NASDAQの3つの市場と上場するためのそれぞれの要件を解説
- 桝村 翼
- 記事制作日2023年8月29日
- 更新日2023年8月29日
- 1いいね!
NASDAQに上場を希望する日本の企業が増えています。
しかし、一言でNASDAQに上場と言っても、実はNASDAQには3つの市場があり、それぞれに上場するための条件がことなります。
今回はNASDAQにある3つの市場の特に上場の条件について解説を行います。
NASDAQに上場するためには基本的な知識とも言えますので、ぜひ最後まで読んでNASDAQ市場について詳しくなってもらえたらと思います。
NASDAQの3つの市場
NASDAQには以下の3つの市場があります。
1)NASDAQ Global Select Market(NASDAQグローバルセレクトマーケット)
2)NASDAQ Global Market(NASDAQグローバルマーケット)
3)NASDAQ Capital Market(NASDAQキャピタルマーケット)
NASDAQ グローバルセレクトマーケットの基準が一番厳しく、NASDAQキャピタルマーケットの基準が一番やさしい基準となっています。
それでは、以下3つの市場それぞれの基準について説明していきたいと思います。
NASDAQ Global Select Market(NASDAQグローバルセレクトマーケット)の上場基準
NASDAQグローバルセレクトマーケットに上場を希望する企業は以下の財務要件の基準1から基準4のうちのいずれかを満たしかつ、該当するカテゴリーの流動性要件を満たす必要があります。
財務要件1:利益基準
利益を基準とした財務要件にてNASDAQへの上場を希望する企業は以下の4つの要件のすべてを満たしている必要があります。
1)直近の3会計年度の税引前の事業利益の合計が1,100 万ドル以上ある。
2)直近の3会計年度の年度それぞれで0ドル以上の税引前事業利益がある。
3)直近の2会計年度のそれぞれで220万ドル以上の税引前事業利益がある。
4)買呼値(Bid)の価格が4ドル以上である。
財務要件2:キャッシュフロー・時価総額基準
キャッシュフローと時価総額を基準とした財務要件を満たしてNASDAQに上場を希望する企業は、以下の4つの要件のすべてを満たしている必要があります。
1)直近の3会計年度のキャッシュフローの合計が2,750万ドル以上あり、かつ直近3会計年度のそれぞれのキャッシュフローの金額が0ドル以上である。
2)直近12カ月の時価総額の平均が5億5,000万ドル以上ある。
3)前年度の収益が1億1,000万ドル以上ある。
4)買呼値(Bid)の価格が4ドル以上である。
財務要件3:売上・時価総額基準
売上と時価総額を基準とした財務要件を満たしてNASDAQに上場を希望する企業は、以下の3つの要件のすべてを満たしている必要があります。
1)直近12カ月の売上平均が8億5,000万ドル以上ある。
2)直近の会計年度の売上が9,000万ドル以上ある。
3)買呼値(Bid)の価格が4ドル以上である。
財務要件4:資産・資本基準
資産と資本を基準とした財務要件を満たしてNASDAQに上場を希望する企業は、以下の4つの要件のすべてを満たしている必要があります。
1)時価総額が1億6,000万ドル以上ある。
2)総資産が8,000万ドル以上ある。
3)株主資本が5,500万ドル以上ある。
4)買呼値(Bid)の価格が4ドル以上である。
流動性要件
流動性要件は上場する企業の状態によって要件が変わってきます。
上場を希望する企業がどのカテゴリーに入るのかを確認した上で、流動性要件を確認しましょう。
新規に株式公開をする企業またはスピンオフ企業の場合
新規に株式公開をする企業またはスピンオフ企業がNASDAQグローバルセレクトマーケットに上場を希望する場合、以下の3つの要件を満たす必要があります。
1)単位株を保有している株主数が450人以上または株主の総数が2,200人以上ある。
2)公開されている株式の数が1,250,000以上ある。
3)譲渡制限のない公開株式の市場価格が4,500万ドル以上ある。
現在、普通株式または同等の株式の取引がある企業の場合
現在、普通株式または同等の株式の取引がある企業がNASDAQグローバルセレクトマーケットに上場を希望する場合、以下の3つの要件を満たす必要があります。
1)単位株を保有している株主数が450人以上、または株主の総数が2,200人以上または、過去12カ月の総株主数が550人以上かつ月間平均取引高が110万株以上ある。
2)譲渡制限のない公開株式の数が1,250,000以上ある。
3)譲渡制限のない公開株式の市場価格が1億1,000万ドル以上または、譲渡制限のない公開株式の市場価格が1億ドルかつ株主資本が1億1,000万ドルある。
関連会社として上場する場合
関連会社としてNASDAQグローバルセレクトマーケットに上場を希望する場合、以下の3つの要件を満たす必要があります。
1)単位株を保有している株主数が450人以上、または株主の総数が2,200人以上、または過去12カ月の総株主数が550人以上かつ月間平均取引高が110万株以上ある。
2)譲渡制限のない公開株式の数が1,250,000以上ある。
3)譲渡制限のない公開株式の市場価格が4,500万ドル以上ある。
NASDAQグローバルマーケット(NASDAQ Global Market)
NASDAQグローバルマーケットに上場を希望する企業は以下の財務・流動性要件の基準1から基準4のうちのいずれかを満たす必要があります。
財務・流動性要件1:利益による基準
利益を基準とした財務・流動性要件を満たしてNASDAQグローバルマーケットに上場を希望する場合、以下の7つの要件をすべて満たす必要があります。
1)税引前の事業利益が直近年度または過去3会計年度のうちの2会計年度で100万ドル以上ある
2)株主資本が1,500万ドル以上ある。
3)譲渡に制限のない公開株式が110万株以上ある。
4)譲渡に制限のない公開株式の市場価格が800万ドル以上ある。
5)買呼値(Bid)の価格が4ドル以上である。
6)譲渡制限のない単位株の保有者が400人以上いる。
7)値付け業者(マーケットメーカー)が3業者いる。
財務・流動性要件2:資本による基準
資本を基準とした財務・流動性要件を満たしてNASDAQグローバルマーケットに上場を希望する場合、以下の8つの要件をすべて満たす必要があります。
1)株主資本が3,000万ドル以上ある。
2)譲渡に制限のない公開株式が110万株以上ある。
3)譲渡に制限のない公開株式の市場価格が1,800万ドルある。
5)買呼値(Bid)の価格が4ドル以上である。
6)譲渡に制限のない単位株の保有者が400人以上いる。
7)値付け業者(マーケットメーカー)が3業者いる。
8)事業の継続年数が2年以上ある。
財務・流動性要件3:時価総額による基準
時価総額を基準とした財務・流動性要件を満たしてNASDAQグローバルマーケットに上場を希望する場合、以下の6つの要件をすべて満たす必要があります。
1)上場している有価証券の時価総額が7,500万ドル以上ある。
2)譲渡に制限のない公開株式が110万株以上ある。
3)譲渡に制限のない公開株式の市場価格が2,000万ドル以上ある。
4)買呼値(Bid)の価格が4ドル以上である。
5)譲渡に制限のない単位株の保有者が400人以上いる。
6)値付け業者(マーケットメーカー)が3業者いる。
財務・流動性要件4:資産と売上による基準
資産と売上を基準とした財務・流動性要件を満たしてNASDAQグローバルマーケットに上場を希望する場合、以下の6つの要件をすべて満たす必要があります。
1)直近の会計年度または過去3会計年度のうち2会計年度の資産と売上がそれぞれ7,500万ドル以上ある。
2)譲渡に制限のない公開株式が110万株以上ある。
3)譲渡に制限のない公開株式の市場価格が2,000万ドル以上ある。
4)買呼値(Bid)の価格が4ドル以上である。
5)譲渡に制限のない単位株の保有者が400人以上いる。
6)値付け業者(マーケットメーカー)が3業者いる。
NASDAQキャピタルマーケット(NASDAQ Capital Market)
NASDAQキャピタルマーケットに上場を希望する企業は以下の財務・流動性要件の基準1から基準3のうちのいずれかを満たす必要があります。
財務・流動性要件1:資本による基準
資本を基準とした財務・流動性要件を満たしてNASDAQキャピタルマーケットに上場を希望する場合、以下の7つの要件をすべて満たす必要があります。
1)株主資本が500万ドル以上ある。
2)譲渡に制限のない公開株式の価値が1,500万ドル以上ある。
3)事業の継続年数が2年以上ある。
4)譲渡に制限のない公開株式が100万株以上ある。
5)譲渡に制限のない単位株の保有者が300人以上いる。
6)値付け業者(マーケットメーカー)が3業者いる。
7)買呼値(Bid)と終値がそれぞれ4ドルと3ドル以上である。
財務・流動性要件2:上場有価証券の時価総額による基準
上場有価証券の時価総額を基準とした財務・流動性要件を満たしてNASDAQキャピタルマーケットに上場を希望する場合、以下の7つの要件をすべて満たす必要があります。
1)株主資本が400万ドル以上ある。
2)譲渡に制限のない公開株式の価値が1,500万ドル以上ある。
3)上場有価証券の時価総額が5,000万ドル以上ある。
4)譲渡に制限のない公開株式が100万株以上ある。
5)譲渡制限のない単位株の保有者が300人以上いる。
6)値付け業者(マーケットメーカー)が3業者いる。
7)買呼値(Bid)と終値がそれぞれ4ドルと3ドル以上である。
財務・流動性要件3:利益による基準
利益を基準とした財務・流動性要件を満たしてNASDAQキャピタルマーケットに上場を希望する場合、以下の7つの要件をすべて満たす必要があります。
1)株主資本が400万ドル以上ある。
2)譲渡に制限のない公開株式の価値が500万ドル以上ある。
3)直近の会計年度または過去3会計年度のうち2会計年度で事業からの利益が75万ドル以上ある。
4)譲渡に制限のない公開株式が100万株以上ある。
5)譲渡制限のない単位株の保有者が300人以上いる。
6)値付け業者(マーケットメーカー)が3業者いる。
7)買呼値(Bid)と終値がそれぞれ4ドルと3ドル以上である。
まとめ
今回は、NASDAQ市場にある3つの市場の上場要件について解説をしました。
NASDAQグローバルセレクトマーケットへの上場はさすがにハードルが高い要件になっていましたが、NASDAQキャピタルマーケットへの上場要件については、そこまで厳しくない要件であるということがお分かりいただけたと思います。
一言で「NASDAQに上場」と言ったりしますが、企業の財務状況によって3つの選択肢があるのです。
これらを知っていることで、あなたの会社が目指すゴールが明確になってくるでしょう。
もしも、NASDAQの上場を目指しているということであれば、お気軽にご相談ください。
株式会社LA ORG 桝村(https://la-org.com/)
- この記事にいいね!する
この記事を書いた人
- 170いいね!
稼働ステータス
◎現在対応可能
- 桝村 翼
職種
その他
その他
希望時給単価
10,000円~30,000円
株式会社LA ORG 代表取締役の桝村と申します。 ホームページ:https://la-org.com/ ポートフォリオ:https://www.portfolio.la-org.com/ 英中韓の翻訳事業とWordPressでのWeb制作事業、Adobe XD、Photoshop、illustrator等を使用したWebデザイン事業を展開しております。 世界シェア第4位の医薬品メーカー日本法人様やプライム市場上場企業グループ会社様、NASDAQ上場予定のベンチャー企業様とお取引させて頂いております。 SSサロン内でも様々なクライアント様より翻訳、海外リサーチ等の案件を頂いております。 また、クラウドソーシングでの実績についても以下にてご確認くださいませ。 Lancers:https://www.lancers.jp/profile/oregonian_office?ref=breadcrumb Crowdworks:https://crowdworks.jp/public/employees/3425349 ココナラ:https://coconala.com/users/2204682 <経歴> 2015年3月:神戸市外国語大学外国語学部英米学科 卒業 2015年4月:三井倉庫ホールディングス㈱ 入社 →物流施設オペレーション、輸出入フォワーディングを担当。アメリカ、マレーシアにて海外駐在。 2020年3月:三菱重工業㈱ 入社 →国産ジェット機開発プロジェクト(MRJ/スペースジェット)、ボーイングプログラムにて海外調達を担当。いずれもアメリカサプライヤが取引先。 2022年8月:Schneider Electric 入社 →エネルギー分野(UPS等)にて海外調達を担当。 2022年12月:株式会社LA ORG 創業 →翻訳(英中韓)、Web制作、Webデザインのサービスを提供している会社です。
スキル
英語
Adobe Illustrator
WEBサイト設計
・・・(登録スキル数:8)
スキル
英語
Adobe Illustrator
WEBサイト設計
・・・(登録スキル数:8)