「山本君、いい案件あったら紹介してよ。」

 

この手の言葉は、かなり言われました。

おそらくM&A仲介業をしている方ならば必ず言われる言葉です。

状況によって私たちM&Aアドバイザーの受け取り方は、かなり違うかなと感じます。

 

例えば

  1. 初回面談のときに言われる場合、
  2. 一度買収してくれている企業様や、買収ニーズの打ち合わせを複数回している企業様の場合

 

両者は、M&Aアドバイザーが【譲受企業に合う良い案件】がイメージできているかどうかが、ポイントとなります。

初めての顧客に闇雲に高収益率の割安案件があれば紹介してほしいという話は、聞く耳がもたれないイメージがどうしてもあります。

 

そういった優良案件が先に紹介されるのは、おそらく買収してくれたことのある企業様でしょう。

M&Aは提案から交渉まで、とても長い期間の付き合いになります。

ほとんどの案件というと語弊があるかもしれませんが、破談することは珍しくありません。

 

見ず知らずの会社に、提案すること自体はそこまで苦ではないのですが、初めてM&Aする会社と仕事をしようとすると、どうしても破談の可能性が高いのではないかとバイアスをかけてみてしまうため、優良案件の提案は後回しになりがちです。

 

そこで、こんな準備をしてくれたら優良案件を紹介しやすいなと思ったポイントを紹介いたします。

 

買収資金が準備できること

 

一番初めは、買収資金が準備できることです。

企業を買収したいという企業様には、必ず予算はどれくらいですか?と質問します。

 

おおよそ3割ぐらいの顧客が「銀行から借りるから予算はないよ」と返してきます。

この手の文言を聞くと、クロージングの融資決裁のタイミングなど最後の最後まで心配が残ってしまうので、銀行からいくらまでなら借入ができるのか予め聞いておく方がいいでしょう。

 

また、決算書(貸借対照表)からも運転資金(だいたい棚卸資産+売掛金△買掛金=運転資金)を算出しその額を超える現預金が、一つ予算として目安に持っておくといいでしょう。

 

総コストを把握すること

 

次も費用の話になってしまうのですが、コストは譲渡オーナーに渡す譲渡金額のみではありません。

買収監査の費用(100万~500万程度)や、仲介会社に支払う手数料(約1000~2000万程度)についても必要なコストです。

 

買収したい企業の業界や業種を絞ること

 

【譲受企業に合う良い案件】を探すうえで、買収したい業界や業種をはっきりさせておくことは大切です。

だいたい、自身の業種の上流、下流、同業種になることが多いので、異業種によるシナジーというよりかは、自身の事業拡大のためのターゲットを絞った方がいいでしょう。

 

また、この業種やコスト面がハッキリしてくると、M&Aアドバイザー側はかなり提案しやしと感じるはずです。

 

色んな仲介会社との窓口を作っておくこと

 

ここからは、上級編になるのですが、譲渡案件の保有は各社によって異なりますし、不動産業界のように業界特有のプラットフォームやネットワークがあるわけではあります。極力多くのM&A仲介会社と秘密保持契約書を結んでおき、良い案件がきたらすぐに紹介してもらうようにすることがいいでしょう。

 

また、近年ではこういった仲介会社とのネットワークを代行して買収戦略を各社に共有し、譲渡案件をみつけてくるサービスもあるので興味があったら連絡してみると良いでしょう。

 

買収戦略を資料に起こす(スコープ)

 

ここも上級編になるのですが、企業買収によって拡大している企業には必ずと言っていいほどM&A専門の部隊又はCFOがおります。

この方々が、M&Aの相場観の把握や自社とのシナジー効果を検討してくれているのですが、なかなか人材市場で募集をかけても集まってはこないと思いますし、報酬も高いと思います。

 

今現在、私は月30万円~資料の作成と月2回の定例MTG、案件の発掘を請け負うサービスを行っております。企業買収に本腰を入れたいかたは是非ご連絡ください。

 

 

 

最後に、とは言っても買収経験に勝る信頼はありません。

M&Aを経験したことのある会社とそうじゃない会社はかなり違うと感じますので、企業買収を一度経験してみるというのも大事だと思います。