言葉は日々変化しています。

翻訳家としても言葉の変化や新しい単語については敏感になっておきたいものです。

特に近年、ITの普及によってソーシャルメディアやライフスタイルに関する新しい単語が生まれています。

今回は、近年のITの普及によって生まれた新しい英単語を紹介します。


Finfluencer

Finfluencer(フィンフルエンサー)とはファイナンス(Finance)とインフルエンサー(influencer)の二つの単語を合わせて作られた単語です。

インフルエンサーはみなさんご存じの通り、ソーシャルメディアなどで積極的に発信して社会や政治などに影響を与えている人のことです。

フィンフルエンサーとはお金や投資に関する発信をネット上で行い、それなりの影響力を持っている人のことを言います。


例文

Tori Dunlap’s savings journey turned her into a full-time finfluencer.

(トリ・ダンラップの貯蓄経験は彼女を常勤のフィンフルエンサーに変えた)


引用元:NYYimes ウェブ版(https://www.nytimes.com/2022/04/16/your-money/tori-dunlap-financial-influencers.html?searchResultPosition=1


同じような意味でpetfluencer(ペットフルエンサー)という言葉もあります。

ペットの写真やペットについてソーシャルメディアで発信しており、影響力を持っている人のことを言います。

フィンフルエンサーのペット版ということになります。


またKidfluencerという言葉もあります。

これはインスタグラムなどでの投稿で影響力を持っている子どものことです。


Nomophobia

Nomophobia(ノモフォビア)とは携帯電話がないと不安でしょうがない人のことを言います。

No mobile-phone phobiaを短縮してできた単語です。


例文

I think I am nomophobia. I just can’t leave a house without my mobile phone.

(僕はノモフォビアだと思うんだよね。携帯電話を持たずに家を出ることができないんだ)。


She is a nomophobia. She is always looking at her smart phone even she is with her boyfriend.

(彼女はノモフォビアだね。彼氏と一緒にいる時でさえスマホを眺めているからね)。


Sharenting

シェアレンティング(Sharenting)とはソーシャルメディアなどで子どもの写真や子どもの生活を友人とシェアすることを言います。

子どもの写真や動画を子どもの同意のないままソーシャルメディアに上げることは、子どもの権利を侵害する可能性もあると注意喚起されるときなどに使われる言葉です。


例文

Sharenting and how it violates our children’s rights

(シャアレンティングは子どもの権利をどのように侵害するのか)


引用元:Forum for Bangladesh Study(https://forumbangladeshstudies.com/2023/07/11/sharenting-and-how-it-violates-our-childrens-rights/



Virtual fashion

Virtual fashion(ヴァーチャルファッション)とは仮想空間でアバターや自分に着せる洋服のことです。

近年NFTの普及によってデザインが守られるようになり、オンラインでデジタルデータとして「洋服」が売られるようになりました。

物理的に着られるわけではないのですが、自分の写真や動画に着せることができます。

グッチやルイ・ヴィトンなども仮想空間で「洋服」を販売しており、近年注目を集めています。


Gig worker

Gig worker(ギグワーカー)とは単発の仕事を請け負って収入を得る人のことを言います。日本ではフリーランサーと区別される場合もありますが、長期的に一つの企業に勤務せずにプロジェクトベースで企業や個人と契約を結んで働く人の全般を指します。

ですので、欧米ではGig workerといえばフリーランスの通訳やエンジニア、デザイナーもgig workerに含まれることもありますが、日本では専門技術のない単発的な仕事を請け合う料理の宅配請負人のような人々をgig workerと呼んだりしています。


例文

Gig workers advocate for more safety following attacks on drivers

(宅配ドライバーの襲撃が相次ぐなか、ギグワーカーらが安全性向上を訴えっている)。


引用元:Entrepreneur(https://www.entrepreneur.com/business-news/gig-worker-safety-in-question-after-recent-attacks-on/450870


Side hustle

Side hustleは副業という意味です。

従来はSide Jobという言葉が使われていましたが近年、特にインターネットの普及により多くの人々が副業を行えるようになってからはSide hustleという表現が多く使われるようになりました。


例文

She Used $10,000 in Savings to Turn Her Side Hustle Into an 8-Figure Brand You've Probably Seen

(1万ドルの貯金を副業に投資し、彼女はあなたも知っている 8 桁の売上があるファッションブランドを構築)


引用元:Entrepreneur(https://www.entrepreneur.com/growing-a-business/her-side-hustle-became-an-8-figure-brand-youve-probably/455803)


Deplatform

Deplatform(ディプラットフォーム)とはソーシャルメディアなどから人を排除する行為のことを言います。

たとえば、アメリカのトランプ元大統領のツイッターのアカウントが凍結されたことがありました。

これによりトランプ元大統領はツイッターで発言できなくなったのですが、これをディプラットフォームと言います。

この状況を英語で表現するとTwitter deplatformed former president of USA Trumpなどと言えるでしょう。


Touch grass

Touch grass(タッチグラス)とは「外に出なさい」「太陽の光を浴びなさい」という意味で使われます。

たとえば家にこもってゲームしかしていない子ども、YouTubeばかり見ている子どもに対して「Stop playing video game and touch grass」と言ったら、「ゲームばかりしていないで、外に出なさい」という意味になります。


Digital nomad

Digital nomad(デジタルノマッド)とは、オンラインで仕事をしているため、固定の居住地を持たずに国内や国外を旅しながら生活している人のことを言います。

現在、アメリカ合衆国には480万人のデジタルノマッドがいると推定されています。


Cyberflashing

Cyberflashing(サイバーフラッシング)とは、ソーシャルメディアなどで性的な動画や写真を他人に送りつける行為のことを言います。

IphoneなどではAirdrop機能を使って性的な写真や動画が見知らぬ他人から送りつけられることもあります。


例文

For women, cyberflashing has become yet another danger of using IT.

(女性にとって、サイバーフラッシュはITを使用する際の新たな危険となっています。)


まとめ

今回はデジタル社会の進展により近年使われるようになった英単語を10個紹介しました。

言葉は常に変化をしますが、ITの急速な普及によって言葉が変わるペースも早くなっています。

そのため、自前で翻訳をするにも知識が追いつかず難しくなっているのが翻訳の現状ではないでしょうか。

その点、常に新しい言葉を意識しているのがプロの翻訳家です。

ITが普及した社会で起こっていること、デジタル社会を舞台にしたドラマや動画の翻訳については、プロの翻訳家に相談することをお勧めいたします。