NASDAQに上場を考えている日本の企業が増えています。

その背景にはNASDAQが拠点を置くアメリカのスタートアップやベンチャー企業に期待を寄せる投資家が多く、資金を集めやすいという特徴があります。

 

「NASDAQなんてハードルが高くてとんでもない」とそもそもNASDAQの上場を考えていない経営者や「NASDAQに上場してもいいけど、手続きは英語で大変そうだな」と踏み出せない経営者が多いことでしょう。

しかし、実際のところNASDAQへの上場は日本の株式市場に上場するよりもハードルが低かったりします。

 

特に申請書の提出はすべて電子化されており、オンラインですべての手続きが可能です。

今回の記事ではNASDAQに上場するために提出が必要な書類について解説します。

最後まで読んで、ぜひNASDAQへの上場を考えてみてください。

 

NASDAQに上場するための4つのステップ

NASDAQに上場するためには大まかに以下の4つのステップがあります。

 

1)会社情報をまとめる

2)アカウントを作成する

3)申請書を提出する

4)NASDAQのアナリストと確認作業を行う

 

それでは、以下、それぞれのステップでやるべきことを簡単に解説いたします。

 

1)会社情報をまとめる

NASDAQに上場するための申請書類を作成する前に、会社の基本情報をまとめる必要があります。

 

すでにセントラル インデックス キー (CIK)、現在使用している取引シンボル、または予約している取引シンボル、CUSIP(米国やカナダで発行される有価証券に付されている9桁の証券識別コード。

 

ISINの基本番号と同じ)がある場合は、それらをNASDAQに提供することで、会社の一般情報のほとんどがNASDAQに登録されます。

 

それらを持ち合わせていない場合には、新たにそれらを取得する必要があります。

 

取引シンボルをまだ予約していない場合、または上場時にシンボルを変更したい場合は、シンボル予約フォームを記入してシンボルを予約してください。

 

2)NASDAQ Listing Centerにユーザーアカウントを作成する

必要な書類を作成してNASDAQに提出するためには、NASDAQ Listing Centerにユーザーアカウントを作成する必要があります。

ユーザーアカウントの作成は難しいものではなく、電子メールのアドレスと基本的な連絡先情報を入力し、パスワードと秘密の質問を選択すればアカウント作成の完了です。

 

3)申請書を提出する

申請書の提出はオンラインで簡単に提出が可能です。

必要な書類については、次のセクションで詳しく解説します。

申請書を提出する際に申請費用を支払わなければいけません。

 

4)NASDAQのアナリストと確認作業を行う

申請書類の提出が完了したら数時間以内に提出確認の電子メールが届きます。

その後、数日後にNASDAQのアナリストから電子メールが届き、確認作業や調整作業がはじまります。

 

NASDAQに上場するために提出が必要となる書類とは

NASDAQに上場する企業が提出しなければいけない書類は以下の6つです。

 

1)シンボル予約申請書

2)上場申込書

3)上場契約書

4)コーポレートガバナンス認証書

5)支払い確認書

6)ロゴ提出申請書

 

以下、それぞれの申請書に記載する情報にはどのようなものがあるのかを示します。

 

1)シンボル予約申請書

この申請書は、取引シンボルを予約または変更するために提出する書類です。

この申請書は上場の2年前から提出できます。

申請書に記載が必要となる事項は以下の通りです。

 

・希望するシンボル

・上場の予定時期

・企業名

・企業の所在地

・企業の電話番号

・企業のウェブサイトアドレス

・親会社名(もしもあれば)

・親会社のシンボル(もしもあれば)

・申請者の氏名、役職、電話番号、電子メールアドレス

・CEOの氏名、電話番号、電子メールアドレス

・その他の企業情報(過去2年間の売上、弁護士の氏名、弁護士事務所名、弁護士の連絡先など)

 

2)上場申込書

上場申込書はNASDAQ Listing Centerのウェブサイトからオンラインで入力可能です。

この申請書に記載するべき内容の概要は以下の通りです。

 

・企業の基本情報(住所、連絡先など)

・上場する市場の種類(Global Select Market、Global Market、Capital Market)

・申請者の連絡先情報

・請求先の情報(氏名、住所、連絡先など)

・融資元の情報

・監査人の情報

・株式公開の詳細情報(新規公開日など)

・役員会の詳細(メンバーの数など)

 

3)上場契約書

この契約書もNASDAQ Listing Centerのウェブサイトからオンラインで提出が可能です。

こちらは内容を確認し、企業の基本情報を記入するだけの書類になっています。

 

4)コーポレートガバナンス認証書

この書類もNASDAQ Listing Centerのウェブサイトからオンラインで提出が可能です。

この書類は企業の基本情報を記入と各項目にチェックを入れることで提出できます。

 

5)支払い確認書

NASDAQへの支払いは電信または小切手で行うことができます。

このフォームは小切手で支払いを行う企業のみ提出が必要となるので、日本の企業のほとんどは提出の必要がないかと思います。

 

6)ロゴ提出申請書

申請企業は企業のロゴを提出する必要があります。

提出は簡単で、この申請書とともにロゴを指定されたURLにアップロードするだけです。

 

しかし、ロゴの仕様については細かく決められているので注意が必要です。

 

1. ファイルの種類

ベクター描画プログラム (Adobe Illustrator CS5 以下) で作成されたベクター EPS (カプセル化された Postscript) 形式。

 

2. ロゴのバージョン数

以下の3 つのバージョンの提出が必要。水平方向と垂直方向の両方の形式がある場合は 6 つ)

a. 白、または明るい色の背景に使用可能なカラーバージョン

b. 黒、または暗い色の背景に使用が可能なカラーバージョン、または反転バージョン

c. グレースケールのバージョン

 

3. 文字の形式

すべての文字をアウトライン化する必要があります。

 

4. ロゴに含まれるすべての登録マーク、商標、サービスマークは、ロゴのアートワークに含まれている必要があります。

 

5. 企業のタグラインをロゴの一部にはできません。

 

6. 次のアプリケーションおよびファイル形式のロゴは受け取り不可能です。

Adobe Photoshop、InDesign、Microsoft PowerPoint、Word、Excel、Corel Draw、QuarkXpress。

 

7. 以下の形式でのアートワークは対応できません。

JPEG、GIF、PNG、BMP、または TIFF

 

それぞれの申請書の内容は以下のNASDAQ Listing Centerのウェブページで閲覧することが可能ですので、以下のサイトも参考にしてみてください。

 

https://listingcenter.nasdaq.com/Forms_Preview.aspx

 

まとめ

以上が、NASDAQに上場する際に提出すべき書類についての解説です。

 

NASDAQが作成しているInitial Listing Guideによると申請書が提出された時を第1週と考えて、上場までのスケジュールを以下のように設定しています。

 

第 1 週:申請書の受け取りと審査の開始

2~3週:NSDAQ スタッフによるレビューの完了と修正依頼

3~4週目:申請企業による修正

5~6週目:NASDAQスタッフによるレビューの完了と上場の承認。

 

NASDAQに上場するための手続きはNASDAQ Listing Centerのウェブサイトに詳しく解説されています。

 

https://listingcenter.nasdaq.com/Home.aspx

 

また、ダウンロード可能なPDFでInitial Listing Guideも提供されているのでぜひ参考にしてください。

 

しかし、基本的にはすべてが英語で解説されているので、正しく理解できているか自信がない、書かれている内容がよくわからないという場合はお気軽にご相談ください。

 

 

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