Liquid Biopsy(リキッドバイオプシー)とは、血液検査だけでがんの兆候や遺伝子変異を検出できる技術です。

体への負担が少なく、早期発見や再発モニタリングが可能となるので、今後の展開に期待されています。

 

Polypharmacy(ポリファーマシー/多剤併用)

Polypharmacy(ポリファーマシー/多剤併用)とは、複数の薬を同時に服用している状態をいいます。特に高齢者で多く見られ、副作用や飲み合わせのリスクが課題となっています。

 

Medical Care for Technology-Dependent Children(医療的ケア児)

Medical Care for Technology-Dependent Children(医療的ケア児)とは、人工呼吸器や経管栄養など、日常的に医療機器が必要な子どもたちのことです。

医療、教育、福祉の連携が不可欠な支援分野なので、医療分野だけではなく、行政、政策立案の分野でも注目されています。

 

Healthcare Digital Transformation (Healthcare DX)(医療DX)

Healthcare Digital Transformation (Healthcare DX)(医療DX)とは、電子カルテの共有、AIによる診断支援、患者ポータルの導入など、医療現場全体のデジタル化のことを指します。効率化と医療の質の向上を目指すことが大前提ですが、慣れるまでに時間がかかったり、混乱が生じたりする可能性もあり、なかなか進んでいないのが現状です。

 

Pandemic Preparedness(パンデミック対策)

Pandemic Preparedness(パンデミック対策)とは、感染症の世界的大流行に将来的に備える取り組みのことです。

ワクチン開発体制、情報共有システム、感染症サーベイランス体制の強化が主な焦点となっています。

 

One Health(ワンヘルス)

One Health(ワンヘルス)とは、人間・動物・環境の健康はつながっているという考え方で、環境保全や、動物愛護なども含まれています。

特に、動物も含んだ感染症、例えばBSE(牛海綿状脳症)や、鳥インフルエンザへ、の対策に不可欠な視点だと言われています。

 

Antimicrobial Resistance (AMR)(薬剤耐性菌)

Antimicrobial Resistance (AMR)(薬剤耐性菌)とは、抗生物質などの薬が効かない菌のことを指します。

近年、これらの菌が増えており、治療困難な感染症が増加傾向にあるようです。

WHOも重大な国際的健康リスクとして警鐘を鳴らしています。

 

まとめ

こうした新しい用語や概念は、逐次登場するだけでなく、背景知識や制度、倫理的文脈もセットで翻訳される必要があります。

当方では、これらの最新キーワードを踏まえた医療翻訳・医療通訳・学術英語編集サービスも提供しています。

国際会議資料、論文、Web記事、病院案内などの翻訳・編集が必要な際は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

 

株式会社LA ORG(https://la-org.com/)