Google翻訳の落とし穴と効果的な使い方をプロの翻訳家が解説
- 桝村 翼
- 記事制作日2023年6月8日
- 更新日2023年6月8日
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英語でe-mailを送らなければいけないとき、会社案内や取引の手順などを英語に訳すとき、Google翻訳に頼ったりはしていませんか?
Google翻訳は無料で簡単に使うことができる翻訳ツールで非常に便利です。
しかし、頼り過ぎてしまうと取り返しのつかない誤解を生んでしまうこともあります。
特に日本語から英語へ翻訳するときには多くのミスが発生します。
そのような事態に陥らないように、この記事ではGoogle翻訳の落とし穴とGoogle翻訳の効果的な使い方をプロの翻訳家が解説します。
この記事を読めば、Google翻訳の効果的な使い方を知ることができるので、ぜひ、最後までお読みください。
Google翻訳の落とし穴はこんなところにあった!
Google翻訳の性能は高いものの、実は誤った翻訳文もたくさんつくられています。
ここでは、Google翻訳が日本語から英語に翻訳を行う際におかしやすい間違いについて解説をいたします。
Google翻訳には主語を混同する傾向がある
日本語から英語に翻訳する際にGoogle翻訳が間違いやすい点は主語の翻訳です。
日本語は主語が曖昧な言語ですので、Google翻訳は主語がなんなのか、打ち込まれた文章だけでは捉え切ることができません。
たとえば、「赤信号ではちゃんと止まってね。交通ルールはちゃんとまもるのよ」という文をGoogle翻訳で訳した結果が以下の英文です。
「Stop properly at red lights. I follow the traffic rules properly.」
後半部分の「交通ルールはちゃんとまもるのよ」という命令形の文にならなければいけない文が「I follow the traffic rules properly」という、「私はちゃんと交通ルールを守っています」という文に変わっています。
同じ理由で以下の文もGoogle翻訳を使って翻訳をすると、誰が、誰に対して言っている言葉なのかがわからなくなっています。
「だれか、いい人知らない?紹介して欲しいんだけど?」
「Don't you know someone good? Do you want me to introduce you?」
「私にいい人を紹介してよ」という意味の文であるにもかかわらず、英文では「あなたは、私に誰かを紹介して欲しいの?」という意味に変わってしまっています。
このようにGoogle翻訳を使った翻訳では主語が混同されて訳される傾向にあります。
結果、誰が何をしたいのか、誰が誰に何を求めているのかが、非常に分かりづらく、Google翻訳が作成した訳文をそのまま使用してしまうと、大きな誤解につながってしまう可能性があります。
Google翻訳は文章の一部が勝手に省かれてしまう
Google翻訳を使って翻訳をすると、翻訳しきれない文は勝手に省かれてしまうことが多々あります。
以下の、イチロー選手の引退記者会見の一文をGoogle翻訳で訳してみました。
「お前、契約金1億(円)ももらえないよって。ですね。いやー夢は大きくと言いますけどね、なかなか難しいですよ。ドラ1の1億って掲げていましたけど、全然、遠く及ばなかったですから。いやー、ある意味では挫折ですよね、それは。」
以下が上記の文章をGoogle翻訳で翻訳した結果です。
“You can’t even get a contract fee of 100 million yen. Well, in a sense, it's a setback, isn't it?"
上の訳文では「ですね。いやー夢は大きくと言いますけどね、なかなか難しいですよ。ドラ1の1億って掲げていましたけど、全然、遠く及ばなかったですから。」という部分がごっそりと抜け落ちています。
長文をGoogle翻訳で翻訳すると、このように一部の文がごっそりと抜け落ちてしまうことがあります。
翻訳した文章を確認せずに取引先やクライアントにそのまま送ってしまったら、致命的なミスになってしまいます。
Google翻訳はネイティブが使わない表現でもそれらしく訳してしまう
Google翻訳を使うと、ネイティブが使わない表現、英語圏では使われない表現であるにもかかわらず、もっともらしい英語として英文が作成されてしまうことがあります。
実はこれが最も危険なGoogle翻訳の落とし穴です。
たとえば、不動産屋で日本人がよく使う表現です。
「オフィス用の物件を紹介していただきたいのですが?」
これをGoogle翻訳で英訳すると以下の結果がでてきます。
「I would like to introduce you to a property for office use.」
おわかりの通り、冒頭でお話しした主語の混同もここで起きているのですが、「物件を紹介する」が「introduce a property」と訳されています。
「introduce a property」という表現は英語では使われません。
しかし、Google翻訳を使うと、もっともらしく英語として訳されてしまうのです。
英語に慣れていない人がGoogle翻訳を使うと、このような翻訳結果を正しい英語だと思い込み、なんの疑いもなくその表現を使ってしまいます。
また、この表現を間違ったまま継続的に使ってしまう危険性もあります。
参考までに「オフィス用の物件を紹介していただきたいのですが?」という表現は以下のように英訳するのが自然です。
I am looking to rent a flat for my office. I was hoping you could help me.
Google 翻訳の正しい使い方を翻訳のプロが解説
ここまでGoogle翻訳が間違える傾向についてお伝えしました。
それでは、Google翻訳を使ってはいけないのか、というとそういうことではありません。
ここでは、間違いのない翻訳文をつくるためのGoogle翻訳の使い方をお伝えします。
Google翻訳の正しい使い方1:英語から日本語への翻訳
英語から日本語に訳す場合はGoogle翻訳を使っても問題ありません。
特に、e-mailなどの内容をざっくりと知りたいという場合は使ってよいでしょう。
しかし、文章として残すために和訳をする場合、Google翻訳で訳された文章をしっかりと確認する必要があるので気をつけてください。
もしも、作成した文章をお客様や取引先に提供したり、公の場で公表したりする場合はGoogle翻訳はおすすめできません。
会社の信用を落としてしまう表現や、間違いが含まれている可能性もあるので、外部に提供するような資料を翻訳する際は、Google翻訳など使わずに必ずプロの翻訳家に依頼するようにしましょう。
Google翻訳の正しい使い方2:作成した翻訳文や単語を必ず違う媒体で確認する
Google翻訳を使って英訳を行なったら、必ずその表現が英語圏の国々で使われているかどうか、他の媒体を使って確認しましょう。
たとえば、日本語でよく聞く以下の表現です。
「昨日は息子の大学の入学式でした。」
この表現をGoogle翻訳で英訳すると以下の結果が得られます。
「Yesterday was my son's college entrance ceremony.」
しかし、「entrance ceremony」という言葉が本当に英語圏で使われている表現なのかが気になります。
そこで、インターネットで「entrance ceremony」という言葉を検索してみます。
すると「entrance ceremony」という言葉を使っているサイトは日本人が作成している、管理しているサイトに限られていることがわかります。
すなわち「entrance ceremony」という言葉は英語圏では使われていない表現なのです。
それでは、次に「Harvard University entrance ceremony」という言葉で検索をかけてみます。
すると検索結果の一番上に「Convocation」というタイトルのハーバード大学のページが表示されます。
このページを開いてみると「Recordings of Recent Convocation Ceremonies」という動画が掲載されており、この中身を見て、やっと「大学の入学式」はアメリカでは「Convocation Ceremonies」という、ということがわかります。
既にお伝えしましたが、Google翻訳は存在しない英語表現までも、もっともらい英語として作りだしてしまいます。
Google翻訳の結果は必ず、違う媒体を使って正しい英語表現かどうかを確認しなければいけません。
しかし、英語に慣れていない方であればそもそも「entrance ceremony」という表現に対して「なにか、おかしいぞ」という疑問さえ持ちません。
英語に慣れていない方は、Google翻訳など使わずにプロの翻訳家に相談することをお勧めします。
Google翻訳を英訳作業の確認ツールとして使用する
Google翻訳の利点を最大限に活かすのであれば、英訳または他の言語に日本語の文章を訳す際、Google翻訳を確認用のツールとして使用することです。
通常、多くの日本人はGoogle翻訳の原文の方に日本語を打ち込み、結果として出てきた英語を翻訳文としてコピペなどして使用していると思います。
そうではなく、日本語の文章を見ながら、自分自身で作成した英文をGoogle翻訳の原文の方に打ち込んでいきます。
すると、英文の翻訳結果が日本語で右側に出てきます。
このGoogle翻訳で作成された日本語の文章とオリジナルの日本語の文章に相違がないかを確認します。
Google翻訳で作成された日本語とオリジナルの日本語の文章に違いがある場合、あなたが作成している英訳がわかりにくい文章になっているか、または英訳に間違いがある、ということです。
このように自分が作成する外国語訳が正しく伝わる文章になっているかを確認する手軽なツールとして、Google翻訳は役に立ちます。
まとめ
今回は、Google翻訳を使う際の注意点、落とし穴について解説し、効果的なGoogle翻訳の利用方法についてお伝えしました。
しかし、すでにお気づきだとは思いますが、Google翻訳を効果的に使い、正しい訳文を作成するためには、それなりの英語の知識がないと難しいでしょう。
英語の知識がまったくないという方であれば、なおさらGoogle翻訳は使うべきではありません。
時間の短縮、労力の削減、またはミスが生じてしまった際の損益を考慮に入れると、プロの翻訳家に依頼するほうがはるかに効率的でしょう。
短い文章でも構わないので翻訳するべき文章がある場合は、お気軽にご相談ください。
株式会社LA ORG 桝村(https://la-org.com/)
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株式会社LA ORG 代表取締役の桝村と申します。 ホームページ:https://la-org.com/ ポートフォリオ:https://www.portfolio.la-org.com/ 英中韓の翻訳事業とWordPressでのWeb制作事業、Adobe XD、Photoshop、illustrator等を使用したWebデザイン事業を展開しております。 世界シェア第4位の医薬品メーカー日本法人様やプライム市場上場企業グループ会社様、NASDAQ上場予定のベンチャー企業様とお取引させて頂いております。 SSサロン内でも様々なクライアント様より翻訳、海外リサーチ等の案件を頂いております。 また、クラウドソーシングでの実績についても以下にてご確認くださいませ。 Lancers:https://www.lancers.jp/profile/oregonian_office?ref=breadcrumb Crowdworks:https://crowdworks.jp/public/employees/3425349 ココナラ:https://coconala.com/users/2204682 <経歴> 2015年3月:神戸市外国語大学外国語学部英米学科 卒業 2015年4月:三井倉庫ホールディングス㈱ 入社 →物流施設オペレーション、輸出入フォワーディングを担当。アメリカ、マレーシアにて海外駐在。 2020年3月:三菱重工業㈱ 入社 →国産ジェット機開発プロジェクト(MRJ/スペースジェット)、ボーイングプログラムにて海外調達を担当。いずれもアメリカサプライヤが取引先。 2022年8月:Schneider Electric 入社 →エネルギー分野(UPS等)にて海外調達を担当。 2022年12月:株式会社LA ORG 創業 →翻訳(英中韓)、Web制作、Webデザインのサービスを提供している会社です。
スキル
英語
Adobe Illustrator
WEBサイト設計
・・・(登録スキル数:8)
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