BtoB ECの相談を受けたとき、私はいきなりデザインやシステムの話をしません。


もし、そんな話を初回面談でしていたら、その会社には発注しない方が良いです。

弊社であれば、最初に確認するのは、営業人数、営業が追える案件数、利益率の高い商品、今後取りたい案件、そして「どの温度感の問い合わせが欲しいのか」です。


 

なぜなら、BtoB ECはオンライン上だけで完結する事業ではないからです。Webで獲得したリードを、営業が追い、見積もりや商談につなげ、最終的に受注する。ここまでつながって初めて、BtoB ECは営業を強くする仕組みになります。


 

逆に、営業との接続を考えずに作ると、かなりの確率で詰みます。


 

実際、私はこれまでBtoB企業のWeb営業導線を見直し、次のような成果につながった支援をしてきました。


 

  • Web経由の問い合わせ数が昨対比約1.5倍
  • 100万円を超える高額機械の見積もり依頼を獲得
  • Webから新規取引を獲得できていなかった企業で、月3件ほど新規取引の相談を獲得


 

具体的な企業名は公開できませんが、共通して行ったのは、派手なリニューアルでも、広告費の増額でもありません。


 

営業が欲しい案件から逆算し、顧客が問い合わせるまでの導線を組み直したことです。


 

まず「誰から、何の相談が欲しいのか」を決める


 

BtoB企業のWeb集客で、最初にアクセス数を見るのは早すぎます。

 

先に決めるべきなのは、次のようなことです。

  • 利益率の高い商品は何か
  • 今後増やしたい案件は何か
  • どのような企業と取引したいか
  • 対応できない条件は何か
  • 営業は月に何件まで追えるか
  • 見積もりレベルの濃い相談だけ欲しいのか
  • 資料請求や会員登録のような早期リードも欲しいのか

 

この設計がないまま「問い合わせを増やしましょう」と進めると、営業が追えないリードが増えるか、逆に激アツの見積もり依頼だけを待ち続けて何も起きないかのどちらかになります。

 

私は、問い合わせ数よりも「有効見積もり数」を重視しています。


 

件数が多くても、受注したくない案件ばかりなら意味がありません。一方、月3件でも、利益率が高く、継続取引につながる新規案件なら価値があります。

 

アクセスではなく、営業に渡した後の価値まで見る。これが、私がBtoBのWeb施策を考えるときの基本です。

 

BtoB ECは営業マンと競わせない


 

BtoB ECが社内で定着しない理由の一つが、営業部門との利益相反です。


 

オンラインショップの売上が営業担当者の評価につながらなければ、営業側から見ると、BtoB ECは自分の顧客や売上を奪う存在になります。


 

そうなると、営業は顧客へECを案内しません。必要な商品情報も提供されず、改善のための意見も上がってこなくなります。


 

そして会社側は「ECを作ったのに使われない」と判断します。

 

しかし、これはECの機能不足ではなく、制度設計の問題です。


 

例えば、既存顧客がECへ移行した場合の売上を担当営業の実績に含める。ECで獲得した新規リードを営業へ渡し、受注後の評価ルールを決める。営業が顧客から聞いた質問をWebコンテンツへ反映する。

オンラインとオフラインを別事業として扱うのではなく、同じ営業プロセスの中で役割分担させる必要があります。

 

BtoB ECの目的は、営業マンを消すことではありません。

 

顧客自身で進められる情報収集や条件整理をWebに任せ、営業マンには、個別提案、技術判断、条件交渉、社内調整といった人にしかできない仕事へ集中してもらうことです。


 

「お問い合わせ」しかないサイトは、見込み客を捨てている

問い合わせが来ない会社を見ていると、激アツの顧客しか受け付けていないケースがよくあります。

 

サイト上の入口が「正式な見積もり依頼」か「お問い合わせ」しかない状態です。

 

しかし、顧客が最初から仕様、数量、予算、納期を整理できているとは限りません。

まだ情報収集の段階なら、技術資料、商品カタログ、事例集、会員登録、サンプル請求といった軽い接点の方が適しています。

 

比較検討中なら、製品選定の相談、用途相談、概算価格、図面確認などが有効です。

購買直前になって初めて、正式見積もりや取引申請へ進みます。


 

重要なのは、リードを一種類で考えないことです。


 

ただし、資料をダウンロードした人へ片っ端から営業電話をかければよいわけでもありません。営業が何件まで追えるのか、どの条件を満たしたら営業へ渡すのかを決める必要があります。


 

営業が追える体制なら早期リードも獲得する。追える人がいないなら、フォームで条件を絞り、有効度の高い相談を優先する。


 

正解は会社ごとに違います。だから私は、施策を提案する前に営業人数と追客体制を確認します。


 

一番先に直すのは、問い合わせたい瞬間のボタン


 

サイト全体を大規模にリニューアルしなくても、成果が変わることがあります。


 

私が最初に見るのは、顧客が「この会社に相談してみよう」「会員登録してみよう」と思った瞬間に、適切なボタンがあるかです。


 

見積もりを増やしたいのに、商品詳細ページに見積もりボタンがない。


 

新規会員を増やしたいのに、会員登録のメリットが書かれておらず、登録ボタンも目立たない。

サービスの説明を読み終えても、次に進む導線がない。

 

こうした基本的な抜けは、珍しくありません。

 

顧客は、こちらが想像するほど丁寧にサイト内を探してくれません。

「問い合わせたい」と思ったタイミングを逃すと、そのまま競合サイトへ移動します。

CTAは最後に一つ置けばよいのではなく、顧客の意思決定が進む場所に配置する必要があります。

 

サイト構造を変えただけで、Webからの新規獲得がほぼゼロだった企業に、月3件ほど新規取引の相談が入るようになったケースもありました。

 

やったことは、顧客の用途や課題から必要な情報へ進めるようにし、対応範囲を分かりやすくし、相談すべき場所にCTAを設置したことです。

集客以前に、来ている顧客を取りこぼしていないか。ここを先に見るべきです。


 

Web営業は、新人営業マンと同じように育てる

売上がまだ立っていない段階で、「早く内製化したい」と言われることがあります。


もちろん、最終的に内製化すること自体はよいと思います。


ただし、立ち上げ直後からすべてを社内だけで回そうとするのは、育っていない新人営業マンに、今後参加するコンペの提案資料をすべて作らせるようなものです。

営業マンが顧客や商品を理解し、一人で成果を出せるようになるまでには時間がかかります。


 

Web営業も同じです。


 

どのページが読まれるのか。どの訴求で問い合わせが増えるのか。どのリードが受注につながるのか。営業がどこで困るのか。

これらは、運用し、データを見て、営業の声を聞きながら学習させていく必要があります。


最初から完璧なサイトを作るのではなく、仮説を立て、実行し、問い合わせの質と商談結果を見て改善する。


Web営業が育つまでには、2〜3年単位で考えた方がよいケースもあります。

重要なのは、2〜3年間ずっと外注し続けることではありません。成果が出る型を外部と一緒に作り、判断基準や運用方法を社内へ移していくことです。


売れていない状態の施策を、そのまま内製化しても、売れない仕組みが社内に残るだけです。


 

私が最初の30分で確認すること

私がBtoB企業の相談を受けたときは、主に次の内容を確認します。

 

  • 利益率の高い商品
  • 最も獲得したい案件
  • 営業人数と追客可能件数
  • 現在一番困っていること
  • 利用中、または利用予定のシステム
  • 現在取引している企業の属性
  • 顧客が抱えている課題
  • 欲しい問い合わせの温度感
  • 自社の強みと競合との違い
  • これまで実施した施策、予算、結果


システムの確認もしますが、システムから考えることはありません。

先に営業戦略と運用条件を整理し、その実現に必要な機能を判断します。
 

高機能なBtoB ECを作っても、欲しい顧客が来ず、営業が追えず、社内評価とも連動していなければ成果は出ません。
 

反対に、シンプルな構成でも、獲得したい案件が明確で、顧客が判断に必要な情報があり、営業へ適切に渡せるなら成果につながります。
 

BtoB ECは、営業を強くするための仕組みです

BtoB ECを作ること自体を目的にすると、システムの完成がゴールになります。


 

しかし、本来見るべきなのは、その後です。


 

有効な見積もり依頼が増えたか。

新規取引の相談が増えたか。

営業の説明工数が減ったか。

営業が追うべき案件を判断しやすくなったか。

受注や継続取引につながったか。


 

BtoB ECは、売上をオンラインへ移すだけの箱ではありません。


 

見込み客が自分の課題を整理し、必要な情報を確認し、相談できる状態まで進むための営業導線です。


 

だから、何も考えずに作ると詰みます。


 

営業戦略、社内制度、リードの温度、追客体制、コンテンツ、CTA、KPI。これらを一つの流れとして設計して初めて、BtoB ECは機能します。


 

私は、制作会社のようにサイトを作ることだけでも、広告代理店のように流入を増やすことだけでも、SEO会社のようにアクセスを追うことだけでもなく、営業へつながる有効なコンバージョンを増やすことを重視しています。


 

BtoB ECやWebサイトを作ったものの、新規取引や有効な見積もり依頼につながっていない場合、システムを入れ替える前に、営業導線そのものを見直す余地があります。


 

Web営業の仕組みづくりについて、具体的なアドバイスが必要な方はお気軽にお問い合わせください。

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