2017年に発足した第一次トランプ政権の頃から「Drain the Swamp(沼を排水する)」というスローガンを掲げて、政治改革を勧めてきたトランプ大統領。

その姿勢は今年(2025年)の1月に成立した第二次トランプ政権において、さらに強固になり、政権が成立してからの3カ月間であらゆる政策が進められています。

 

しかし、この政治改革のスピードについていけず、アメリカで何が起こっているのかを把握できていない人も多いのではないでしょうか。

今回は、第二次トランプ政権が掲げている政策に関する英語のキーワードを紹介します。

アメリカの政策は世界にも大きな影響を与えるので、外国人と話をするときにはトランプ大統領の政策が話題になる可能性は高いです。

 

トランプ政権の話題が出たときに、黙り込んでしまったり、自分の意見が言えなかったりすると自分自身の評価が下がってしまいます。

この記事を参考にして、ぜひ外国人とも議論ができるように練習してみてくださいね。

 

Schedule F

Schedule F(スケジュールF)とは、トランプ大統領が第1次政権で導入した連邦政府職員の雇用区分で、政策の決定に関与する上級公務員を「政治任用」とすることで任命や解雇をより柔軟にできるようにした政策です。

「スケジュールF」は、バイデン前大統領によって廃止されたものの、トランプ氏が復活させました。

これにより、連邦職員の大量解雇・再配置が可能になり、現体制内反トランプ勢力を一掃する「Deep State(ディープステート)」政策が遂行されます。

 

Mass Deportations

Mass Deportationsとは「不法移民の大量追放」を表す言葉です。

トランプ大統領は再選した際に「過去最大の不法移民一斉摘発・追放作戦を実行する」と明言し、アメリカ国内にいる何百万人もの不法移民に対して国外追放する姿勢を明らかにしました。

この政策には数万人規模のICE(移民・関税執行局)部隊の動員や、国防省の協力、拘留施設の大量建設などが含まれるとされ、大規模な国家的オペレーションが進められています。

 

Muslim Ban

Muslim Ban(ムスリム・バン)とは、第一次トランプ政権時にも進められていた政策で、イスラム教徒が多数居住するイラン、リビア、シリア、ソマリア、スーダン、イエメンの6カ国からの入国を制限する政策です。

第二次トランプ政権のムスリム・バンは、以前のような6カ国だけでなく、「安全保障上問題のある国」「宗教的過激主義が広がる地域」など対象をより広くすることが検討されています。

この政策は「安全保障と移民管理のため」と一部のアメリカ国民からは支持されている反面、宗教的・民族的偏見に結びつく可能性が高いとして、国際的な人権団体などから強く批判されています。

 

Universal Tariffs

Universal Tariffs(ユニバーサル関税)とは、全ての輸入品に対して一律10%の関税を課すというトランプ大統領の政策です。

この政策の狙いは、「アメリカ国内の生産を保護し、貿易赤字を解消すること」にあるとされていますが、アメリカの消費者物価の急上昇や、報復関税による輸出企業への打撃、世界貿易体制の混乱につながることが懸念されています。

 

Pardons and Prosecutions

Pardons and Prosecutionsを直訳すると「恩赦と政治的報復」となります。

第二次トランプ政権では、支持者への恩赦と、敵対勢力への刑事追及の両方が進められています。

トランプ大統領は「2021年1月6日の議会襲撃事件に関与した人々を恩赦する」と発言したり、自分を捜査・起訴した検察官やFBI(連邦捜査局)職員、バイデン政権の高官を対象に、報復的捜査を行うと宣言したりしています。

 

Energy Dominance

Energy Dominanceとは「アメリカの世界のエネルギー覇権」を示す言葉です。

トランプ大統領はアメリカが世界のエネルギー覇権を取り戻すために、化石燃料(石油・ガス・石炭)産業への投資・規制緩和を再加速させる方針を掲げています。

たとえば、連邦政府が管理する土地での採掘許可、パイプライン建設再開、石炭発電所の再稼働などが進められています。

経済界からは歓迎されているものの、バイデン政権が進めてきたグリーン・エネルギーの推進に真っ向から対立し、国際的にも温暖化対策にブレーキをかけると懸念されています。

 

NATO Restructuring

トランプ大統領はNATO(北大西洋条約機構)におけるアメリカの負担が重すぎるとして、NATO加盟国に対して防衛費をGDP(国内総生産)比5%まで引き上げるように求めています。

また、トランプ大統領はNATOの存在意義に疑問を呈しており、同盟国がアメリカを適切に扱わなければ軍事的に支援しない、防衛費の目標を達成しない場合、アメリカは防衛義務を果たさないと警告しています。 ​

 

Deconstruction of the Administrative State

Deconstruction of the Administrative Stateとは「行政国家の解体」という意味です。

トランプ大統領は第一次トランプ政権時代から「官僚機構がアメリカを支配している」と批判しており、第二次トランプ政権では連邦政府の機関や規則を大幅に縮小し、「小さな政府」へと再構築する政策を打ち出しています。

すでに、環境保護庁(EPA)や教育省(DOE)、国際開発局(USAID)の廃止または機能縮小が実施されています。

このような動きは、予算の削減、短期的に自由経済が促進される効果がありますが、長期的には環境、教育、国際協力の分野で格差や混乱を招くと強く批判されています。

 

China Decoupling

China Decouplingとは「米中関係の解消」を示す言葉です。

トランプ大統領は再選後「中国はアメリカの最大の脅威であり、経済的にも安全保障的にも切り離す必要がある」と強調し、関税だけでなく、中国とのサプライチェーンの分離、投資規制、AI・半導体・通信分野での技術封鎖などを進めています。

アメリカ企業に対しても、中国からの撤退を促す税制優遇や中国との取引を行う企業へのペナルティが検討されています。

 

Border Militarization

Border Militarizationとは「国境の軍事化」という意味です。

トランプは不法移民対策の一環として、メキシコ国境を封鎖する政策を進めています。

第一次政権の時に行った壁の建設だけでなく、州兵や連邦軍の動員、ドローン監視、治安部隊による即時拘束体制の常態化などが考えられています。

特にテキサス州など保守的な州との連携によって、州レベルの治安維持行動を連邦政府が公認・支援する動きが加速しています。

 

まとめ

以上、大ざっぱではありますが第二次トランプ政権による政治改革のキーワードを紹介しました。

トランプ政権の動きについて、日本語で理解はしていても、いざ英語で会話をするとなるとキーワードがとっさに出てこないこともあるでしょう。

また、現在トランプ政権が進めている政治改革は他にもありますし、今回紹介した政策も現在進行形で進んでいるので、もっと詳しく、現在の動きを正確に知りたい方は、調べてみてくださいね。