中古品を扱うECサイトでは、新品ECと同じ改善方法がそのまま通用するとは限りません。

たとえば一般的なECであれば、

  • SEOでアクセスを増やす
  • 広告を運用する
  • 商品ページのCVRを改善する

といった施策が売上改善の中心になります。

もちろん中古ECでも、これらは重要です。

ただ、中古ECではその前に、

  • そもそも売れる在庫が十分にあるのか
  • 売れた商品が次々と在庫切れになる中で、ユーザーをどこへ誘導するのか
  • 一点物の商品をどのようにSEOや広告へ活用するのか

まで考える必要があります。

私は中古ECの支援を行う際、広告やSEOだけを見るのではなく、在庫・商品・サイト・集客・CRMまで含めて、EC全体のどこが売上を止めているのかを確認しています。

この記事では、中古ECの売上改善で特に重要だと考えているポイントを紹介します。

中古ECは「商品数を増やせば売れる」とは限らない

中古ECについてよくある相談の一つが、「もっと商品登録数を増やした方がいいですか?」というものです。

確かに、中古ECにおいて商品数は重要です。一点物の商品が中心であれば、商品が売れるたびに販売可能な在庫は減っていきます。

そのため、継続的に新しい商品を追加しなければ売上を維持しにくくなります。

ただし、単純に商品点数だけを増やせば良いわけではありません。

たとえば、

  • 10,000商品あるが、半分以上が半年間売れていないサイト
  • 5,000商品だが、売れ筋商品が毎日追加されているサイト

であれば、必ずしも10,000商品あるサイトの方が強いとは言えません。

重要なのは、「何商品あるか」ではなく、「売れる可能性の高い在庫がどれくらいあるか」です。

そのため私は、中古ECを見るときには、

  • 販売可能商品数
  • 毎週の新規出品数
  • 販売数
  • 在庫回転日数
  • 長期滞留在庫
  • ブランド別の販売速度
  • カテゴリ別の販売速度
  • 価格帯別の販売率

などを確認します。

これによって、「集客が足りない」のか、「商品数が足りない」のか、「商品はあるけれど売れ筋在庫が足りない」のかを切り分けます。

ここを間違えると、広告費だけ増やしても売上が伸びないということが起こります。

「仕入れ」まで含めてECを考える

中古ECの特徴は、販売だけではなく、仕入れも売上に直結することです。

たとえば販売データを分析すると、

  • このブランドは入荷後10日前後で売れている
  • この型番は入荷するとほぼ毎回すぐに売れる

といったことが分かります。

このような商品が慢性的に不足しているのであれば、ECサイトのデザインを改善するより、その商品の仕入れを増やした方が売上へのインパクトが大きい可能性があります。

買取型の中古ECであれば、次のような循環を作ることもできます。

  1. 販売データを確認する
  2. 不足している在庫を特定する
  3. 買取キャンペーンを実施する
  4. 仕入れを増やす
  5. ECへ掲載する
  6. 販売する

つまり中古ECでは、「どう売るか」と「何を仕入れるか」を分けて考えないことが重要です。

売り切れ商品を「行き止まり」にしない

中古ECでもう一つ重要なのが、売り切れ商品の扱いです。

一点物の商品であれば、売れた瞬間に購入できなくなります。しかし、「売れたので商品ページを削除」と一律に処理してしまうのは、非常にもったいない場合があります。

たとえば、その商品ページがGoogle検索からアクセスを集めていたとします。

ユーザーが「○○ 型番 中古」と検索して訪問しているのであれば、その商品自体が売れていても、購入意欲の高いユーザーである可能性があります。

そのため、

  • 売り切れ商品から同一型番の商品へ誘導する
  • 売り切れ商品から同じブランドの商品へ誘導する
  • 売り切れ商品から類似価格帯の商品へ誘導する

といった導線を用意します。

「SOLD OUT」で終わらせるのではなく、次の商品を探してもらう入口として利用するという考え方です。

中古ECでは、売れた商品ページをどう扱うかによって、SEOや回遊率にも差が出ます。

同じ型番の商品ページが大量にできていないか

中古PC、カメラ、楽器、工具などでは、同じ型番の商品が何度も入荷することがあります。

たとえば同じ型番のPCでも、

  • 状態A:79,800円
  • 状態B:69,800円
  • 傷あり:59,800円
  • 箱・付属品あり:84,800円

というように、個体ごとに価格や状態が異なります。

ここで毎回別の商品ページを作ると、ほぼ同じ型番の商品ページが大量に生成されます。

このような商材の場合、「型番」と「個体」を分けるという設計も検討できます。

たとえば、「MacBook Pro ○○ 中古」という型番ページの中に、現在販売中の個体A、B、Cを一覧表示する方法です。

型番ページでSEO流入を獲得しながら、ユーザーには状態や価格を比較してもらうことができます。

もちろん、ブランド古着やヴィンテージ商品のように、個体そのものに価値がある商材では別の設計が適しています。

中古ECでは、ユーザーが「型番」を探しているのか、「一点物そのもの」を探しているのかによってサイト構造を変える必要があります。

中古ECのSEOは「記事を増やす」だけではない

SEO対策というと、「ブログ記事を増やしましょう」という施策を思い浮かべる方も多いと思います。

しかし、数千〜数万商品を取り扱っている中古ECでは、記事を書く前に確認したいことがあります。それが、商品データとカテゴリ構造です。

たとえば、

  • ブランド
  • メーカー
  • カテゴリ
  • シリーズ
  • 型番
  • サイズ
  • 年代
  • スペック

などを適切に整理すれば、それぞれが検索流入の入口になります。

  • 中古ファッション:「ブランド名 × アイテム」
  • 中古PC:「メーカー × シリーズ」
  • 中古カメラ:「メーカー × 型番」

といった検索需要があります。

商品数が多いECでは、ブログを100記事作るよりも、既存の商品データを整理した方がSEOへのインパクトが大きいことも珍しくありません。

一方で、カテゴリや絞り込みページを無制限に生成すると、ほとんど商品が存在しないページや似たページが大量に作られてしまいます。

そのため、どのページをGoogleに評価してもらうのかまで含めた設計が必要です。

商品が多いほど「探しやすさ」が重要になる

中古ECで商品数を増やすと、別の問題も発生します。それが、商品を探せなくなることです。

100商品なら一覧から探せます。しかし、10,000商品あるサイトでは難しくなります。

そのため商品数が増えてきたら、

  • サイト内検索
  • 絞り込み
  • 並び替え
  • レコメンド
  • 関連商品

などを改善する必要があります。

中古PCであれば、CPU、メモリ、SSD容量、価格、画面サイズ。中古ファッションであれば、ブランド、サイズ、カテゴリ、カラー、状態などから商品を絞れるようにします。

特にサイト内検索では、「ノースフェイス」と検索すると0件になるのに、商品名には「THE NORTH FACE」と登録されている、といったケースもあります。

商品数を増やすだけではなく、増えた商品の中から欲しい商品を見つけられるかまで確認する必要があります。

中古ECとCRMは相性が良い

中古ECでは、最初にサイトを訪れた日に欲しい商品があるとは限りません。

たとえば、「Nikeの27.5cmで15,000円以下の商品が欲しい」というユーザーがいても、その日の在庫には存在しないかもしれません。

しかし翌週、条件に合う商品が入荷する可能性があります。

ここで何もせず離脱させるのではなく、条件に合う商品が入荷したときに呼び戻すことができれば、販売機会を増やせます。

そのため、

  • お気に入り
  • 値下げ通知
  • ブランドの新着通知
  • 再入荷通知
  • 保存した検索条件への通知
  • LINE連携
  • メール配信

などを設計します。

一般的なメルマガを定期配信するだけではなく、ユーザーが欲しい商品が入荷したタイミングで通知する方が中古ECとの相性は良いと考えています。

中古商品ページでは「購入への不安」を減らす

中古品は、新品以上に購入前の不安が大きい商材です。

ユーザーは、

  • 本当に写真通りの状態なのか
  • 傷はどれくらいあるのか
  • ちゃんと動くのか
  • 返品できるのか
  • 付属品は何があるのか

といったことを確認しています。

そのため商品ページでは、

  • 傷・汚れの写真
  • 商品状態の基準
  • 付属品
  • 動作確認
  • 保証
  • 返品条件
  • 商品画像
  • 画像拡大
  • サイズ・スペック

などを確認します。

中古ECでは、単に商品を魅力的に見せるだけでなく、購入判断に必要な情報を不足なく見せることがCVR改善につながります。

私が中古ECの支援で見る範囲

中古ECの売上改善をご相談いただいた場合、私は一つの施策だけを見るのではなく、主に次のような範囲を確認します。

在庫・商品戦略

商品点数、新着数、在庫回転、売れ筋、長期在庫、値下げなどを確認します。

サイト改善

カテゴリ構造、サイト内検索、商品一覧、商品ページ、レコメンド、購入導線などを確認します。

集客

SEO、Google広告、SNSなどを確認します。

CRM

お気に入り、入荷通知、値下げ通知、LINE、メールなどを確認します。

さらに買取型ECであれば、販売データを仕入れや買取施策へ反映できないかまで見ます。

中古ECでは、仕入れ → 出品 → 集客 → 購入 → 売り切れ → 再訪までがつながっています。

そのため、どこか一つだけを改善するのではなく、今どこが一番売上を止めているのかを特定し、優先順位をつけて改善するという進め方をしています。

商品数は増えているのに、なぜか売上が伸びない場合

中古ECを運営している企業では、

  • 商品数は増えているのに売上が伸びない
  • アクセスはあるのに購入されない
  • 売り切れ商品ページをどう処理すればいいか分からない
  • 同じ型番の商品ページが増え続けている
  • 広告を増やすべきなのか、サイトを改善すべきなのか判断できない
  • LINEやCRMを導入したものの活用できていない

といった課題が起こりやすいです。

こうした場合、個別施策を追加する前に、EC全体を一度分解してみることをおすすめしています。

SEOが原因だと思っていたものが、実際には在庫不足かもしれません。

CVRが低いと思っていたものが、実際には商品検索の使いにくさかもしれません。

広告効率が悪いと思っていたものが、そもそも売れ筋商品の在庫不足かもしれません。

私は、中古ECのサイト改善・SEO・広告・CRMなどを個別に切り離すのではなく、「売上を増やすために、今どこを直すべきか」という視点から支援しています。

中古ECの売上改善やサイト改善について、「何から手を付ければいいか分からない」という段階でも問題ありません。

現状のECサイトや数値を確認したうえで、優先順位の高い改善施策から整理します。