翻訳をしている時に日本語に訳しにくい言葉ってありますよね。

カタカナのままでもわかりにくいし、日本語に訳しても意味が通じない言葉をどのようにするのか迷わされます。


実は、翻訳する際にはこの言葉が出てきたらカタカナのまま、この言葉はカタカナ表記をせずにしっかりと日本語に訳すということはきっちりと決まっていません。

特に、IT関連の新しい言語や、車やバイクの部品名や部品の種類の名前などはカタカナで表記される場合もあれば、日本語に訳される場合もあって、そのルールは曖昧です。


それでは、翻訳をする際にはどのような時にカタカナ表記をして、どのような時にきっちりと日本語に訳すべきなのでしょうか。

今回は、カタカナ表記をするときとしないときの翻訳家の心得とまではいきませんが、参考となる基準について説明いたします。

この記事を読めば、カタカナとして残すか、日本語に訳すか迷うことが少なくなることでしょう。

ぜひ、参考にしてください。


業界での言葉の使われ方の傾向を調査する

わたしたちが聴きなれない言葉であっても、業界では一般的にカタカナ表記で使われている言葉があります。

例えば、最近AIの業界で「copilot」という言葉が頻出するようになりました。

「copilot」とはユーザーの操作をAIを使って補助する仕組みのことを言います。


この言葉が出てきた当時は「副操縦士」と訳されることも多かったのですが、最近はマイクロソフトが「コパイロット」という言葉をそのまま製品名に取り入れるようになったため、コパイロットとカタカナ表記をすることが多くなりました。


あるきっかけで言葉の使い方が変わることもありますし、時間をかけてカタカナ表記が馴染んでいく場合もあります。

変化の激しい業界の言葉については、常にどのように表記されているのか調査し、確認するようにしましょう。


読み手がどういう人になるのかを想定する

翻訳した文章の読み手がどのような人になるのかによって、カタカナ表記にするか、きちんと日本語に訳すか(または日本語で説明するか)が変わってきます。

たとえば、オートバイのエンジンの形式にfuel injectionというものがあります。


日本語に訳すと「燃料噴射式」となります。

しかし、バイクショップやバイクの整備に携わる人を対象に書かれたマニュアルなどであればフュエル・インジェクション式とカタカナ表記で記載しても問題はないでしょう。

しかし、バイク初心者向きの雑誌やカタログなどであれば「燃料噴射式」と日本語にきちんと訳す方が親切かもしれません。


時には訳注をつけて解説をする

日本語に訳しにくく、カタカナで表記をしても意味が通じない言葉の場合、訳注をつけても良いかもしれません。

これもバイク用語になりますが「double cradle frame」という言葉があります。

日本語でも一般的にダブル・クレードル・フレームと言います。


しかし、これもよっぽどバイクに詳しい人でなければダブル・クレードル・フレームが何なのかわかる人は少ないでしょう。

そのような時には訳注をつけることを考えても良いでしょう。

たとえば「Double cradle frames are widely used by Indian bike manufacturers」という文があったとします。


この場合は以下のように記載するのが良いでしょう。


「ダブル・クレードル・フレーム(訳注1)はインドのバイクメーカーに広く使われています。

訳注1:バイクのフレームの種類。フレームヘッドから2本に別れたフレームがエンジンを囲うような形になっている」。


まとめ

翻訳をする際に日本語に訳しにくい言葉に出会うことが頻繁にあります。

その際には無理して日本語に訳すよりも、カタカナ表記として残した方がいい時もあれば、日本語の説明を加えた方がいい場合もあります。

迷った際には以下の3点について確認してみてください。


1)業界ではその言葉がどのように扱われているのかを調査する

2)読み手がどういう人になるのかを想定し、読み手の理解力にあった表記の仕方にする

3)カタカナ表記にしても、日本語に訳しても意味がよくわからない場合は、訳注をつけることを考えてみる



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