新型コロナウィルスまん延の影響でウェビナーなどが増え、動画制作会社さんからの字幕翻訳のニーズも高まっています。

 

今回は字幕翻訳で使われる専門的な用語のうち、知っておくべき25個の用語を紹介します。英語ができる方は字幕翻訳のオファーを受ける可能性が高くなっているので、翻訳家の方も是非最後まで読んでみてください。

 

「字幕」を英語でいうとSubtitle。でもその種類はたくさんある。

字幕のことを英語で「subtitle」と言います。

日本語では映像に入る字幕情報をまとめて「テロップ」と言います。

サブタイトルにはいくつか種類があるので以下の用語を頭に入れておきましょう。

 

Closed Caption

Closed Captionとは映像データとは別に作成される字幕のことです。

別々に作成されるので、視聴者の都合によって表示・非表示を切り替えることができます。

日本語でもクローズド・キャプションと言ったり、テレビやリモコンの表示に「CC」と書かれたりしているので聞いたことがある人もいるでしょう。

洋画を字幕で見るときの字幕はこのclosed captionにあたります。

そのほかにも耳が聞こえなかったり、聞きにくかったりする方に向けた字幕もこのclosed captionのひとつです。

参考までに、映像と別のデータとして字幕を作成し、映像と連動させることをEncodingといいます。

 

Foreign subtitles

映像のなかで話されている言語とは異なる言語の字幕のことです。

Interlingual subtitlesと言われることもあります。

洋画を字幕で見ているときに表示される日本語字幕はForeign subtitlesです。

す。

 

Interlingual bilingual subtitles

映像で使われている言語とは異なる2つの言語を同時に字幕表示することです。

Dual subtitleと言われることもあります。

1つの国のなかで公用語とは別の言語が複数、話されている国でよく使われています。

 

Intralingual subtitles

映像で話されている言語と同じ言語の字幕表示です。

 

Verbatim subtitles

映像で話されている言語を一語一句表示する字幕のことです。

 

Open Subtitles

常に画面上に表示されている字幕のことです。

日本語ではオープンキャプションといったりします。

字幕は映像と一体になっているので、非表示にはできません。

以前はフィルムに直接焼き付けられていたので、burnt in subtitleと呼ばれることもあります。

映像データそのものに字幕をいれてopen subtitleをつくる作業をburningといいます。

アニメーションのなかに絵として書かれている文字はgraphic textといいます。

 

Forced Subtitles

映像とは別に作成した字幕で、非表示にできない字幕のことをForced Subtitlesといいます。

主にスピーチや映像の内容説明や、外国人のインタビュー、同じ言語でも聞き取りにくい部分があるときに使われます。

 

Closed Captions for the Deaf and Hard of Hearing

主に音声が聞こえない、聞こえにくい人のための字幕です。

洋画の日本語字幕とは違い、映像で話されている言語と同じ言語の字幕が表示されます。

また、セリフだけではなく、話者名や「水を流す音が聞こえている」など場面の説明にも使われます。

アメリカではSDH(Subtitles for Deaf and Hard of Hearing)といわれています。

 

Live subtitling

音声が聞こえない、聞こえにくい人のために生放送で話されている言葉を同時に表示する字幕のことです。

ニュース番組やスポーツ番組で使われることが多いです。

 

Edited subtitles

映像の中で話されている言葉を一語一句表示するのではなく、わかりやすくまとめて説明した字幕のことです。

講演会やスピーチ映像などによく使われます。

 

字幕の表示方法に関する用語

サブタイトルを映像に入れ込む技術や手法にも、それぞれ名前がつけられています。

ここでは、映像に字幕を表示させる作業をするときに重要な用語を紹介します。

 

Sync

字幕を映像の口の動きや、言葉が話されるタイミングに合わせて表示させる方法。

 

Offset

字幕表示のタイミングをより自然に見せるために表示させるタイミングを前後にずらすこと。

 

In time/Show time

字幕表示を開始するタイミング。

 

Out time/Hide time

字幕表示を終了させるタミング。

 

Alignment

字幕の表示位置を水平方向にそろえること。左端揃え、中央揃え、右端揃えなど。

 

Placement

字幕を読みやすくするために、映像の内容に合わせて字幕表示の位置を変えること。

映像の中に消せない字幕があったり、背景がごちゃごちゃして字幕が見えにくかったりする場合にplacementを行います。

 

Subtitle background

字幕を読みやすくするために背景に色をつけること。黒や半透明の黒を使うことが多いです。

 

Pop-on Subtitles

字幕表示を表示させたり、非表示にしたりする手法のこと。

 

Roll-up Subtitles

上や下方向に1行ずつ流れていく字幕の表示方法。

オンラインセミナーや生中継の映像に適しています。

 

Block subtitle

まとまった字幕を数秒間画面に表示させたあとに非表示にする方法。

Edited subtitleを表示させるときに使われることが多いです。

 

Line breaks

字幕のなかで改行される場所。

字幕は長さが限定されるので、一定の長さで行を終わらせる必要があります。

字幕のキリの良い場所がLine breaksです。

 

その他、知っておいたら良い用語

最後に、字幕翻訳を行う際に必ず知っておかなければいけない、というわけではありませんが、知っておいたら便利、という用語を紹介します。

 

Transcription

映像で話されている言葉を文字化すること。

Transcriptionには以下の4種類があります。

  • verbatim transcription:一語一句、話されている言葉通りに文字化すること
  • discourse transcription:verbatim transcriptionに、言葉のトーンやスピード、間などの情報を付け足して文字化すること
  • intelligent transcription:内容がより正確に伝わる表現に少しだけ書き換えて文字化すること
  • summarized transcription/ edited transcription:内容は変えずに、より伝わりやすい表現に編集して文字化すること

 

Character limit

1行に入れ込むことができる句読点を含んだ文字数。

国や言語によってその基準は異なり、日本のテレビ番組の場合10文字から14文字、BBCであれば1行あたり37文字と言われています。

 

Time stamps

映像のtranscriptに記載された、セリフや音が発せられる時間表記のこと。

通常分と秒で記載されています。

 

Time-coding

Transcriptに字幕が表示、または非表示になるtime stampsを記述していく作業。

字幕を表示させるタイミングを決めることを spotting、またはcueingといいます。

 

まとめ

字幕翻訳を行うときに知っておくべき用語の紹介をしました。英語を使いこなしている方でも、知らない用語があったのではないでしょうか。

 

字幕翻訳の仕事が舞い込んで、打ち合わせでちんぷんかんぷんにならないように、今回、紹介した用語をおぼえておくとよいでしょう。

 

動画制作会社さんについては、ウェビナー等の動画を翻訳する必要が出た際には字幕翻訳の経験があるプロに相談するのも一つの方法です。

 

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