Webサイトの表示速度は、SEOやユーザー体験(UX)に大きな影響を与える要素です。

 

特にHubSpot CMSを利用している企業サイトやLPでは、画像やスクリプトの最適化を怠ると離脱率が上昇し、せっかくの流入を逃す原因となります。

 

本記事では、HubSpotを使ったサイト運営で「なぜ速度が重要なのか」「どのように改善すべきか」を説明します。

 

HubSpot CMSや Studioのような外部ツールを利用したWebサイトでは、サイトスピードは遅くなりがちですが、あきらめる必要はございません。

当ブログの執筆者は、WordPressエンジニアからキャリアを始め、HubSpotのエンジニア、ディレクターとして30プロジェクトほどご支援をしてまいりました。

経験に基づく少しニッチな施策もご紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

HubSpotにおけるサイトスピードの重要性

HubSpotはマーケティング機能を統合できるCMSであり、その利便性ゆえにスクリプトや外部リソースが増えてページが重くなる傾向にあります。

 

一方、Googleによるとページの読み込みが1秒から3秒に遅延すると、直帰率が32%上昇すると報告されています。

 

つまり、速度改善はユーザーの離脱防止・リード獲得・売上向上に直結する戦略的な施策です。

 

サイト速度とSEOの関係

Googleは2021年からCore Web Vitalsを検索ランキングの評価指標に正式採用しました。中でも重要視されているのが、以下の3つの指標です。

 

LCP(Largest Contentful Paint):主要コンテンツが表示されるまでの速度。目標は 2.5秒以内。

CLS(Cumulative Layout Shift):レイアウトの安定性。ユーザーが操作中に要素が動かないかどうかを測定。

INP(Interaction to Next Paint):クリックや入力後に次の描画が行われるまでの応答速度。

 

これらの数値が基準を満たしていない場合、Googleは検索ランキングにおいてマイナス評価を与える可能性があります。つまり、速度の遅いサイトはコンテンツが充実していても検索結果で不利になりやすいです。

 

したがって、HubSpot運営者にとって速度改善はSEO対策そのものであり、検索順位の維持・向上を狙ううえで不可欠な取り組みです。

 

ユーザーエクスペリエンスとサイト速度の関連性

皆さんも、見たいサイトがすぐに開かない時イライラした経験はないでしょうか?

もしかすると、もう読み込み途中で諦めて、他のサイトを見に行ったことはありませんか?

 

実際に体験されている通り、サイトスピードが遅いWebページは、ユーザーの離脱率を大きく高めることになってしまいます。

 

Googleの調査によると、サイトスピードが遅いほど離脱率も上がってしまうという結果が得られています。

Webページの表示時間   

 ページからの離脱率

1秒から3秒に増加

32%増加

1秒から5秒に増加     

92%増加

1秒から6秒に増加

106%増加

1秒から10秒に増加

123%増加

出典:Think with Google

 

サイトスピードの測定方法

現状把握には、無料ツールのGoogle PageSpeed InsightsやChrome Lighthouseが有効です。

 

特にPageSpeed Insightsは、モバイルとPCそれぞれのスコアや改善点を具体的に提示してくれます。

 

また、HubSpotのCMSにはサイト速度を確認できる「速度ダッシュボード」機能もあるため、これらを併用することで改善効果を定量的に評価できます。

 

まずは一般的な改善施策を網羅

ここからは、サイトスピード改善に関する施策をご紹介していきます。

 

まず、HubSpot CMSでもWordPressでも関わらず、一般的な方法をご紹介します。

 

webpと圧縮で画像サイズを最適化

Webページのデータ量のうち、約50%以上が画像によるものとされています。

そのため、画像圧縮はもっともインパクトの強い施策と言えます。

 

今日は一般的になりましたが、画像はwebp形式がおすすめです。

HubSpotではwebp形式の画像がサポートされていますので、CMS内でも活用可能です。

 

WebP形式を利用するとJPEGより30%以上軽量化できるケースもあり、表示速度を大きく改善できます。

▼画像圧縮のおすすめツール

Webp変換ツール

Webpの圧縮ツール

 

ブログや導入事例に挿入している、サムネイルや本文画像の圧縮は忘れがちですが、

TOPページに導線を置いている場合には、サイトスピードの評価の対象となりますので、注意してください。

 

lazyloadの活用

Lazyload(遅延読み込み)は、ユーザーが実際に画面をスクロールするまで画像や動画を読み込まない仕組みです。

 

これにより、初期表示で必要なリソースだけを読み込み、体感速度を大幅に改善できます。

ただし注意点として、ファーストビューの主要画像には適用しないことが重要です。LCP(最大コンテンツの表示速度)に悪影響を与える可能性があるためです。

 

適切に使えば、離脱率の低下やCore Web Vitalsの改善に直結する有効な手段となります。

 

HTML/CSS/JSの軽量化

不要なコードや肥大化したファイルは、レンダリングの遅延を引き起こします。

 

Googleは公式に「不要なリソースを削除し、minify処理すること」を推奨しており、これはSEO上も重要な対策です。

 

HubSpotで構築する場合は、モジュールごとに付加されるCSSやJSが積み重なりやすいため、共通化や外部ファイル化による整理が効果的です。

 

HubSpotの場合は圧縮してmin.css / min.jsファイルを自動生成してくれますので、比較的優先順位は低い施策となります。

 

トラッキングタグの整理

HubSpot CMSを活用していてもGoogle Analytics / サーチコンソール / Clarityなどの分析ツールはご活用されているかと思います。

 

アクセス解析や広告計測のためのタグは欠かせませんが、設置方法を誤ると速度低下の原因となります。

 

特に複数のタグを直接埋め込むと、読み込みリクエストが増えページが重くなります。

 

そこで有効なのがGoogle Tag Managerの導入です。タグを一元管理し、不要なものを削除することで通信負荷を大幅に軽減できます。大規模なマーケティング施策を展開しているサイトほどタグが複雑化しやすいため、定期的な整理がスピード改善につながります。

 

リダイレクトのステップ削減

リダイレクトは古いURLから新しいURLにユーザーを案内するために便利ですが、多用するとページ表示の遅延を招きます。

 

特にリダイレクトチェーンが発生すると、1ページを表示するのに複数回サーバーと通信することになり、SEO評価にも悪影響を与えます。

 

Googleもガイドラインでリダイレクトの最小化を推奨しています。不要な設定を見直し、シンプルなURL構造を保つことが、速度改善と検索順位の維持に直結します。

 

動画やYouTube埋め込みの最適化

動画はリッチな体験を提供しますが、読み込みが重くなる要因のひとつです。

 

YouTubeをiframeでそのまま埋め込むと、初期ロード時に複数のリソースを読み込むため速度が低下します。

 

解決策として、サムネイル画像を先に表示し、クリック後に動画を呼び出す方式を採用すると、体感速度を大幅に改善できます。

 

HubSpotでもカスタムモジュールを利用すれば簡単に実装可能であり、UXを損なわずにパフォーマンスを高めることができます。

 

HubSpotならではのサイトスピード改善方法

ここからは、一般的な施策ではなくHubSpot CMSでの実際に効果のあった施策を3つご紹介いたします。

 

モジュール部分の見直し

HubSpotでは、コンテンツをモジュール化して組み合わせることで、ノーコードに近い形で柔軟なページ編集が可能です。しかし、モジュールを組み込む際にはシステム的なHTMLが自動で追加されるため、結果的にコード量が増え、ページの読み込み速度に影響を与えることがあります。

特に、ランディングページやトップページといった頻繁に編集が発生しない重要ページでは、あえてモジュールではなく静的なプログラムとして実装する方法が有効です。これにより不要なコードの生成を防ぎ、ページ全体を軽量化することができます。

 

 

モジュール内CSS/JSの移動

HubSpotは、共通のCSSに加えて各モジュール内にもCSSやJavaScriptを記述できるため、ノーコードツールとしての柔軟性を大きく支えています。ところが、サイトが表示される際にはそれぞれが個別のリソースとして読み込まれるため、コードの量に関係なく「読み込むファイル数」が増えてしまい、結果としてサイトスピードが低下しやすい傾向があります。

 

 

そのため、改善策としては可能な限りモジュール内ではなく共通CSSにまとめて管理することが有効です。

 

さらに徹底する場合には「トップページ専用CSS」「サービスページ専用CSS」といった形で用途ごとにファイルを整理しつつ、できるだけ一つのファイルに統合する工夫も考えられます。これにより、リクエスト数を削減し、速度改善の効果を最大化できます。

 

パンくずリストの実装チェック

HubSpotではパンくずリストを動的に生成して表示することが可能ですが、仕組み上どうしても読み込みが遅くなる傾向があります。

 

特にファーストビューにパンくずが配置されている場合、表示が遅れることでPageSpeed Insightsにおいて「主要コンテンツの表示が遅い」という評価を受け、スコア低下につながるリスクがあります。

 

この対策としては、動的生成に依存せず、ページごとに手動でパンくずを設定する方法がおすすめです。HubSpotは各ページ単位で編集・管理が可能なため、動的処理を避けて静的に設置することで、表示速度の遅延を防ぎ、SEO評価を落とさない実装が実現できます。

 

最後に

今回はHubSpot CMSでのサイトスピード改善について解説いたしました。

 

HubSpot活用にお悩みの方は、ぜひ下のプロフィールからお問い合わせください。