海外の株式市場に株式公開をしたいけど、どの証券取引所に公開していいのかよくわからないと悩んでいませんか?

基本的に企業は、各国において一つの証券取引所にしか上場できないことになっています。

 

そのため、上場する証券取引所を選ぶときには慎重になる必要があります。

この記事では、世界を代表するアメリカの2大取引所であるニューヨーク証券取引所とNASDAQ(「ナスダック」と読みます)株式市場について簡単に解説をします。

 

この記事を読めばアメリカの2大取引所の特徴がわかると同時に、多くのITベンチャー企業がNASDAQに上場する理由や、NASDAQに上場できない場合にはどうしたら良いのかがわかると思います。

ぜひ最後までお読みください。

 

ニューヨーク証券取引所(NYSE)

ニューヨーク証券取引所は1792 年に設立されたアメリカで最も歴史のある証券取引所です。

英語名のNew York Stock Exchangeの頭文字をとって「NYSE」と表記されることが多いです。

NYSEには2023年3月の時点で2,385社が上場しています。

 

歴史があること、世界を代表する証券取引所ということもあり、NYSEに上場するためには厳しい基準があります。

たとえば、2,200 人以上の株主がいなければいけない、1日の平均取引高が100,000株以上なければいけない、資本の総額が7億5,000万ドル以上ないといけない、税引き前の利益が1,000万ドル以上なければいけない、という条件があります。

 

日本の企業で最も早くにNYSEに上場した企業はソニー(1970年)です。

その後、本田技研工業(1977年)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(1977年)、オリックス(1998年)、トヨタ自動車(1999年)、キャノン(2000年)などが上場しています。

このようにNYSEには日本を代表する大手企業が上場しています。

 

NASDAQ株式市場

NASDAQ株式市場もNYSEと同じくニューヨークに本拠が置かれています。

NASDAQはNational Association of Securities Dealers Automated Quotationsの頭文字です。

 

1971年に設立されたNASDAQにはNYSEとは異なり物理的な取引所がありません。

今となっては珍しくはありませんが、完全に電子化されたシステムによって株式が取引されています。

2023年3月の時点でNASDAQ取引市場には3,611企業が上場しており、取引株数においてもNYSEを上回っています。

 

NASDAQ株式市場に上場する条件としては、事業の継続期間が2年以上、300人以上の株主が必要なほか、1,500万ドル以上の時価総額株を1,000,000株以上発行している必要があります。

NASDAQの大きな特徴としては、世界で最も「技術」を商品とする企業が集まる証券取引所ということです。

 

たとえば、マイクロソフトが1986年にNASDAQに上場しているほか、アップル、アマゾン、フェイスブック、Googleなどが上場しています。

日本企業ではメディロム(2020年)、吉通貿易(2022年)やWarrantee(2023年)の日本法人が直接上場しているほか、くら寿司やA.L.I. Technologiesの米国法人や、ハートコア株式会社の持株会社などが上場しています。

 

NYSEに上場している日本企業のほとんどは東京証券取引所と重複した上場ですが、NASDAQに上場している3社はNASDAQだけに上場しているという傾向があります。

 

NYSEとNASDAQの違い

歴史と権威のあるNYSEに上場できる企業であってもわざわざNASDAQを選ぶ企業があります。

その背景にはNYSEに上場するコストが非常に高くなるということがあります。

 

まず、NYSEに上場するためには多ければ250,000ドルを支払う必要があります。

また、年間の上場手数料(年会費)も上場している株式数にもよりますが、最大で50万ドルかかります。

 

その反面、NASDAQに上場する際には50,000ドルから75,000ドル支払いですみます。また年間の上場手数料(年会費)についてもNASDQは約27,500ドル程度ですみます。

したがって、初期資本が少ない企業にとってはNASDAQを上場先に選択する傾向があります。

 

OTC

OTCとはOver the Counterの略で日本では店頭販売と言われます。

OTC株は証券取引所を通さずに証券会社が直接取り扱うようになります。

 

NYSEやNASDAQなどの主要な取引所から「上場廃止」された企業は、通常OTC株として取引されます。

株主数が 300 人未満の企業は店頭株式の買い値と売り値を毎日一覧表示するピンクシートと呼ばれる「市場」に上場します。

 

ピンクシートに掲載される企業は四半期財務諸表の提出などが義務付けられていないので規模の小さい企業はOTC株としてピンクシートの登録を考えても良いかもしれません。

 

まとめ

今回はアメリカの証券取引所について簡単に解説をしました。

2020年にメディロムが直接NASDAQに上場して以来、日本企業でもNASDAQ上場を目指す企業が増えています。

 

その理由は、アメリカの投資家の方がスタートアップやベンチャー企業、新しい技術への期待度が高く、資金を得やすく、上場後の株価についても日本の市場と比べて可能性が高いからです。

 

ただ、NASDAQやアメリカの証券取引所に上場できるポテンシャルがあっても、英語で書類を準備する必要があることから、最初から諦めてしまう企業も多くあります。

NASDAQに上場を考えているのであれば、書類の翻訳という点で支援ができますので是非ご相談ください。